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遠距離介護と同居介護と両方経験してみたら
遠距離の実父の介護が始まる以前から、同居の義母の認知症介護を何年も続けてきた。現在は同時進行形である。
現在義母は94歳、実父は84歳。
義母の介護が始まった頃は、これが終わったら、実家の父の介護が始まるんだろうから、参考にいろいろ準備しておこう。
そんなつもりでいた。
義母の認知症は徐々に進み、いろんな騒動を巻き起こし、私達もそれに振り回されたり学んだりをしながらも、なかなか施設入居に踏み切る決定的な事も起きず、ズルズルと何年もやっているうちに、元気だった筈の父の方に病気が見つかり、あれよあれよという間に終末医療の病院にお世話になっている。まもなく実父が義母を追い越すだろう。
こういうのは、なかなか思っていたような順番にはならないようだ。
認知症の義母への対応に悩んでnoteの記事にもその事ばかり書いていたが、実父の状態が悪化するにつれて、もはや義母への対応は私の中ではどうでも良くなってしまい、全く悩まなくなった。私って意外に薄情だったんだなぁとも思うが、とてもじゃないけど全てを受け止め切れないので、義母の事は最小限で、後は夫に任せる事にした。家事はやるけど、精神的には一切悩まない事にした。
やるべき事を一つに絞ったので、精神的には楽になった。そうさせてくれている夫は、意外にいいヤツだなと見直してもいる。
義母の事をだいぶ客観的に捉えられるようになったら、どうしても現在進行形の二人の老人の状況を比べてしまう。
父は、30年前に母が亡くなった後にずっと一人暮らし。私達3人兄弟は、それぞれ東京大阪で就職結婚。広島の実家には、年に一度か二度の帰省が精一杯で、ずっと一人暮らしだった。気ままではあるが、寂しい事も不便な事もあったと思う。なので、今まで一人で頑張ってきたが、いろんなことが出来なくなってケアマネさんや看護師さんにお世話になり始めた頃から、看護師さんはスゴイ!を連発し、ケアマネさんにも世話になったと言い、周囲の人に心から感謝している。トイレくらい自分で行けると頑張っていたのがついに無理になり、下の世話を全部してもらう事を受け入れる迄には葛藤があったとは思うけど、事実を受け入れて素直に感謝しているところは素晴らしいと思う。私達子供に対しても、不満も泣き言も言わず、ありがとうとしか言わない。私達が子供の頃は、父は昭和のカミナリ親父で煙たい存在だったのに、今はちょっととぼけた可愛いお爺さんだ。介護する方もされる方も関係性が良い。介護状態になってからの期間も短いので、周囲もまだ疲れてないのもあると思う。残された時間が短い事がありありなので、周囲がみんな一球入魂の全力投球で対応している。
それに反して、長いことかけて認知症が進んだ同居の義母は、自分が介護されているとは全く思っておらず、介護拒否が激しく、外部のヘルプも一切受け入れることはない。そして、その状態が何年も続いていて終わりも見えないし、認知症の対応はなかなか家族にとっては気力体力が削がれていく。認知症なのでしょうがないのだけど、可愛げが全くないので、私達家族との関係性もどんどん悪化。というか、周囲はみんな諦めモードの塩対応。本人病気なのだから仕方ないとはいえ、私達も人間なので、なかなか難しい。
義母がいろんな事が少しずつできなくなってからは、私達がずっとカバーしてきた。特にプライドが高くバカにされたと思うと怒り出すので、あまり露骨にやってもいけないと、さりげなくやり過ぎた。実の息子である夫はそれほど気も使わないが、嫁の私など、相当気を使ってさりげなくやり過ぎた。もっと、これみよがしにやっても良かったのかもしれないと反省しているくらい。
自分自身が本当に困ってどうしようも無くなったという経験がないので、誰にも迷惑かけてないのに周りが余計なことばっかりするというのが義母の言い分。加えて、自分自身が誰の介護もした事がないので、こんな感じに歳をとるという想像もつかなかったらしい。
義母は、私達息子夫婦とずっと暮らして、孫とも同居して、実の娘も車で30分の距離に住んでいて行ったり来たりしていた。義父は76歳で半年であっさりと亡くなったので夫の看病で苦労した事もないし、自分はどちらの両親の介護もせずにすんでいる。随分と恵まれたおばあさんだった筈だ。
でも、今では、自分は息子夫婦に粗末にされてみんなに意地悪されていると思い込み、不平不満を垂れ流し、益々家族に疎まれる始末。
遠距離介護だと、できる事は限られる。時間も限られる。なので、メリハリがつくのがいいところかもしれない。離れているので直ぐには駆けつけられないが、その分、切り替えもできて、離れている時はしょうがないとも思える。
同居の場合はやろうと思えばエンドレスなので、心の込め方がすごく薄くなる。それは、どうしようもない。
どっちが良かったんだかよくわからない。
なんか、父の方がいい様な気もする。
義母も、ああなりたくてなっている訳ではない。でも、なんだかんだで最終的に帳尻が合う様になっているのかなとも思う。
私も文句たらたらおばあさんになるかもしれない。
自分は最後どうする?といろいろ考えてしまう。
もはやコントロール不能になっていると思うので恐ろしいけど、出来れば、父の様でありたいと思う。
義母もそんなに悪い人じゃなかったし、いいおばあちゃんだった面も沢山あったのに、なんだか残念な感じになっているのが可哀そうだ。
うーむ、人生いろいろ。