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「海辺のカフカ」の雑談

こんばんは、あずき(夫)です。

海辺のカフカ、読み終わったんですが、全然おもしろく読めました。笑

最初に読んだのが、確か高校生の頃(本作の主人公である15歳に近い頃)だったので、「こんな15歳いるか?」という感情移入のしづらさにつながったのだろうなと思います。今回はあんまり主人公の年齢やらを気にしないで読めました。読み返したのは十数年ぶりです。

改めて読むと、本作はテーマをかなりわかりやすく書いているし、また他の作品にあったモチーフを継承したり別の書き方をしたりしているなと思います。高い評価だったのも納得できるし、今後はまた読み返すこともありそうです。

村上春樹作品によく登場するテーマとして、以下のようなものがあります。

・悪の存在、父からの(呪いの)継承
・あちらの世界とこちらの世界
・愛する者を失った者がどのようにして生きるべきなのか、という問いと答え

たぶんこの辺がイメージつくと村上春樹作品を読みにくいという人もクリアしていけるような気がしています。

***ここからいろいろな作品のネタバレが含まれます***

・悪の存在、父からの(呪いの)継承
これは「羊をめぐる冒険」でも描かれていました。羊をめぐる冒険では、「悪」は羊であり、「鼠」の父親がそれを持ち、息子である鼠にそれを継承しようとしました。そして鼠は悪を受け入れることを拒否し、自ら命を断つことで(一時的に)悪の存在をこの世から消します。

「海辺のカフカ」では、「悪」はジョニー・ウォーカーであり、田村カフカの父親にとりついていました。そして、ジョニー・ウォーカーはナカタさんを乗り物として田村カフカを追いかけます。

「悪」は、初期作品ではひとりの存在(ひとつの強大な悪)として描かれますが、「1Q84」では目に見えない、小さいもの(リトル・ピープル)として描かれたりしています。また、本作で謎のフェミニストが大島さんの元に現れて撃沈する場面がありますが、彼女たちのような「思考停止した存在」も悪を生み出す温床として指弾しているように感じられました。

・あちらの世界とこちらの世界
これはあらゆる作品に登場します。「ノルウェイの森」の直子はあちら側(=死んだ)にいる恋人を思い続けて心はあちら側にあります。「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」では、「世界の終わり」が夢(心)の世界であり、「ハードボイルド・ワンダーランド」が現実世界の話になっています。

本作における佐伯さんは心があちら側にある人物であり、主人公も森の中であちら側の世界に行き、そして現実世界に帰ってきます。

・愛する者を失った者がどのようにして生きるべきなのか、という問いと答え
本作においては、佐伯さんに恋をした主人公は、佐伯さんに「私のことを覚えていてほしい」と言われ、それを自分が生きる意味として現実世界に帰ります。

「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」においては、いろいろなものを失った主人公が、最後は心の殻に閉じこもることを選択します。

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雑談にお付き合いいただきありがとうございました。村上春樹作品はいろいろな見方ができるので面白いですよね。最近、小説やらを読みたいブームが再燃しているので、またなにか別の作品を読むかもしれません。

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