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【感想】映画『セプテンバー5』
現実で起こり得る事件をリアルにフィクションとして落とし込むということは非常に難しい技術だと考えさせられた映画を見ました。
ミュンヘン五輪中にテロ行為が起き、突如報道に切り替わり、最悪な非常事態である世界初のテロ生中継を放送する『セプテンバー5』という作品はとても緻密でリアルに描いています。
カメラに映し出されたテロリストたち、危機的情報に対応していく為に番組制作と報道をどのように伝えなければいけないのかということを考えさせられました。
人質にとられた人たちの安否からテロリストたちの予測出来ない行動など、テロ発生から終結するまでをジャーナリズム的に捉え、TVクルーに焦点を当てて描かれる生中継から私たちは映像から何を感じるのだろうか。
テロを伝える番組司会者のマッケイの映像とやり取りするTVクルー達との演出もかなり面白かったなと思いました。
そもそもテロリズムというのは、政治的や宗教的、イデオロギー的な目的を達成する為、『セプテンバー5』には、見る行為により想像力によって意図的に恐怖心を広げる効果や社会的混乱や政治的圧力を生み出し、構図を描くための手段として描かれているのではないかと感じました。
テロリズムが直接与える影響として、心理的影響や政治的影響を及ぼすものがあると考えさせられました。
複雑で多面的な問題がある一方、ジャーナリズムとの関連性を窺え、自由な報道には限度があり、言論の自由が憲法で保証されていますが、メディアの役割は非常に重視されているのではないかと考えられます。
近年のグローバルな情報環境の変化により、メディアというものも新しい形での挑戦に直面しているのではないかと本作から感じました。
テロリズムに弾圧とメディア倫理の重要性、『セプテンバー5』は映画史においてもかなり、挑戦的で実験的な映画であると私自身は思いました。
緊迫するテロリズムの結末は、最後まで目が離せないものがありましたし、この体験は映像でしか味わえないものがあると感じました。
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