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【旅エッセイ78】相模原麻溝公園のキンケイ

アニマルセラピーという言葉があるように、動物と触れ合うと人は癒される。

伊豆アニマルキングダムでサイに触れた時はうれしかった。東京ドイツ村ではカモにエサを与えようとして取り囲まれた時も、取り囲んでくるカモの体温の暖かさに「天然の羽毛だ!」と驚いた。

でも今まで動物との触れ合いで一番嬉しかったのは、神奈川県にある相模原麻溝公園の「ふれあい動物広場」に行った時。

相模原麻溝公園は、展望台や広々とした芝生の広場やアスレチックがあり、たくさんの人で賑わっている。

子供連れやペットを連れて走る人、ひとりで楽器を吹いている人もいれば屋外のカフェでお茶をする友人同士もいる。もちろん、ひとりで散策する人も。

私は結婚もする前で、近くに住んでいる友人とその娘ちゃんと三人で遊びに行った。

友人の娘ちゃんはまだ2歳で、最初は人見知りで大人しかったけれど、芝生の広場でボールを投げると一生懸命に掴んで、私に向かって投げ返してくれた。今年になって入学式の写真が送られてきて時の流れる速さを痛感している。

へとへとになるまで遊んだあと、三人で入ったのが無料のミニ動物園である、ふれあい動物広場。

無料と聞いて、私は動物が何匹かいるだけの寂しい広場を想像した。せいぜいウサギとリスとモルモットくらい居れば良いかな、無料だしな…と思っていた。

想像通りふれあい動物広場にはウサギ、リス、モルモットがいた。想像通りだったのはそれだけで、ポニーが居てヤギが居てブタが居ればウシもいる。クジャクにリスザル、リクガメがいる。そして何よりたくさんの鳥を間近に見られるゲージがある。

ゲージの中は入れるようになっていて、文鳥が目の前を飛び、頭上を飛び、足元をインコが歩きカモが鳴くところを好きなだけ堪能できる。

これだけ楽しめて無料とは!と、友人と2歳の娘ちゃんを差し置いて私はひとりでテンションを上げていた。

その時に初めて気付いたのは、どうやら私は鳥も好きみたいだ。

そう言えば昔は多摩川を泳ぐカモを飽きずに眺めていたし、町の中でキジバトを見るとテンションが上がる。野生化したオウム(東京、神奈川ではよく見られます)を見た時に「あれは野生で生きられるのか!?」とハラハラしたのも良い思い出です。

私はこんなにも鳥が好きだったのかと感激し、文鳥とツグミをマジマジと観察する。

何よりもふれあい動物広場では、生まれて初めて見たキンケイの姿に見惚れた。金色の頭と背中、真っ赤なお腹にヘビのように長い尾。こんな鳥が実在したの!? と、またも二人を差し置いてマジマジとキンケイを観察する。

キンケイはキジ科の鳥で、あまりにカラフルなのて昔は実在しない伝説の鳥だと信じられていた。こんなものイラストだけ見せられたら私だって存在を疑う。

悠々と歩く伝説のキンケイの姿に心惹かれて、何枚も写真を撮った。

これだけ楽しめて無料なのだから、近隣の家族には強い味方だ。

子供が産まれて初めてわかったのは、お金をかけずに遊べる場所、思い切り走り回れる場所のあることがいかに心強いか。

あの頃は「2歳の子は元気があってイイネ」くらいに考えていたけれど、体力の有り余る2歳児はまさにモンスターだ。足腰もしっかりして、家中を走り回れるようになって、背も伸びたからあれやこれやと手を伸ばし引っ張りだして、目を離した一緒で部屋中をひっくり返す。

そんなモンスター2歳児の娘を連れて、今度晴れたらキンケイに会いに行こうかな、なんて写真を見て思う。

色々なことに興味を持ち始めた頃だから、きっとキンケイの姿を見てまた驚いてくれるだろう。



また新しい山に登ります。