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【感想】映画『どうすればよかったか?』
ドキュメンタリー映画というものをこれまであまり見てこなかった。
そもそも、ドキュメンタリー映画は実際に起こった事件や現実の事象を記録し、虚構を加えずに構成する映画の形式であります。
特徴としましては、ドキュメンタリーは記録映画としても考えられ、現実の出来事や人物を求めることを意図し、虚構ではなく事実を描くことを目的としています。
メッセージ性や作家性、芸術性も重視される場合があります。
ドキュメンタリー映画の性質としまして、見る人たちに社会問題を考えさせる一方、生き方や価値観をスクリーンを通して映し出すことで深い影響を与える力があると考えられます。
そういった意味でも、ドキュメンタリー映画は見る人たちに今起きている現実を直視させる働きがあり、何を考え何を行動すべきなのかと思わせる強力なメディアでもあると思います。
『どうすればよかったか?』という映画を見ましたが、今までの固定概念を打ち壊す問題作だと感じました。
物語の概要としましては、優秀で面倒見がいい姉は医師である両親の憧れにより医学部へと進学する。
だが、ある日突然、姉の様子がおかしくなり、わけのわからないことを叫び出すようになってしまいます。
統合失調症として疑われたが、両親は彼女を精神科へ受診させずに20年放置することになる。
弟は両親を説得するも解決できず彼は実家を離れることになり、弟は統合失調症の姉と家族の記録を残す為ビデオカメラを向けて、一家の外出や食卓、日常会話など全てを記録する。
姉や両親との対話から我が家の実態、生きることの意味を問うことを考えさせられるものがありました。
姉の症状は益々悪化していき暴言や暴れ出すことも当たり前となり、両親は玄関に鎖と南京錠をかけることになる。
社会から断絶した、ある一家の記録はドキュメンタリーを越えた先の本当の真実があり何が正解で不正解かも分からないし、それすらもあるのかも分かりません。
姉と家族との長い時間のすれ違い、まさにどうすればよかったか?と見る人たちに問う衝撃作だと感じました。
人と人が分かり合うことの決断を知ることになる。
息子と父との会話で明かされる、娘の病を隠し、認めようとしなかった父の理由は何故だったのか。
娘を救うための最善の方法はどうすればよかったのか。
かなりヘビーな重いドキュメンタリー映画にもかかわらず当日は満席で映画やドキュメンタリーの枠から外れた本当の人間の姿を描いた映像の凄みを感じさせられました。
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