【感想】映画『LOVE LIFE』
『LOVE LIFE』という映画を見てから、しばらく思考が止まり、いつもなら見たところで特に印象的だったところを言語化出来るはずなのに、それがこの映画では難しいことのように思えました。
妙子という女性は、二郎と呼ばれる男性と再婚して幸せな日常を過ごしていたのだが、元夫との子供である敬太に、ある出来事に襲われることになります。
失踪した前の夫で父親であったパクが戻ったり、二郎の元カノであった山崎と会ったりと、彼女、彼との関係性は少しずつ揺らぎ始めていく。
幸せから悲しみへ、こうした人生観というのは誰にでも起こりうるものであり、妙子の心は次第に暗い影が包まれていくような感覚を覚えて、生きづらさによる苦しさというものは胸が締め付けられる思いで見ていました。
手を伸ばそうとしても、掴むことの出来ない辛さは妙子に共感を覚えるものがありました。
敬太にとっての妙子や夫の二郎、元夫のパクにとっても抱えるものや重さというのは変わってくるものだと感じました。
ある家族の生活を通して、人生の葛藤や苦悩、愛する人の悲しみなどが本作には込められていて、こうした胸に迫る思いというのは言葉で分かりやすく説明することは大変難しいように感じたのは、最初に述べた通りの意味を含んでいます。
『LOVE LIFE』の主題歌である矢野顕子さんが歌われる「LOVE LIFE」の歌詞には密接に関係するものがあり、歌詞の中にある「‘‘どんなに離れていても、愛することはできる’’」という言葉に秘められた意味をリンクさせると、妙子の苦しさや悲しさが立体的に胸にこみあげてくるものがありました。
『LOVE LIFE』には、こうした人の抱える感情の一つ一つを拾い上げて、意識的にそれを映像表現として落とし込めていることが映画の技術的表現の上でも巧みだなと実感させられるものがありました。
スクリーンに映し出された妙子の姿から何を捉えて何を考えるべきかは映画の中で物語ると思いました。
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