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夫がくも膜下出血で倒れた話⑧

※こちらのマガジンに、これまでのことをまとめています。

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5月15日の朝、病院から電話。
急な話だったが、一般病棟に移るので、今日病院に来れないかという内容だった。

お義父さんと私で病院へ。
夫は脳神経外科の個室へ移動していた。
久しぶりに会った夫は、前回会ったときよりは元気そうだったが、元気にふるまっている様子だった。
身体を起こすことはまだ難しいようだ。

必要書類を記載するため私は別席へ。
書類を持ってきてくれた看護師さんは、夫の状態について聞かせてくれた。

「身体はまだまだ動かしにくい状況ですし、今日は頭痛も状態が悪いみたいで。自分で思うように行動できないのが辛いようで、『本当は自分なんてまだ一般病棟に来ない方が良かったですよね』とおっしゃっていました。」

病室に戻り、しばらく話をした後、お義父さんと病室を出た。
夫はこの時期、やけにフルーツを食べたがっていた。
これからしばらく、タオルや着替えとともに(病院にOKをいただき)フルーツの差し入れをする日々が続いたのを覚えている。

帰宅後、娘に夫の状況を報告。
娘と自撮りして写真を送る。
手がまだしんどいだろうと、「返事はいらない」と書いていたら、翌日にはベッドに横になったまま自撮りして、写真を送ってくれた。
短い文章も、頑張って送ってくれた。

そしてその日…

夫は、自分の手で、ツイートしていた。

これを受けて、私も、みんなに状況を伝えていくことにした。

この前後、娘はお義母さんと、私に内緒の通話をしていた。
内容はわかっている。
5月17日は、私の誕生日なのだ。
誕生日パーティーをしたいから協力してほしい、といったところだろう。

5月17日日曜日。
まず午前中に、夫の妹がやってきた。
買い出しに行くからと娘と出掛けて行った。

お昼前になると、帰宅した娘たちに、私と息子は二階に追いやられた。

そして、お義父さんと夫の弟も来てくれた。
お義母さんは実はこの時期体調を崩していたので、大事を取って休養されていた。
…にもかかわらず、パーティーのためにお赤飯やおかずを持たせてくださり、本当に頭が上がらない。

「ママ、降りてきて!」

声をかけられ、1階へ。

かわいく飾り付けられたリビング。たくさんのお料理。
クラッカーが鳴った。

「はい、これかぶって!ママは青が好きでしょ」

帽子をかぶると、

「ママ。お誕生日おめでとう!」

娘から、たくさんのお手紙と絵、そしてこれまた青系でまとめられた花束を渡された。

そして、

「せりかさん。これ、お兄ちゃんからのお花です!」

もう一つ、夫の妹から、大きな花束を受け取った。

後から聞いた話、夫はいつだったかはっきり覚えていないようだがまだICUにいた頃、お義母さんに電話で、「せりかにお花を」と依頼してくれたそうだ。

一番しんどかったはずの時期に、自分が辛くなるのが怖いからと会いに行くのを控えていた私のことを思ってくれた、夫。
嬉しさとありがたさと申し訳なさと感動とで、わけのわからない気持ちになった。

37歳の誕生日は夫は不在だったが、夫の家族と、子どもたちと一緒に過ごすことが出来た。
忘れられない一日になった。

この後、夫とビデオ通話をつないで話した。
子どもたちは、「動くパパ」とお話をするのが2週間ぶりだった。
特に娘は、嬉しそうだった。

娘はその反動か、翌朝、夫の夢を見た。
隣に夫がいたらしい。
「夢じゃないよね」とお話をしたそうだ。それは、残酷にも夢だった。
その夜、入院当日以来娘は初めて、「パパに会いたい」「寂しい」と号泣した。

⑨に続く。

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みねせりか/しあわせふうふデザイナー
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