読書感想文 阿佐ヶ谷姉妹ののほほんふたり暮らし
私は昔から中年以上の女性が慎ましくひっそりと暮らしている系の話が好きなのだけど、予想に違わず素敵な本で、わぁ、こんな暮らし羨ましいという本でした。仲良しの女友達と暮らしていける人生って楽しそう。
私は大学生の時、学内にある寮に住んでいた。同じ部屋に三人ずつ、15部屋ほどあったので、45人程いたことになる。お風呂も洗濯機も共同、細々と自炊して分け合ったり、小さな冷蔵庫をシェアしたり、門限に遅れる時はこっそりドアを開けてもらったり、電話当番があったり、今思えば、よくあんな生活できたなと思うけど、思い出しても懐かしいし、当時は不便だともなんとも思わず、女の子達で結構わいわい楽しく暮らしていた。
それをいいおばさん(失礼)になっても、ずーっと続けられているこの二人。羨ましい。
この方達よりも私はさらにオバサンで、そして、定年した夫が常に視界にいるという状況なのだが、二人のずっと一緒にいる人間がどんな風な心持ちで暮らせば良いかというヒントもここにたくさんあった。
まず、ミホさんが、「エリコ過多」と言って、同じうちに帰るにもかかわらず、隙あらば、一人になろうとするところ。あるある、こういうのあるよねー。いつも夫が過多で、なんとか私も一人になろうと頑張っている。夫の方も、私が出かけているとホッとしているようではあるが。
もう一つ共感したのは、エリコさんが、ミホさんに対して、ちょっと冷たいんじゃない?私なら、こうするし、私はミホさんに対してこうしてあげている。とちょっと腹を立てるところ。その挙句に、いやいや、私ならこうするというのは、私が勝手に思っていることで、それをミホさんに押し付けるのは違うのかもしれない。と思う件。
まさに、あるある。夫の無神経さに呆れて腹を立てる事を何度も繰り返してきたが、私の正義を勝手に押し付けてはいけないんだよな。と、エリコさんの気持ちに共感。
そして、今ではアパートの隣の部屋に住む彼女達。ご飯はミホさんちで一緒に食べているらしい。
私も、夫とは、同じアパートに住むくらいが理想だな。その場合は、隣の部屋はダメで、2階と4階とか、階もできれば離れているといい。ご飯は食べに来てもいいけど、私がお出かけの時は、自分でやってね。こんな感じだといいんだけど。
このエッセイには、ミホさん書き下ろし恋愛小説 「3月のハシビロコウ」とエリコさん書き下ろし恋愛小説 「ふきのとうはまだ咲かない」 が掲載されているが、この二つがまた面白かった。「3月のハシビロコウ」に出てくるようなゼリー屋さんが、私の住む街にもホントにあるといいなぁと夢見ている。
私の平凡で慎ましい毎日も、お二人のような視点で見つめてみれば、のほほんな楽しい毎日になりそうです。