見出し画像

小さなメディアが小売をする可能性に、希望を重ねたいのです。

洋服への憧れを一番最初に教えてくれたのは、通販雑誌でした。母の元に定期的に届く分厚い雑誌は、まだ小学生の私には大きすぎて、床に置きながら必死でページをめくっていたことを覚えています。

欲しい服があれば片っ端からドッグイヤーをして母に提出。厳しい審査を乗り越えた一着が、私の手元に届きました。マスカット色のギンガムチェックに一目惚れしたベルト付きのワンピースは、今でも鮮明に思い出すほどお気に入り。どうしてこれが欲しいのかも、プレゼンしていたような、していないような。

幼少期。さすがにこの時は自分で選んでないはず。

「着る服は自分で選びなさい」そう教育されたかどうか記憶にないけれど、勉強にしても習い事にしても、佐藤家は子どもに一切強制することはなかったので、きっとそれは自発的な行動だったのでしょう。思春期の時もこれを着てはダメ、あれを着なさいと咎められることもなかった。ロリータ服を着て、地元のバスを乗ったこともあったり(笑)

melon、nicola、Seventeen、Popteen、egg、non-no、CanCam、ViVi、装苑、VOGUE、Zipper、CUTiE、etc... 数々の雑誌にドッグイヤーをつけながら「私のファッション」を見極めるために、お店に出かけて、たくさんの服を着て、失敗をしながら試行錯誤してきました。おかげで今、ファッション業界の片隅で仕事をしています。

「欲しい」が聞こえる。それを逃してたまるものか。

私は今、SNSとウェブを中心に発信するファッションメディア ROBE の編集長をしています。ベンチャー企業の中での、さらにベンチャー部署(というか一人ですが)的な立ち位置で、ひっそりと。

ROBEでは、主に東京で活躍する若手ブランドの紹介をメインに、ファッションショーや展示会の取材、ファッション業界、洋服に対する考え方や思いを綴ったコラムをお届けしています。実際の読者層は特に年齢では区切れないのですが、「感度が高く、物事を斜めにも捉えることができて、なのにミーハーで、自分の“好き”を追求し続け、受け取った情報を自分の考えや言葉に変換できる人」といったところでしょうか。こうして書くとめちゃくちゃ高リテラシー(笑)

でも決してファッションフリーク(というか洋服好き)というわけではなく、「可愛いものやおしゃれが好き」な人たちなんだと思います。それは、プロダクトとして服を愛しているのか、それとも自分を表現したり他に影響を及ぼす “メディア” として服を楽しんでいるかの違いだと、今は考えています。

細々メディアを続けて2年。最初はいいねが一件もつかなかったTwitterの呟きも、ようやく反応のばらつきが見られる程度になりました。ウェブでも紙でも美容ネタがバズりやすいと言われる中で、ROBEでは展示会での着用写真(顔を見せるとインフルエンサーと変わらない属人性が出てしまうので、どんなポーズでも必死に切っています笑)やコラムの反応が良い。ROBEが発信したいこと=「若手ブランドの情報、服に対する考え方の例の提示」が響く人に、うまく届けられているんだなという自信に繋がっています。数字はまだまだですが、たまにいただくDMやメールの熱量にもそれを感じています。

中でも多いのが「これはどこで買えますか?」という声。パリコレ取材も小さな媒体ながらコソコソと行っているのですが、ショーの様子をSNSに載せると「掲載していた○○のTシャツは日本のどこで売っていますか?」という問い合わせがDMで来たり、インスタに掲載した新作紹介の着用写真のスクショとともに「これはいつ入荷しますか?」というメールをいただいたり。

「入荷も何も、うちは販売してないんですが...!」と内心思いつつ(笑)、ROBEが直接繋がっているブランドさんの場合は、在庫状況や販売店舗を聞いて返信しています。繋がっていない場合でも、ネットの海から国内の販売店舗を探り当てリストにして返信。もしかしたらここまでする必要はないかもしれないけど、でも、わざわざDMやメールで問い合わせてまでその服が気になるって、これだけ洋服が売れないと言われている中、超絶希望の神の声なのでは、と思ったんです。この声を逃してたまるか、と。

その先に、「買える場所」を作りたい。

ネットのおかげで情報はどこまででもアクセスできるようになりましたが、「認知の先に芽生える行動」を起こせる場所がまだまだ少ないのだと、読者の声で実感しました。情報伝達のスピード感にリアルな場が追いついていない。「買いたい」「見てみたい」「欲しい」と思っている人がいるのに、その声を無視して情報だけを流し続けることに意味はあるのだろうか?そんなことすら思うようになりました。もちろん、カルト的なストリートブランドのように「買いたいのに買えない状況」を作り出すことでファンの熱量をあげるブランドもありますが、ROBEで紹介するような若手はその対象ではありません(笑)

ROBE読者から人気のブランドRPKOの18SSワンピース
ROBEタブロイド issue.3 の撮影にて使用。出品予定!

若手ブランドは知名度も販売力もないので、なかなかお店には置いてもらえません。では自分でネットで売ればいいかというと、人員的に足りないという問題もあるし、“ファッションブランド” という特性上ブランディング的にNGだったりするのです。生産の面でも、インディペンデントなブランドは在庫を持たないようにオーダー分しか生産できず、たとえポップアップの依頼などで急な需要があったとしても期中の追加生産に応えることは難しかったり。だから一般消費者が服を買う場所って少ないんです。(一方で業界内だとサンプルセール毎期連発...なんて不毛な現実も。)

でも、そんなこと消費者にとっては知ったこっちゃありません。「ほしいものが、ほしいわ。」その思いは2018年も変わらず、ですよね。欲しいものが欲しいときに買えなかったら、熱はすぐ冷めるんです。

そうした読者の「欲しい」にも、若手ブランドの「販売機会を増やしたい」にも応えるために、「メディアがショップを開く」という結論になりました。ROBEで見て興味を持ったら、そのまま実物を確かめて買うことができる。人のお財布の紐を緩めるのはそう簡単なことではないと、販売経験もあるので十分承知していますが、それでも今まで届いた声に希望を重ねたいのです。

「洋服は売れない」んじゃなくて、多分「欲しい」と「買って欲しい」のキモチとモノが偏っているだけ

まだファッション業界に3年しかいない赤ちゃんみたいな私と、小さなメディアのROBEですが、その偏りを少しでも平らにしたいと思い、初のポップアップショップ「 #ROBE屋を開催します。

5月3日(木)〜5月6日(日)、GWの4日間で販売するのは、ROBE読者から特に人気の若手ブランドや「次くる!」と思う編集部オススメのブランド、まだInstagramベースで販売を行うブランドなど。ROBE読者がきっと好きだと思ってくれそうなアイテムを集めました。場所は神泉のセレクトショップR for Dさんの一角です。

東京コレクションにも参加する5-knotさんのデニム。出品予定!

私が通販雑誌をめくりながらトキメキをドッグイヤーに込めたように、SNSに掲載するアイテムを見ながらドキドキをいいねや保存に込めてほしいです(笑)「メディアからの購買」という動線に憧れる理由は、冒頭に記した私の原体験にあったんだなと、これを書いている中で思いました。

正直ビビってます。

と、まぁふだいぶ大口を叩きましたが、めちゃくちゃビビっています。ブランドさんから大切な商品を預かり販売させていただくのに、一着も売れなかったらどうしよう...!と思って割と本当に毎日寝る前に汗をかきます。

SNSには全アイテム掲載予定。値段もサイズも載せる!そして現地に来れない場合でもご購入いただけるように、DM対応での販売もしようと思っています。4日間店頭とネットに張り付くぞ〜!

ということで、「買いたい人が買える環境」作りの第一歩として見切り発車で企画したショップ計画ですが、2年間地道に正直にメディア活動をしてきた、読者とブランドの信頼の結晶としてお披露目いたします。

広い試着室とオランジーナとたっぷりのファッション愛をご用意してお待ちしております!

ROBE屋 第一弾

「眠れる森の美女が目を覚ましたら」
会期:2018年5月3日(水)〜5月6日(日)
13:00 〜 22:00
会場:セレクトショップ R for D
〒153-0041 東京都目黒区駒場1丁目4−5 日興パレス駒場 B1F
京王井の頭線 神泉駅 徒歩6分、渋谷駅 徒歩15分
参加ブランド:
EAUSEENON / RPKO / EBONY / SEDUCATOARE.(アクセサリー)/ SUÉSADA / 5-knot /
公式ハッシュタグ #ROBE屋

詳細は以下の記事「ROBE初のポップアップ「ROBE屋」開催決定!詳細とコッソリ裏話」からご覧いただけます!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?