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【感想】映画『まる』

有名人になりたいとか、注目されてチヤホヤされたいという気持ちは学生の頃、よく思い描いていたことがあります。
今はそうした気持ちは全然なく、会社員として平穏な毎日を過ごしながら生活出来ればそれで十分だと思っています。
もしも、自分がわけも分からず有名人になったらどうするか『まる』はそうした日常から突き放され、非日常へと変わってしまった、ある男の悲劇的な物語であり面白かったです。
だが、ある日突然、普段の生活が自分ではない日常が転がり始めたら上手く適用出来るのだろうかと思うし、自分だったら絶対に戸惑ってしまうだろうと思いながら『まる』を見て感じました。
物語の概要としましては、才能のない沢田は美大を卒業してから現代芸術家の絵を描くアシスタントをしながら日々を無為に過ごしている。
クリエイターではなく、職人として指示されるがままに自分の描く芸術が定まらずにいるところも、現代社会に生きづらさを抱えながら悩む若者たちを描いているような感じがしていてリアリティーがありました。
ある日、通勤の途中で事故で腕を骨折してしまい沢田は失職する。
だが、沢田は自分の部屋にこもり、蟻に導かれ一つの‘‘まる’’を描く。
沢田がたまたま描いたまるは、たちまち世間で大評判となり一躍時の人となるところが実に面白かった。
SNSでも沢田の描くまるは拡散され、沢田は現代アーティストとして有名人となり、いつしか皆、沢田の才能に惚れ込み自分こそが、‘‘沢田’’だと言い張るようになり、沢田は世間に注目される一方、人生が予想外に転がり始めるところが本作の見所でもあると思いました。
奇想天外な物語であり、沢田がアルバイトして働くコンビニの同じ従業員である森崎ウィンさんのコンビニ店員がいい人過ぎて心が温まる思いがありましたし、彼の人柄がとても良かったです。
‘‘まる’’という絵の芸術に皆、心酔し信仰する様子は前作の『波紋』を彷彿とさせるものがありました。

独創的なユーモアが溶け込み、まるの虜になりましたし、沢田を演じられるのは堂本剛さんだからこそ演じることが出来る人物像であり、沢田という男はどこか不思議な感じではあるが、魅力的な人柄でもあると思いました。

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ゴロウ@読書垢/Noter
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