速水御舟 作『炎舞』を書く ③
自慢話を書くつもりは無く、自惚れ話を書くつもりもないのだが________
速水御舟の手による様々な作品を眺めてわたしが感じたことの一つとして、北方ルネサンスの巨匠である、アルブレヒト・デュラーの作品との近似性と相似性、そして凝着姿勢をあげていることは、2/27の原稿(Link 絵画は楽しく美しい______)を読んでもらえば分かるのだが、それはどうやら当然のことだったようだ。つい先日までは、観念的であり感覚的に感じていたことが、事実として速水御舟がデュラーに傾斜を見ていたことがわかった。自分の持つ感覚の裏付けを取ることが出来たことの意味は小さくはない。
参考書籍『アーティストジャパン39号 速水御舟 2007年10月23日』
速水御舟の空間支配能力の高さについては、今更書くまでも無いのだが、同じことがデュラーにも云える。
例えば、わたしが速水御舟の柘榴や花の画を観たときにイメージしたことはデュラーの「野うさぎ」に通じるものだった。写実とリアリズムを生かすも殺すも空間を何処まで支配できるか________。
一つ云えることは、デュラーは「今」という瞬間を切り取っているのだが、速水御舟は「今の先」にあるものを見せようとしていることである。
言い換えれば「時を止めた作品と時を切り抜いた作品」の違いとなるだろうか。
なんとも不遜な書き口となることを許してほしい。わたしにとって大切なことは、自分で感じ切ることに他ならない。
画との対峙を通して作者______画家との対話が凡てだ。
同じことは、小説や詩にも云えるのである。
それは宗教や信仰の姿勢に通じ、神との対話に通じるのである。
山種美術館
2023/05/20 ~ 2023/07/17 「小林小径と速水御舟」展
〒150-0012 東京都渋谷区広尾3-12-36
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