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世一の勉強部屋

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noteは本当に勉強になる。 こんな勉強部屋を少し前までわたしは知らなかった。 少しずつ増やしてゆきます。スキしてくれた人は覚悟して。 本当はキチンとお知らせとお礼をすべきところ…
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#掌編小説

随想起抜 『出会った瞬間ギブアップ・noteクリエーター編 2 』

本当に沢山のおはこび、スキを頂戴し、心より御礼申し上げます。ここで紹介するのは3回か4回目ぐらいになると思うのですが、お目の高い読者様の支持を得ている間学氏が素晴らしく、わたしも本当に楽しませて頂いております。末席から微力ながら応援してまいりたいと存じます。 07/11 世一 随想起抜 『出会った瞬間ギブアップ・noteクリエーター編 2 』 どうやら少しずつ戻ってきたようだ。 自分が分かっていれば良いだけであるからして、わざわざ書くまでも無いのだが、それではここのネタ

【詩】ジャニスの心臓

呪いの花瓶

「これはもう、捨ててしまおう。」 そう思い立って、花瓶を新聞紙に包んだ。 「それ、もう使わないのか?」と、 庭の花が驚いた声で言う。 この花瓶に花を入れたら、みんな枯れてしまうんだ。 最後には、枯れた花を始末しなきゃいけない。きっと呪いの花瓶だよ。 「そりゃ、聞いた話とずいぶん違うな。」と花は言う。 「そこに入ってる花はとても幸せそうに見える、って評判だよ。」 「試しに、君が入ってみるかい。どうなっても知らないよ。」 これできっと最後だ。そう思いながら、新聞紙をはがす。

人類滅亡後日談

この星に、人間はもういない。 一人も生き残らなかったのか、 それとも、どこか他の星に引っ越したのか。 最後には、人間以外の動物と、植物、虫、魚… それから、機械だけが残った。 人の形と変わらない機械もあるけど、人間じゃあない。 「退屈だねえ。」と、つい声に出た。 「プログラムされてないことを言うなよ。怒られるぞ。」 「別にいいだろ。怒る人間がもういないんだから。」 私たちの仕事は、生き物を守ることだった。 たとえば、人間が減らした森を元に戻したりだとか、 汚れた水をきれ

あなたも誰かのご先祖様

「僕に子孫はいないんだけど。」 「あなたの前世の話ですよ。生まれ変わる前の。」 緑色の馬に乗った人が、急にそんなことを言ってくる。 こちとら、孫も子供もいないってのに。 お盆といえば、ご先祖様をお迎えする行事。 ということは、 ご先祖様にしてみれば、子孫のところへ行く行事。 そういうことだ。 「あなたも誰かのご先祖様なんですよ。」 「なんにも覚えてないんだけどな。」 「まあまあ、来るだけ来てください。」 キュウリの身体をしている馬が、 僕を乗せて、急ぎ足で、走り出した

掌編「味噌おでん」

 十八歳。独り立ちして初めての冬、名古屋。  仕事帰りの深夜、急におでんが食べたくなってコンビニへ寄った。実家では毎年寒くなると母親が作るおでんが飽きる程食卓に出て来たから、まさかいきなり外で食べたくなるとは思わなかった。大根や玉子、がんもなんかを容器に詰めてレジへ持って行き、会計を済ませようとしたら、店員が蓋の上にからしと味噌を付けた。家に帰っておでんの容器をテーブルに載せて、俺は一人でツッコんだ。 「おでんに味噌って何?」  おでんと言えばだしと醤油味と決まっている。