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【感想】映画『動物界』

『動物界』という映画を見た。
ビジュアルポスターを見た時に最初に思ったことは、奇妙な動物たちが登場する不思議な物語なのかなという勝手な偏見を持っていましたが、見終わった後はまったく違うものでしたし、あえて言えば正統なヒューマンドラマと言える作品でありました。
物語は、人間が様々な動物に変異してしまう奇病が発生した近未来、ディストピアを描いた物語であり、ある親子の絆を描いた物語であります。
原因不明の病により、身体が突然変異によって動物と化していく奇病が流行るという世界観はかなり奇抜で面白かったです。

国は、人間の安全を守る為に、奇病によって変異した新生物が危害を加えない為に施設で隔離することが決まりになっている。
フランソワ一家の母のラナは奇病により隔離され、新生物たちを乗せた車が事故を起こして新生物たちは野生に帰ってしまうことになります。
父と息子のエミールは行方不明になった母のラナを捜索することを実行する。
だが、エミールの身体は少しずつ奇妙な変化が起きることになる。
人間とは別の新生物が変異によって誕生し、人間と共に共生する時代が訪れることになるというのは非常に面白かったですし、遠い未来においてもそうしたことが起きても、おかしくはないということも考えさせられるものがありました。

変異する時代というのは、ある日突然訪れる。
暴走する新生物に国はどのように対処すべきか、もしも自分や家族が動物化してしまったらどうすればいいのか。
治す方法もない、最新医学ではどうすることも出来ない現実、『動物界』は父とエミールの家族の繋がり、絆を描いた家族愛をテーマとした作品であり、エミールが動物化していく現実にどのように立ち向かうのかという姿を描いたシリアスな物語となっています。
エミールが少しずつ、動物化が進行し、人間としての自我を見失いかけていくことの葛藤とそれでも父は息子を国から守ろうとする親心に感動させられるものがありました。

動物化していくエミールは野生に住みついてる動物化した新生物たちの存在や彼らの生き方、人間と新生物の違いを少しずつ認識していき、動物化に受け入れられずにいる自分の現状も理解していくことになります。
エミールは外見の変化に伴い人の心から動物の心へと変異していく過程の中で『動物界』でどのように生きるべきかを決意するラストはやはり感動させられるものがありました。
そして、エミールと父との関係はどうなってしまうのかというところも『動物界』においての見所だと思いました。

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