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2024年からハマっている沼:YouTube「ゆる言語学ラジオ」

きっかけ

日本語をもっと上達させるため、去年の年末からポッドキャストやYouTubeを聞き始めることにしました。理由は、もともと読書が好きで、日本語学習でも「読む」ことに偏りすぎていたからです。その結果、「聞く」「話す」スキルが弱いままでした。

ただ、ただ適当に聞くのではなく、自分の時間を有効に使いたいと考えました。長く続けられるコツは「楽しめること」だと思い、内容の面白さも重要視しました。また、できれば論理的な話し方をする人のコンテンツが良いとも考えました(自分と多少似た話し方の方が消化しやすいため)。

そこで、過去に編集者として働いていた経験から、日本人編集者のポッドキャストやYouTubeを探せば、自分に合う確率が高いと考えました。そして、アルゴリズムのおかげで「ゆる言語学ラジオ」に出会いました。

ゆる言語学ラジオ


ゆる言語学ラジオの魅力

  • 豊富な知識が毎回バンバン出てきて、思索を広げられるのが楽しい。

  • 話の中で出た情報源がきちんと紹介されている。

  • 主催者の水野さんと堀元さんの視点ややり取りが面白い。

  • 声が理性的で、発音もはっきりしている(外国人にとって聞きやすい)。

  • 個人的に、コンテンツの内容にとても共感でき、紹介される書籍も好みに合う(ただし、財布にはちょっと厳しい…)。


おすすめのテーマ

テーマ①:妄想は創造的誤読

小林・益川理論は腐女子の妄想と同じ?偉大な科学者と腐女子の共通点について【雑談回】#199
▶️ 16:50−26:00 『Pretender』の創造的誤読
視聴リンク

紹介された「Official髭男dism - Pretender」の解釈が衝撃的でした。一見すると片思いのラブソングですが、実は同性愛の視点で読むとより深みが出るという話が展開されます。

例えば:

”…もっと違う設定で もっと違う関係で 出会える世界線 選べたらよかった…”
”…「好きだ」とか無責任に言えたらいいな そう願っても虚しいのさ…”

Official髭男dism - Pretender

(ここでは動画の中から二つ例を書きましたが、ほかにも興味深いポイントがたくさんあります。気になった方は、ぜひ動画をチェックしてみてください!)

歌詞やPVの中に様々な解釈の余地があり、これまで考えもしなかった可能性を示されることで、まるで真相に迫っているような気分になります。歌手の意図は不明ですが、この「余白」を解釈する楽しさは格別です。

Official髭男dism - Pretender(Official Video)


テーマ②:「論理的」は地域によって違う

「論理的」は、地域によって違う #372
視聴リンク
徹底討論! 「結論から喋る」は本当に正しいのか? #373
視聴リンク

これらの動画では『「論理的思考」の文化的基盤』という本をもとに、人間の思考や表現のスタイルは地域によって異なり、それが作文教育や歴史教育の影響を受けていることが語られます。

私自身、中国語・英語・日本語の作文スタイルの違いを日々実感しており、以前から疑問に思っていました。

(台湾華語と中国語には違いがありますが、台湾の作文教育は、もともと中国から来た人々が方針を決めたため、特に年配の世代では中国の影響が色濃く残っています。中華圏以外の人には台湾華語と中国語の違いが分かりにくいため、ここでは便宜上「中国語」として話を進めます。)

特に、#373のゲスト・室越龍之介さんの話(10:34〜)通り、中国語の文章では、論理よりも修辞や華美な表現が重視される傾向があります。

確かに台湾の教科書には起承転結の構造が載っていますが、実際の作文の評価基準は「論理性」ではなく「先生を感動させるかどうか」になりがちです。つまり、価値観が先生と一致する学生は高い点数をもらえます。それ故、社会人になってからビジネスメールや報告書など端的に伝える書き方を改めて学ぶ必要があります。(最近は教育改革が進んでいるので、10年後の学生は今より論理的な文章を書くかもしれません。)

英語や日本語の作文スタイルは比較的わかりやすく、特に英語の文章は最初と最後の段落を読むだけで大体の内容を把握できます。

中華圏の伝統的な価値観が「論理性よりも感情・人情を重視する」のです。それが作文教育にも影響を与えていて、国の論理的思考が平均的に低くなると思っていました。実際、台湾の教育では「情理法」という考え方があり、「情(感情)」が最優先、「理(道理)」がその次、最後に「法(法律)」が来(く)るという価値観が教えられます。

しかし、この動画を見て「論理性は地域によって異なる」という新しい視点を得られ、とても刺激を受けました。

『論理的思考』の文化的基盤(紹介書籍)


テーマ③:「人間の分け方」を新たに提案

「モテ」と「おもしろ」、どっちを優先する?#388
視聴リンク

この動画では「人間は具体的なことに興味を持つタイプと、構造的なことに興味を持つタイプに分かれる」という視点で話が進みます。例えば、目の前の人に興味を持つか、「目の前の人を一つの標本として見ている」と考えるかで違いが生まれます。

私は「人に冷たい」と言われることもあれば、「人に興味津々」と評されることもあり、どちらも当たっているようで、どこか違和感がありました。先日、この理論を見て、自分が構造的なことに興味を持つタイプとわかりました。そして、過去そのモヤモヤの感覚も晴れました。

このように、人の分類にはまだまだ多くの可能性があるのだと実感しました。異なる視点を意識し、人を観察し、考え続けることで、これまで気づかなかった新しい切り口が生まれるかもしれません。そして、そうした積み重ねが、今も残る時代遅れなステレオタイプを少しずつ解消していくのではないかと思います。
 


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