【感想】映画『室井慎次敗れざる者(前編)/生き続ける者(後編)』
『室井慎次 生き続ける者』を先行上映の初日から見たのですが、この感想を書く頃ではもう上映は始まっていることに気付き、本作を見てからしばらく時間が経ってしまいましたが、色々と二部作を通して考えていたところがありました。
以前に劇場で見ました前編の『室井慎次 敗れざる者』を踏まえて、本作はテレビドラマや映画でもお馴染みの踊る大捜査線シリーズで俳優の柳葉敏郎さんが演じる、室井慎次をピックアップした作品になっています。
室井さんと言えば、警察内の組織では重要な存在と大きな立ち位置を占めており、彼は警察を辞めて故郷の秋田へ帰って、里親として二人の少年たちと穏やかに暮らしているところから物語が始まります。
平穏な日常生活の中で、ある時、室井さんの前に謎の少女が現れ、近辺付近で何者かの死体が見つかり事件が起きます。
後に、その少女は猟奇殺人犯で捕まった日向真奈美の娘であることが分かっていきます。
前編の『室井慎次 敗れざる者』を見た印象としましては、田舎での里親として子供達と穏やかに過ごす日常というのは、躍るシリーズの警察組織の事件性としての特徴はかなり薄く描かれており、どちらかと言えば室井さんと子供達とのヒューマンドラマとしての性質が強いものだと感じさせられるものがありました。
子供達が室井さんとの生活の中で少しずつ大人へと成長し、彼らなりに自立していき、室井さんの持つ正義感を引き継いでいくところは感動させられるものがありました。
後編の『室井慎次 生き続ける者』は、前編の続きで事件被害者と加害者家族のタカとリクを里親として引き取り、続いて杏という少女も引き取ることとなり、杏が現れてから室井さんの日常は少しずつ妙な違和感の覚える日常へと変わっていく。
ある時、服役を経て出所してきたリクの父親が室井さんのもとへ現れます。
前編の『室井慎次 敗れざる者』と後編『室井慎次 生き続ける者』では、タカとリクの成長譚や室井慎次という一人の警察官の人生を知るロードムービーとしても見れるのではないかと思いました。
二部作として、躍るシリーズとしては尺が長いところや躍るシリーズ特有の空気感など、二部作を一つの物語として捉えた時に感動は大きいが、踊るシリーズとして難しいと思えるところも映像の中では見受けられるところもあったりしました。
ただ、物語展開をロードマップに置き換えて考えた時、やはり‘‘室井慎次’’という一人の人物の扱い方が、躍るシリーズの熱狂的ファンでない私が見ても酷いところがあるなと感じさせられたところは印象としてありました。
二部作を通しての賛否の解釈の正誤性はないと思いますし、純粋に映画を見て楽しめればそれでいいと思うのが私なりの考えであったりします。
前編の敗れざる者、後編の生き続ける者を終えて、新たな躍るシリーズが始まる予感は期待と不安のどちらもありますが、織田裕二さん演じる青島の活躍ぶりは今後楽しみにしています。