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DSDsの話.7-アライの方のDSDs理解のために-

ネクス警察を呼ばないための10箇条

というよりも、DSDsを正しく理解するために「じゃあどれなら古くて誤った情報じゃないんだよ」と憤っているアライさん向けに、DSDs理解のためにできることを書いてみました。大した参考にはならないと思いますが、本気で「インターセックス」に対する差別にも反対して下さる、いわゆる「あらゆる差別に反対」の方々に読んでもらえるといいかな、と思っています。多分キレられそうですが。

1. DSDsについて、特に知る必要はない

そもそも、何故トランスアライの皆様がDSDsの正確な知識を学ぶ必要があるのか。実は特にないと思っている。あまり世に知られていない難病について、誰もが知っておかねばならないのだろうか。当事者とその家族が医師から説明を受けたり、患者会に参加したりして学べばいいだけのものなのだ。少し範囲を広げたところで、周囲の友人などの理解を得られれば十分だろう。本来はただの身体疾患でしかないのに、何故多様な性の一部として大々的に性教育でDSDsを学ぶことになっているのだろうか。そこから変なのだ。ダウン症を性教育で学ぶことも、ターナー症候群をDSDsの一つ、例えば「性染色体の多様性」と称して性教育で学ぶことも、全く同じことである。当事者にとっては同じ染色体異常でしかなく、違和感しかないのだ。

2. DSDsには言及しないのが一番

特に知らなくても構わないとは言ったものの、誤った知識を流布することや持説の強化、あるいは性別の根拠に利用することは絶対にやってはいけない。どのような文脈であろうとも論争の主題がどのような内容であろうとも、どうしてもDSDsに言及したいなら正確な知識を学ぶ必要がある。いい加減な知識で言及して誤解を広めることは「トランスジェンダーの実態を知らないから恐怖に駆られて、Twitterでデマを広めている」と称される人々がやっていることを、そのままDSDsに対してやっているのと同じダブルスタンダードある。ただ、アライさんもトランスライツを訴えるのに忙しいため、ネットで聞き齧った情報のうち「トランス差別的でない安全なもの」や「トランスライツの文脈で有益なもの」を引っ張ってくるしかないのだろう。だったら、正しく理解できるまではDSDsについては一切言及せず、正しく理解できているかどうかは、自身の疾患を正しく説明できるDSDs当事者の判断を仰ぐ必要があるだろう。ただ、特に言及する必要がないことはわざわざ勉強してまで言及しないのが一番楽であり、某警察も来なくなって一挙両得である。いわゆる「トランスジェンダーが分からないなら、分かるまで口を閉じて学べ」(by東の方の宝石屋さん)というやつだ。私はDSDsについて無理に学べとは全く思っていませんので、口だけは閉じていて下さいね。

3. 持論の強化のためにDSDs当事者に説明をさせないこと

「トランスの権利を訴えるのに使いたいから、私に分かるように私が分かるまでDSDsについて説明しろ」のような、思わず閉口してしまうアライさんまで存在している。そして教えたところで「何を以って性別とするのか」「こういう場合はどうなのか」「この症例はどう説明する」などと、真摯に理解する気のない質問が延々と続くのである。正に典型的なシーライオニングである。差別者に対して、被差別側が懇切丁寧に説明する義務などないはずである(by某アライさん)。ましてやトランスライツのおもちゃにしようとするなど、言語道断である。

4. トランスアライからの説明や提示された記事は情報源にしないこと

基本的にトランスアライはDSDsの知識を持つ人ではなく、DSDsの当事者でもないため、それこそ聞き齧った情報を持論に都合よく曲解して語っているに過ぎない。「性的マイノリティのコミュニティに存在するDSDs当事者」もそうであるが、アライさんからもたらされる情報は基本的にイデオロギーやアイデンティティーと密接に絡んでいる。そのためDSDsについて「トランス差別的でない」ために推薦される書籍や情報源、アライさんの間で頻繁に回されている情報源は、情報の正確さ以上に「トランス差別的でない」こと、すなわち性自認ベースで書かれていることが何よりも最重要視される。その結果古かったり差別的だったりと、DSDs当事者が見ると非常に問題の多い情報源であることが大半である。これではDSDs理解には何ら寄与しないことは明白である。また大半のアライさんはDSDsの知識を持っているわけではないため(染色体に遺伝情報はない、と発言するレベル)、Natureダイジェストの記事「揺れる性別の境界」にあるような不適切な記述を見抜くことが難しかったり、持論に合わせて都合よく曲解してしまったりもする。そもそも現在では性別判定も正確に行えるため、性自認ベースでDSDsを語ること自体が既に古いのである。

5. ネクスDSDジャパンの発信を読むこと

Twitterの運営について、様々な意見があることはある。初手のリプがbotのようである、何を指摘しているのか相手に伝わっていない場合がある、比喩表現が多すぎて要領を得ない、比喩がセンシティブな内容である場合がある、話が噛み合っていない場合がある、稀に怒髪天などのやりとりにおける問題点は私も感じなくはない(警察だと揶揄されている点はそもそも言及しなければ来ることもないので、嫌なら言及しないで…)。しかし中には自分の発言を省みることもせずひたすら暴言を吐き、トランス差別をやめろと逆ギレしながらDSDs差別をやめないようなダブルスタンダード丸出しのアライさんも存在しており、ネクスの中の人も当事者なのでそれでは嫌になるだろう。ただ、このネクスDSDジャパンが発信している情報自体はDSDsについて正確なものである。国内外の各疾患の患者家族会や海外のインターセックス団体の他に、国内のDSDs医療に携わる医師などとも繋がっており、医師と共に小児内分泌学会での発表も行っているとのことである。近年のDSDs医療全般について詳細を知る当事者団体として、情報の信頼度は高いと言える。私個人はこのアカウントについて、中の人も当事者であり人間である以上感情はあり、自分にできないことをしてくれる人に対して文句を言おうとも思っていないため、上に挙げた問題点についてはそこまで気にしてはいない。

6. かくまんさんの発信を読むこと

ネクスDSDジャパンの中の人が「トランスヘイター」であるため発信する情報の一切を拒否したいと感じた場合、かくまんさんのアカウントから情報を得ることを推奨する。かくまんさんは卵精巣性DSDについてだけでなく、DSDsを取り巻く諸問題についても分かりやすく漫画にして下さっている。ただ、卵精巣性DSD以外の疾患についての情報も満遍なく得ようと考えた場合には、他の情報源も探す必要があるかもしれない。

7. シスジェンダーかつ典型症例である大多数のDSDs当事者の話を聞くこと

かくまんさんも「トランスヘイター」なので(誰かがそう言っていたけど、これはさすがに何で!?)一切の情報を拒否したいと感じた場合、だからといって差別的な昔の病名で説明されているような古い情報や、疾患名さえ不明でセンセーショナルな身体状態だけが書かれているような話を、何の判断もできないのに鵜呑みにしていいわけではない。まずは各疾患の典型症例かつシスジェンダーである当事者達の実態について、話を素直に聞いてもらいたい。各疾患の典型的な症状や身体状態がどのようなもので、一体どのように生活しているのか。それを「人それぞれ」で済ませて全く把握できていない、あるいはトランス差別的だと切り捨てて知ろうともしないのに「睾丸のあるターナー症候群」のような話には食いつき、これも「人それぞれ」だと鵜呑みにしてしまう。あるいは「身体に性別はない」という話の根拠に用いるような振る舞いだから、指摘を受けるのだ。ターナー症候群について知りたい場合、私の発信も参考になれば幸いです。ヘイターですけども。

8. 性的マイノリティの人々と繋がりのないDSDs当事者の話を聞くこと

「私にはDSDs当事者の友人が居るので、その人から情報を得ます」と言うアライさんが居る。体感ではあるものの、性的マイノリティのコミュニティに居るDSDs当事者の性自認はバイナリーでなかったり、自身の性別違和について「DSDsに起因するもの」あるいは「性別違和ではなく、性別を間違えられた」などと事実誤認しているようなケースが多い。それどころか新◯祥さんのように、診断基準すら満たしていないようなポーザーである可能性もある。このようなケースでは当事者自身もDSDsをアイデンティティにしてしまっていることが多く、典型的な当事者の実態を学ぶには逆に妨げになってしまう。これでは一部のイレギュラーな人々=DSDs全体の印象、という誤った理解になってしまうのだ。なのでDSDs理解については現状、性的マイノリティではない当事者から話を聞く必要があるだろう。性的マイノリティでありながら自らの疾患について、性的マイノリティであることと切り分けて正しく説明ができる者は思いの外少ないと思うからだ。何ならDSDsという包括概念すら知らないような当事者こそが、自身の疾患については一番正しい情報を提供してくれる。これは性的マイノリティであるDSDs当事者が存在してはいけない、あるいは存在しないという話ではない。たまたま性的マイノリティであるDSDs当事者はもちろん存在しているし、私もよく知っている。DSDsと性的マイノリティであることに、関係がないだけだ。

9. DSDs専門医が開催しているセミナーなどに参加すること

「当事者とはいえ素人だから自分の病気を知らないだろう」「そのような無知な差別者の話を聞く価値はない」と考えている方もおられることだろう。しかしそのアライさんも当事者以上に知識がないと思われるため、真偽不明な情報を性自認ベースで自己判断して取捨選択して歩くのではなく、是非DSDs専門医、例えば慶應義塾大学病院DSDセンターがたまに開催しているような、疾患毎のセミナーを申し込んでZOOMで聴講してみることをお勧めする。DSDセンター長である長谷川奉延医師は「性の多様性」をベースに話されており、アライの皆様にも聞きやすい内容で展開して下さっている。センセーショナルな説明ではあるが、不適切な記述が含まれる情報よりはよっぽど有益であり、疾患についての正確な知識は得ることができる。

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