【感想】映画『他人は地獄だ』
この世で一番怖いもの、それはやはり人間だと『他人は地獄だ』を見てそう思いました。
心霊ものやヒトコワなど、ジャンルによってそれぞれ違った怖さというものがありますし『他人は地獄だ』は間違いなく後者であります。
普段はジャンル問わず、好きなもの、気になるものはとりあえずおさえて見る感じなのですが、本作のキーマンである、キリシマというサイコキラーを演じた柳俊太郎さんの演技は本作で十分活かされており、とても良かったです。
物語の概要としましては、地元から上京してきた、ユウは恋人のメグミの元へ訪ねて同棲したいことを伝えるが拒まれケンカして行く当てを失い、格安のシェアハウス‘‘方舟’’というところに流れ着いてしまいます。
そこには明るく愛想のいい管理人のよし子をはじめ、マルやゴロー、そしてキリシマがいてユウは彼らの様子に違和感を覚え始めるようになる。
ユウが入居した夜に、住居人のヤクザ風の山口とマルが口論しているところを目撃し、彼らの仲裁に入ろうとしたところをキリシマが自分に任せてほしいと言い出す。
翌日、山口は方舟から消えておりユウはキリシマの言動から嫌な予感を覚え始める。
キリシマとは何者なのか、入居者たちの正体は誰なのかが本作の見所であると思いました。
キリシマから伝染する狂気と殺気は異常であることは間違いありません。
よし子やマル、ゴローも彼同様、完全に狂っていることが明らかになるのだが、恐らくキリシマが纏っている根源的な悪によるものによって、それが原因だということが窺えられます。
侵食していく狂気の連鎖、就職先での嫌がらせ、パワハラにより、まともだったユウの精神は少しずつ崩壊していき、彼は着実とおかしくなっていく。
人間の真の恐ろしさを痛感させられるものがあり、徐々にキリシマという男の正体も理解することが出来ます。
劇中でキリシマがジュンに語りかける‘‘あなたはどんな地獄を背負っていますか?’’というセリフが今でも脳内によみがえってきて、語りかけてくるところが忘れられない衝撃的な作品でありました。