【症例検討会】 DAPAカンファレンス(医鍼薬地域連携)に参加して #1/2
こんにちは。鍼灸専門 一齊堂の東豪です。前回の続き。
▼本日の【症例検討】はこちら
Case35は私、東から発表させて頂きました。
初めての公式の場(厳密にはDAPAは学会発表と異なりますが、医師や他の鍼灸師の前での発表でしたので、一応、公式ということにします)においての症例発表でしたので、反省点はたくさんありました。
ただ、第一歩を踏み出すことができたのは良かったですね。
Case35・36のカンファレンスで参考になった点を整理しておきたいと思います。
●Case35【子宮筋腫核摘出手術後における子宮留血(膿)症の症例】
子宮筋腫をお持ちの患者さんは、鍼灸の現場において比較的よく遇う病気の一つではないかと思います。
今回のCaseは、子宮筋腫の手術後の様々な合併症に対する鍼灸治療と医療機関との関わり方について考えたり、様々な処置を施しても思うにいかない患者さんの心のケアについて考えたりと、非常に複雑な経過を追ったものだと思います。
詳細は省きますが、処置後の経過がなかなか建設的な方向に進まない場合、鍼灸師の立場から医療機関への受診に対する行動要請を、【ハッキリ】と伝えないといけない場合があるという貴重なアドバイスを頂けました。
手遅れになると、重大な状態に陥ってしまうこともあるのでね。
その他にも、「銅が含まれている装置により常在菌がいなくなり感染症への防衛力が少なくなってしまう」とか、「呼吸数が30回/minを超えると呼吸器症状ではありえない呼吸数で菌血症の可能性がある」とか、「膿が溜まってしまうと血管が届かないため薬を飲んでも効かない」など、かなり専門的な医学的ご指導も頂けました。
誠に感謝申し上げます。
●Case36【漢方クリニックからの紹介 10代女性続発性無月経の症例】
こちらのCaseは幼い頃からバレエをしている女の子の症例。
BMIが20.0を切ってしまうと排卵が起こらないだけではなく、この方の様にBMIが16.0の場合はあきらかに痩せすぎで、子どもの時の栄養不足により成長発達がうまくいかない器官があると、その不具合が一生残ってしまうこともあるようです。
肥満による病気もさることながら、痩せていることが、大変な病気に繋がることがあるということです。これは、痩せている信仰が強い現代においては、非常に重要な掲示だと思います。
『この子にとってバレエとは、どのような存在か?』
非常に興味深いフレーズが挙がりました。
まず、子どもでありながら非常に痩せている場合には、【摂食障害】を疑わなければならないとのことです。食べているといっても手に吐きタコがないかなど、問診時の言葉の情報だけではなく、身体から読み取れる情報があることを指摘されていました。
次に、子どもの摂食障害の背景には、親子間の破調(トラブル)が潜んでいる可能性があるため、子どもさんのみならずご両親を含めた広い人間関係を観察する必要もあり、場合によっては、児童精神科への受診も必要なこともあるとのことでした。
このあたりは鍼灸師からは難しいけれど、我々のような立場から専門医療機関へのコンサルがスムーズにできるようになると、地域に頼られる町医者(鍼医者)として、社会での存在意義が深まるように思いました。
最後に、『この子にとってバレエとは、どのような存在か?』ということについて議論がありました。
幸いこの方は、すでに30代を迎えすっかり健康になられたとのことですから、今は全く問題はないわけです。しかしながら、当時のこの方にとってバレエがどのような存在だったのか、様々な想定に考えを巡らせました。
例えば、親から逃れるための安心を感じる場所だったのではないか、とか。親からの圧力と感じるものだったのではないか、とか。行きたいという気持ちはあるものの、行くとなぜ体調が悪くなるのか本人にもわからない場合もあるのでは、などなど。
まとめ
もう過ぎたことで本当のことはわからないわけですが、鍼灸の臨床家としては「眼に見えないモノゴト」をいかに感じ、できるだけ自身の思考のバイアスを排除し、語り手の言葉・身体に現れる徴候・微細な仕草・纏う空気感などの事実に基づきながら、“妄想”ではなく“想像”できるかどうか、というこに掛かっているのではないかと思います。
言い換えるならば、今、目の前にいる患者さんがどのような生活の中で、どのような気持で生きてこられたのかという事に“思いを巡らせること”ができるかどうか。
今日はこの辺で。