【人生ノート314】
自己本位は間違い
個々別々の、自分本位の考え方は悪いということを言いましたが、一本の木は根によって支えられているから、根は単独で生きてゆけるかというに、そうはゆかない。土がなければ根は生きられず、土だけがあっても水がなかったら、日光が射さなかったらだめである。ところが、その水は遠方から流れ込むものであり、日光は上からくるものである。しかも、また、土を支えているものに岩石があり、土壌がある。
こういうふうに、ずっと考えてゆけば、宇宙全体が、その木のために働きかけたいるということになるのであります。
だから、ただ木一本だけをとって考えることはできなくなるのであります。
人間もそれと同じでことで、自分というものだけを社会と離して、自分本位に考えたり、自分ためのみ自分があると考えるのは、あきらかに間違いである。経(たて)に神があり霊界があり、緯(よこ)に環境があり人間社会があって育ててもらい、発育させえもらっているのが人間であります。
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うき世とは斯かるものぞと知りそめて
昔のごとくものを苦にせず
得堪へじと思ひしこともいくたびぞ
されども遂にわが堪へて来し
『信仰叢話』出口日出麿著