【山梨リニア実験線】リニア体験乗車で時速500キロ体験
はじめに
note200回目の記事となる今回は、「山梨県リニアどきどき体験乗車」(2024.7.24)の模様を紹介します。
すでに実用段階と言われているリニアモーターカーですが、実験線では不定期に体験乗車会が行われています。山梨県民向け乗車会も行われており乗車してきた模様を紹介します。
当日のスケジュールは、搭乗時間(10時30分出発)の関係から、先に体験乗車をして、その後「ときどきリニア館」の見学をしております。
「どきどきリニア館」の模様はこちらをご覧ください。
山梨リニア実験線
山梨リニア実験線は、起点:山梨県笛吹市境川町から、終点:山梨県上野原市秋山地区までの全長42.8キロメートルです。全体の82%、35.1キロメートルがトンネルで構成されています。
実験線は、1990年(平成2年)から工事が始まります。しかし用地買収の遅れなどから、中間部分18.4キロメートルを先行区間として整備を進め1996年(平成8年)より先行区間による走行試験を開始しました。
その後、2008年(平成20年)から延伸工事に着手し、2013年(平成25年)延伸工事が完了し、全長42.8キロメートルを使っての走行試験を開始しました。
県民向け体験乗車会
山梨県は、実験線を誘致したあとも、実験線建設に関わる土地買収やトンネル掘削の残土処理場の提供などで県の財政から200億円以上支出しています。さらに行政を挙げて(リニア推進局という部署がある)活動しています。そうしたことへの見返りも含め山梨県民枠で乗車会が昔から設けられてきたり、地域の研修会で乗車したといったり山梨県民はわりとリニアの乗車経験の方が多いです。
山梨県民向け「山梨県リニアどきどき体験乗車」は、JR東海が一般に募集する「超電導リニア体験乗車」の日程に合わせ隣接する1日を充てています。近年は年3回実施されています。
2024年の日程です。
・2024年3月26日(火)
・2024年7月24日(水)
・2024年10月23日(水)
グループ単位でハガキかネットで申し込みます。グループは最大4人、全員が山梨県に住民票のある人でないとだめです。当選後の搭乗者の変更も効きません。
2座席を1区画と称して抽選しますので、1人か2人グループは1区画、4人グループになると2区画として申し込みます。1便は18区画分を抽選します。1日これが6便走りますが時間は選べません。
当選した場合、書類が届くので、住所が分かる身分証のコピーの郵送して手続き完了になります。転売などできないくらいチェックが厳しく入ります。
また、1区画2200円、2区画4400円の料金がかかります。JR東海の乗車会と同じ金額ですが、面白いことに「県税の納付書」が付いてきて金融機関かコンビニで納付するのです。
上記画像は、すべて手続きが完了して届く搭乗証明書です。当日これを受け付けで見せます。その時顔写真入りの身分証も必要です。
ところで抽選倍率はおよぞ15倍~10倍です。JR東海が一般向けに募集する乗車会は100倍を裕に超えるはずですのでたいへん優遇されています。年3度毎回応募していれば、10回に1回は当選する確立です。
会場入り
リニア実験センターの奥に来場者用の駐車場があります。周囲は山です。最寄り駅は富士急行線の田野倉駅でバスの便もありますが、車での移動のほうが便利です。
通常の見学施設「わくわくリニア館」とはまったく別の入口から入ります。集合から解散までおよそ1時間のプログラムになります。
会場の門をくぐります。本人確認のほか金属探知機による手荷物検査などがありかなり、スタッフは大変丁寧ですが、物々しいです。持ち込めるものにも制限があります。
検査が済むとガイダンスルームに向かいますが、立派なガチャを参加者は全員回します。「先頭車見学券」か「乗降装置見学券」のどちらのチケットが入っています。
ガイダンスルームで指定席の座席順に着席して諸注意と映像を見ます。乗車するとトイレはありませんので、予め済ましておく必要があります。
クリアファイル、乗車証明書、メモ帳、ボールペンなど記念品が席に置いてあります。
室内には顔出しパネルや実験車両の模型があります。今回乗るL0系改良型の模型もあります。
実験線では2015年(平成27年)4月、有人走行での時速603キロメートルを記録しました。ギネス世界記録の認定証があります。
上は、2003年(平成15年)の時速581キロメートル走行の認定証です。
搭乗
ガイダンスルームの前方の扉が開き長い廊下を進むと搭乗口が見えてきます。
JR東海の技術職員2名が添乗します。この方は解説もすべて担当されます。
新幹線の駅というよりは、搭乗口など空港を意識して作られている印象です。発車時刻を示すモニタがありますが、列車名は「超電導リニア1便」とあります。このあたりも飛行機みたいです。
余談ですが、かつての寝台列車「はやぶさ」「さくら」「みずほ」が新幹線の列車名として復活しています。しかし「富士」がありません。これはリニア新幹線の列車名としてすでにJR東海が押さえているものと推測しています。
乗降口から乗り込みます。車体にジャバラのような乗降装置がドッキングしています。
列車は5両編成です。すべてL0系実験車両ですが、東京方の4号車(中間車)と5号車(先頭車)は改良型のL0系になっています。体験乗車は全員4号車に乗車します。
車内は4列シートです。新幹線が5列なのでリニアは在来線の大きさです。
営業線用の車両により近づけて開発されたL0系実験車両ですが、L0系改良車はさらに内装や座席が変更されているといいます。
シートはわりと細身に作られています。軽量化のためでしょう。
良い点はバゲットシートとなっています。座席はクライニング機構が座面も背面に連動して動きます。
テーブルは肘掛け部に収納するインアームテーブル方式になっていて肘掛け部に電源用のUSB Type-Aポートを装備しています。
窓は極端に小さいです。そもそも8割以上の区間がトンネルなので窓も必要ありません。車窓よりも前方のモニタに映し出された、先頭車のカメラ映像にばかり目が行きます。
走行
下図に朱線で示した①②③の順番で実験線を1往復します。
まず①東京方面に向かって時速350キロで走行します。
時速195キロ、タイヤ走行から浮上走行へ切り替わります。体への振動が違うため感覚的に分かります。浮上すると音は静かです。
あっという間に東京方の終端に到着します。終端はトンネル中なので何も面白いものはありません。画像は割愛します。
続いて②甲府方面に向かって500キロで走行します。
あっという間に甲府盆地の笛吹市境川町の実験線起点まできてしまいました。
③でここから折り返して実験センターに戻ります。
時速500キロといってもほとんど感じるものはないです。騒音もないですし、外の景色が見えないからです。どちらが進行方向かもわからないです。実は見学施設で通過するリニアを見た方がよほど速さが実感できます。
乗降装置見学
終了後は、受付時のガチャの内容で、先頭車両の見学と乗降装置の見学に別れます。
筆者は乗降装置の見学でしたので、乗降口を取り囲み装置を見学です。
この乗降装置ですが、実際には実用化されるシステムではないように思います。停車ごとにいちいち乗降口のドッキングをするのは手間がかかります。営業線になると現在の新幹線のホームドア方式になるのではと思います。
先頭車撮影
体験乗車プログラムの最後は、先頭車の前での撮影会になります。
終了
出口は非常口のようなところです。階段をおりてきます。ここから「わくわくリニア館」のほうへ向かうには下のガードをくぐります。
ガードには蒸気機関車から始まって、特急こだま、東海道新幹線、リニア新幹線へと変化しているイラストが壁面にあしらわれています。
ガードを抜けると見学センターはもうすぐです。向こうは実験センターの建物です。
おわりに
かつて夢の乗り物と言われたリニアモーターカーですが、技術はすでに完成して、2027年品川―名古屋間の開業の計画で建設が進められてきました。
しかし山梨においてリニアは必ずしも歓迎されていません。駅が郊外の外れに作られ鉄道による乗り継ぎはなく甲府駅に遠いからです。品川から20分でリニア甲府駅に到着して、中央本線の甲府駅までバスで30分では笑えません。1日何本停車するかも不明です。それであれば、新宿駅から甲府駅まで中央本線をスピードアップしてもらうほうが便利になります。
note記事200回目に寄せて
2年2ヵ月で200回目の記事を掲載することができました。
知人らからの勧めで始めたnote執筆でしたが、扱うテーマが限られているためここまで続けられるとも思ってはいませんでした。いずれネタがつきると思っていたのですが、リアル世界でのつながりが新たなつながりを生み、枝葉が伸びていくように新たな記事のきっかけが生まれています。最近は個展にお邪魔する機会が増えました。この夏は猛暑だったにも関わらず訪れた場所が多く、執筆が追い付かず積み残している有様です。
さまざまなジャンルのクリエイターさんからフォローしていただきフォロワー数も200人に迫ろうとしています。ありがとうございます。
盆地の猛暑も終わりつつあります。みなさまも体調にはお気をつけください。201回目の記事でお会いしましょう。
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