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【感想】映画『ショウタイムセブン』

『ショウタイムセブン』という映画を見ました。
これがまた、特殊な映画であり不思議な映画体験をしました。
物語の概要としましては、夜の7時に不審な1本の電話がラジオ番組にかかり、ある発電所が爆破させられる事件が起きてしまいます。
生放送中にかかってきた脅迫電話をかける正体不明の犯人が交渉人役として指名してきたのは元人気キャスターの折本であり、折本はラジオ局に左遷させられた国民的ニュース番組「ショウタイムセブン」を務めてきた実力派キャスターであります。

折本は番組の危機感を番組の復帰するチャンスだと捉えて生放送中にスタジオに乗り込み、犯人と生中継を行い、心理戦の駆け引きを行っていく。
犯人は爆弾を発電所以外にスタジオにも仕掛けたことを発言し、爆弾によって多くの人間が人質として監禁されてしまいます。

何故、犯人は爆弾テロを起こしたのか、犯人の要求する目的とは何か、綿密に仕掛けたられた数々の罠、折本に隠されたある秘密、犯人と折本の関係性など、リアルタイムに生放送と事件が交錯していく形はサスペンス映画としてはかなり新しい手法を取った映画であると感じさせられましたし、面白く拝見させて頂きました。

テロリズムという概念は非常に複雑であり、政治的動機を持つ暴力行為や一般市民を標的にした暴力行為、無差別な暴力行為などが挙げられますが、こうした考え方にも『ショウタイムセブン』は当てはまるものがあり、テロリズムに関して言えば、現代のテロリズムというのは、政治的、宗教的、あるいは社会的な動機を持つことが多いと考えられますし、 倫理的にも社会に大きな不安と恐怖をもたらすものだと言えます。
こうしたテロリズムに関する議論は、非常にセンシティブであり、偏見や誤解を避ける為にも、客観的な情報に基づいた議論を心がけることが重要であり、折本は全国民に問い掛ける世論調査というものを展開していきます。
何故、テロは起きるのか、政治や文化など、テロリズムの複雑性な側面をより深く理解する為にも『ショウタイムセブン』という映画はある意味リアリティを持った実験的な映画であることが窺えました。テロリズムの事実内容をただ羅列するだけでなく、その背景にある原因や影響、そして解決策について考察することが重要であり、その為にあるのがテレビというものであってニュースというものを通して私たちが事件性から考えるきっかけを与えてくれるものだと考えさせられるものがありました。
テロリズムの内容や複雑性は置いておいて、これは世界共通の課題でもあって私たちの国民性の協力と理解が不可欠であると感じました。
発言する立場の人たちの言葉というものを冷静に捉えて尊重し、客観的な議論を通じて話を進めていき、平和な世界へと導く為にも一人一人の言動というものは大きく関係するものだと考えさせられました。
『ショウタイムセブン』はエンターテイメント作品でありながら、同時に社会的な時事問題や社会の抱える闇を提唱し、私たちに考えを投げ掛け答えを明示させる機会を与えてくれた映画であると思いました。

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ゴロウ@読書垢/Noter
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