徒然日記~原田ひ香さん『ランチ酒』
最近、原田ひ香さんの『ランチ酒』シリーズを写経しているが、やはり彼女の短編には20枚シナリオの手法に通じるものがあるような気がする。
主人公・祥子の職業を「見守り屋」に設定し、職業も年齢も様々な人と出会い、数時間の間、間近に接し、彼らとの抱える問題や、これまでの時間の積み重ねを垣間見する。
それは時に主人公自身の抱える過去(妊娠したのをきっかけに結婚したものの、うまく行かず、最終的には娘を置いて離婚)や問題とも重なりあい、呼応する。
それら2つの物語は、仕事が終わった後、酒とランチを楽しむ中で、統合され、一つの答えが出される。
この並行する2つの物語が、スケッチ風というのか、具体的な会話や行動を活写することで、映像となって、頭の中に浮かび上がる。
あっさりしているようで、印象深い。
文章のテンポも良い。
写経を続ける中で、学べることは他にも色々出てくるのかもしれない。