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北海道のリトルトゥースに会いに行ってきた話


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2024年2月18日
オードリーのオールナイトニッポン in 東京ドームが開催された。

会場には、超満員となる5万3000人の観客が集まった。
そんな5万3000人の観客の中にいたある二人のリトルトゥースが、その後数ヶ月間の時を経て巡り合う事になる。

東京ドームライブを見ていた時、二人は赤の他人だった。
住んでいる場所だって、東京と北海道で遠く離れていた。
どう考えても、そんな二人が出会う事なんてありえないはずだった。

しかし、この東京ドームライブがきっかけで、二人の人生が交差する事になる。
この大勢の観客の中にいた二人が、様々な偶然が重なって直接顔を合わせる事になる。


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東京ドームライブの帰り道、僕はいたく感動していた。
こんなに胸をえぐられるような感覚になったのは、初めての経験だった。
それぐらい人の感情を揺さぶるライブをオードリーの二人はやってのけた。
夜風を浴びながら、僕はライブの余韻にしばらく浸っていた。


東京ドームライブがスタートした時、満員の観客に向かって若林さんは「今日はラジオをやりにきました!」と言い放った。
そして東京ドームのど真ん中に設置されたラジオブースに移動した若林さんは、5万3000人の観客が見守る中、いつも通り春日さんと喋り出した。
そこからは、僕らが毎週土曜深夜に聴いているオールナイトニッポンをそのままやった。
僕たちが一番やってほしかった事を二人はやってくれた。
会場もドカンドカン受けていた。
5万3000人を相手に、トーク一本で勝負する二人がとてもかっこ良かった。
あの光景は一生忘れられない。
胸が熱くなって仕方がなかった。

ライブ終了後、僕はXに感想のポストを二つ投稿した。
するとその投稿に多くの反響があり、合計7000件を超えるいいねの通知が届いた。
フォロワーの数も500人近く増えた。
スマホの通知が鳴り止まず、僕は嬉しい悲鳴をあげていた。
さすがにそれだけ多くの通知が立て続けに届いたので、一件一件確認する事は出来なかった。
でも、どんな人が自分の投稿に反応してくれたのかが気になって、帰りの電車の中で、その時々で目に入ったアカウントを見に行ったりしていた。

そんななか、ある一人のアカウントを見に行ったら、東京ドームの前で若林さんのタオルを持った女の子の写真が写っていた。
プロフィール欄には、メイド喫茶の名前が入っていた。
とても温かいツイートをしていて人柄も良さそうだったし、自分の事をフォローしてくれたのが嬉しくて「いつかお店に会いに行けたらいいな」と思い、フォローバックした。

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東京ドームライブが終わって数日後。
なにげない僕のポストに彼女がいいねを押してくれた。
僕も彼女のポストにいいねを押すようになった。
最初はお互いのポストにいいねを押しあう関係だった。
そんな関係がしばらく続いたある日、そろそろ彼女のメイド喫茶に遊びに行きたいなと思い、彼女のプロフィール欄に書いてあったお店の名前をインターネットで検索した。

ここで驚くべき事実が発覚する。
スマホに表示されたお店の住所を見て、僕は愕然とした。
そこには「北海道」という文字が書かれていた。
彼女が働くメイド喫茶は、なんと北海道にあったのである。
僕は東京に住んでいるので「これは遠すぎて、さすがに会いに行くのは無理だな。彼女とは縁が無かったな。」と落胆した。
一度会って喋ってみたかったので、とても残念な気持ちになった。


でも、直接会う機会はないかもしれないけど、こうやって遠く離れた北海道に住むリトルトゥースと繋がれた事が、僕は純粋に嬉しかった。
だから彼女のSNSを見るのが、その後も変わらず楽しかった。
決してリプを送りあったりする仲ではなかったたため、一度も会話をした事はなかったけど、お互いがお互いの投稿をいいねする関係がその後も続いた。


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そんなある日、僕の心境に変化が訪れた。
僕は今まで、SNSを通して知り合ったフォロワーさんと何人か会わせてもらった事がある。
どのフォロワーさんも「同じラジオを聴いている」という共通点があるため、驚くほどすぐに仲良くなれた。
そこに年齢や性別や住んでいる場所は全く関係なかった。
それこそ意気投合してお笑いライブを一緒に見に行くようになった人もいるし、一緒に深夜ラジオの出待ちをした人もいる。
僕なんかのために、わざわざお菓子を持って会いにきてくれた人もいたし、手紙を書いてきてくれた人もいた。
とにかく「ラジオ」を通して繋がった人たちは、みんな温かい人ばかりだった。

だから、北海道にいる彼女にも会ってみたくなった。
確かに、東京と北海道はとても遠い。
でも、せっかくこうやって何かの縁でつながれたのだから、距離を理由にして会わなかったら、いつか後悔する時が絶対くるだろうなと思った。
しかも彼女は、北海道から東京ドームライブを見に来るぐらいの熱量を持ったリトルトゥースだったので、喋ったら絶対楽しいだろうなという確信もあった。
そして僕のSNSに、いいねをよく押してくれていたのも純粋に嬉しかった。
そんな理由も重なって、彼女に一度会ってみたくなった。
そう思った僕は、彼女がいる北海道のメイド喫茶に遊びに行く事を決意した。

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2024年7月某日

彼女に会うため、僕はこの日北海道の地に降り立った。
彼女の働くメイド喫茶は貸し切りもできるという事だったので、僕は貸し切りをお願いしていた。
せっかく北海道まで会いに行くのだから、彼女と二人きりでオードリーの話をじっくりしてみたかったからだ。
貸し切りは、お店の営業時間終了後の24時から出来るとの事だった。
約束の時間の10分前ぐらいに、僕はお店の前に到着した。

ちなみにこの日は土曜日だった。
土曜日といえば、オードリーのオールナイトニッポンの放送日である。
そんな日に、リトルトゥースの彼女に会えるのがとても嬉しかった。
お店の前でワクワクしながら待っていると、入り口のドアが開いた。
そこには、猫耳をつけメイド服に身を包んだ彼女がいた。
いつもSNSで見ていた彼女が目の前にいて、僕はなんだか感動してしまった。
彼女に促されて、僕は店内に入った。


2月18日、東京ドームにいた二人のリトルトゥースが、北海道の地で合流し、念願の初対面を迎えた瞬間だった。

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「はじめまして、ブーメランチャンネルです!」


そう自己紹介をし、彼女に差し入れのお菓子などを渡した。
その後、彼女がドリンクを出してくれたりしたのだが、多分最初の5分ぐらいは、お互いに緊張していたと思う。
でも、はっきり覚えているのだが、彼女に「いつぐらいから、オードリーのオールナイトニッポンを聴いているんですか?なにがきっかけで聴くようになったんですか?」と僕が質問したのだが、そこから二人の緊張の糸が解けて、一気に仲良くなれた。
やはり「オードリーのオールナイトニッポン」という共通の趣味の話になった瞬間、二人の会話が急速に弾みだしたのだ。

彼女がオードリーのラジオを聴き始めた時期と、僕がオードリーのラジオにネタを投稿し始めた時期が、偶然ほとんど同じ時期だった。
だから、僕の採用ネタのほぼ全てを彼女は聴いてくれていた事になる。
そういった経緯もあり、僕の事をラジオを通して昔から知っていたと伝えてくれた。
そして僕がこうやって会いに来た事を、とてもビックリしてくれていたし、喜んでくれたりもした。
こんな遠く離れた北海道に、ラジオ投稿を通して自分の存在を知ってくれている人がいたという事実が、僕はとにかく嬉しかった。

彼女は若林さんの事が大好きで、若林さんへの思いをたくさん聞かせてくれた。
嬉しそうに喋る彼女の笑顔が、とても微笑ましかった。
その後、東京ドームライブの話になった。
あの日、同じ空間にいた二人だから「あれすごかったよね!」「あれもすごかったよね!」と話が尽きなかった。
元を辿れば、僕たち二人はあの日東京ドームにいた。
その時はまだ赤の他人だった。
「そんな二人が、今こうやって直接出会ってるのってすごい事だよね」と二人でしみじみ語り合った。

そんな折にパッと時計を見てみたら、入店からもうすぐ一時間が経つ頃だった。


二人で声を合わせるように「もう一時間も経ったんだね!」とビックリしてしまった。
それぐらい時間を忘れて、僕たちは会話を楽しんでいた。
楽しい時間はあっという間に過ぎると良く言うが、その言葉通り一時間があっという間に過ぎ去って行った。


深夜1時が近づいてきた。
僕は彼女に「少しだけ一緒にラジオ聴こうか」と言い、radikoを起動しニッポン放送に合わせた。


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「今さ、有楽町では若林さんと春日さんが喋ってるんだよね!それと同じ時間に、こうやってリトルトゥースの二人が北海道で喋ってるっていうのも、なんかすごい話だよね!」

そんな会話を二人でしながら、オードリーのオールナイトニッポンのオープニングトークを聴いた。
誰かと一緒にオードリーのオールナイトニッポンをリアタイするのが初めてだったので、なんかすごく嬉しかったし、とても不思議な感覚になった。
彼女も「私も誰かと一緒にラジオ聴くの、初めてです!」と言った。

深夜1時の寝静まった時間に始まるラジオを、いつも僕たちは一人で聴いている。
それがこの日だけは違った。
スマホから流れてくるラジオを二人で聴いた。
目の前にはリトルトゥースの彼女がいて、ラジオからはオードリーの声が聴こえてくる。
こんな素敵な時間の過ごし方は、他にはないと思った。

その後も二人の楽しい会話は続いた。
僕は記念に、彼女とチェキを撮らせてもらった。
すると嬉しい事に彼女が三色のペンを取り出し、そのチェキをラスタカラー色にデコレーションしてくれた。
僕は嬉しくて、そのチェキをスマホで写真に収めながら喜んでいると「私もそのチェキ写真に撮ってもいいですか?」と彼女が言ってきた。
僕とのツーショットチェキを、彼女が自分のスマホの中に、思い出として残してくれたのだ。
僕はそれがとても嬉しかった。

写真入りの名刺も、記念に一枚購入させてもらった。
その名刺の裏に、彼女はびっしり文章を書いてくれた。
「ずっとずっとずっとラジオで読まれてるの聴いていたので、そんな有名人の方が来てくれて、本当に幸せです!」とメッセージを書いてくれたのだが、涙が出るぐらい嬉しかった。
彼女が「ずっとずっとずっとラジオで読まれているの聴いていたので」と書いてくれたが、振り返ればもうこのラジオに7年間も投稿している。
彼女の言う通り、ずっとずっとずっと投稿を続けている。
採用難易度の高い人気番組だから、不採用になったメールも数え切れないほどある。
それでも僕はこの番組が好きだから、オードリーの二人が好きだから、くじける事なく7年間毎週メールを投稿している。
ずっとずっとずっと投稿を頑張り続けて良かったなと思った。
ずっとずっとずっと投稿を頑張っていたからこそ、こうやって彼女に巡り会えた。
もし途中で投稿を諦めていたら、彼女との出会いはなかっただろう。

彼女はこの日、僕がお店に来るという事で、私物のオードリーグッズを家からたくさん持ってきてくれた。
ラスタカラーのリストバンド、おやすミッフィーちゃんのペンケース、若林さんと春日さんのアクリルスタンドなどをテーブルに並べながら、僕たち二人は夜を明かして喋り続けた。
深夜3時になり、オードリーのオールナイトニッポンの放送が終わってからも、僕たち二人のお喋りはしばらく続いた。


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ラジオ投稿を続けていると、その時々で運命的にリスナーと巡り会う事がある。
オードリーのオールナイトニッポンに投稿し始めて7年が経つが、今まで様々な出会いがあった。
どのリスナーとの出会いも、僕は奇跡だと思っている。
なぜなら「ラジオ」がなかったら絶対に出会わなかったであろう人たちと「ラジオ」がきっかけで出会ってしまうのだから。

北海道に住む彼女との出会いなんて、まさに奇跡そのものだった。
東京と北海道に住む、なんの接点も無かった二人が、オードリーのオールナイトニッポンを通して繋がった。
あの日、東京ドームにいた「5万3000分の2」のリトルトゥースが北海道で出会ってしまったのだ。
誰がこんな未来を予想できただろうか?
こんなの奇跡としか言いようがない。
ラジオのパワーってすごいなと思った。
別の世界線で生きてきた絶対に交わる事のなかったであろう二人の人生をひん曲げて、引き寄せて、巡り合わせてしまうのだから。

2024年ももうすぐ終わるが、今年は例年以上に投稿を頑張った。
いや、「頑張れた」という表現の方が正しいのかもしれない。
それはこの長年の投稿生活の中で出会ったリスナーの方々からかけてもらった「いつもラジオで聴いてます!」とか「あのネタ面白かったです!」とか「メール読まれるの楽しみにしてます!」という言葉が、僕の投稿の原動力になっているからだ。
ラジオ投稿の年数が増えるたびに、新たな出会いも増えていく。
特にここ数年、本当にたくさんのリトルトゥースと出会った。
その一人一人がかけてくれた言葉を僕は全部覚えているし、これからもずっと忘れない。
今回北海道の彼女がかけてくれた「ずっとずっとずっとラジオで読まれてるの聴いていたので、そんな有名人の方が来てくれて、本当に幸せです!」という言葉も、僕の投稿の大きな力になった。
その結果、今年でオードリーのオールナイトニッポンへの投稿が7年目になるが、メールの年間採用数の自己ベストを更新した。
今年が一番オードリーの二人にメールを読んでもらえた年になった。


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今回、北海道に行って本当に良かったなと思った。
そこには、お金では買えない「価値のある出会い」があった。
初対面だったのに、まるで昔からの親友みたいに話が盛り上がって、二人でずっと笑い合っていた。
本当に楽しくて、この時間が永遠に続けばいいのになと思った。
一生忘れる事のない最高にトゥースな思い出ができた。

彼女とは、またいつか必ず会おうと約束している。
その日がくるまで、僕たち二人は毎週オードリーのオールナイトニッポンを聴き続け、共通の思い出を積み重ねていく。
そして、何カ月後、何年後になるのかは分からないが、いつかまた再会した時に、ラジオを通して積み重ねた土曜深夜の共通の思い出を語り合い、共感し、笑い合うだろう。
そんな日がくるのを楽しみに、僕はこれからもオードリーのオールナイトニッポンを聴き続ける。

2月18日、東京ドーム。
若林さんは、ステージにサプライズ登場した星野源さんの事を「おともだち」と紹介した。
あんなにも心と心が通じ合った「おともだち」がいるのは正直羨ましいなと思った。
でも、そんな僕にもあの東京ドームライブがきっかけで「おともだち」ができた。

遠い遠い北海道に心が通じ合ったリトルトゥースの「おともだち」が僕にはいる。
ラジオがくれた素敵な出会いだった。

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