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映画「ハルカの陶」覚え書き
ユーロスペースで、映画「ハルカの陶」を見て来たので、覚え書きをば。
内容は、最近流行りの「女性が自分らしい生き方を求めて、新しい世界へと飛び込んでいく」話。
ストーリーは、その王道といえば王道。
まず、特に好きなこともなく、会社に務めながら代わり映えのしないヒロイン登場。
ある日、何気ないきっかけから、「未知の世界」へと触れ、興味を持つ。
勇気を出して飛び込んでいくも、決して楽な道ではない。先輩格からキツイ言葉も貰う。トラブルも要所要所で起きる。それでも前向きに頑張り、道を開いていく。
面白い点は、今回ヒロインが飛び込む先が「備前焼」の世界であること。
焼き物と言うと、ほとんど素人の私は、華やかな有田焼や九谷焼へと眼が行ってしまう。(これら二つは、外国人にも人気が高い。)
備前焼についても、六古窯の一つとは言えど、知らないことの方が多かった。(そういえば、今放送中の連続テレビ小説は同じ六古窯の「信楽焼」がモチーフだ)
備前焼の魅力は、パッと人目を引く華やかさではない。
「用の美」だ。使えば使うほど、人の手に馴染んでいく。
作中でも、食器として実際に使われる様が頻繁に出てくるが、見ていると「いいなあ」と頷きたくなる。
備前焼に限らず、焼き物は、料理を盛り付けたり、酒を注いだり、使われてこそ真にその「美しさ」が活きてくるのではないだろうか。
素人の私が偉そうなことを言うのは非常にアレだが(笑)。
ヒロインの備前焼に触れての「感動」が、素直に体感できる、そんな一本だった。
そして思うことは、「感動」という灯は人生のスパイスである、ということ。それをメインに据えるか、あるいは人生のほんの一部、あるいは通過点になってしまうか…は人それぞれだし、内容にも依るだろうけれど。