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【感想】映画『あの人が消えた』

今年一番の怪作であり、傑作を発見しました。
『あの人が消えた』という映画であり、もともと見る予定ではない映画だったのですが、予告編を以前に見てから少し気になっていたので興味本位で見たところ大当たりの作品でした。
ミステリー?サスペンス?スリラー?かなと映画を見る前に色々と推測していたのですが、物語の全体像を通してミステリー要素の強い映画であり、本作の注目すべきところは、たくさん散りばめられたいくつもの謎を伏線回収するところにあると思いました。
物語の概要としましては、人が次々と消えていくというマンションの配達担当になった丸子はある日、愛読しているWEB小説の作家である小宮と出会い、気になる存在になっていき思い抱くようになる。
隣人である謎の男の島崎は、不審な行動から、小宮のストーカーではないかと疑惑が持ち上がります。
同僚の荒川と共に島崎の正体に迫っていくのですが、島崎の行動を監視する丸子は住人たちの目撃情報や行動から島崎の真の素顔を知る。
荒川の会話劇の面白さや中盤から急速展開する事実、あらゆる場面に伏線を張り巡らした状態で少しずつ回収していくところは素晴らしかったです。
丸子視点から描かれる事件の真相と客観的視点からのミスリードの導入は完璧でありながら、回収していく伏線やギミック自体は単純ですが、何度もそれが繰り返されることで『あの人が消えた』は複合的に作品構造に深みが増していくと感じました。
どんな微細なものまで伏線を回収していき、見る側の私たちの推測を裏切り予想を必ず覆すところは素晴らしかったし、エンタメとしては最高レベルの映画だとも思いました。
『あの人が消えた』を見てから、過去に見た『あなたの番です』というテレビドラマの内容がふと脳裏を過りました。
『あなたの番です』はテレビドラマとは別に劇場映画化もされており、私はどちらも見たことがありますが『あなたの番です』のドラマ版と劇場版を鑑賞し、比較して感じたことは、どちらも物語を通してミスディレクションが作用していると思いました。ドラマ版では手塚夫婦で劇場版では黒島をメインに描き、重層的に伏線回収していくさまは『あなたが消えた』に通じるものがあり、こうした感覚はドキドキするスリラーな感覚を覚えさせられるものがあって伏線回収が働くことによって機能しているものだと感じました。
ドラマ版とは、また違ったディテールで描かれた本作は、もしも交換殺人ゲームが始まらなかったらという世界観として物語が展開され、船上でのウェディングパーティを舞台に、船内で不可解な連続殺人事件が起き、伏線の張り方から回収まで見事なものであるのですが『あなたが消えた』は更にブラッシュアップさせたミステリー映画として捉えることが出来ます。
本作のタイトルにもある通り『あの人が消えた』の‘‘あの人’’とは誰なのか、‘‘あの人’’こそが重要なポイントだとも言えます。
恐らく、ミステリー好きな人であっても物語の結末は誰しも、予測不可能だと感じました。

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