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『文藝 2023年秋号』
向こうから阿久津真矢が、歩いてきそうだ
町屋良平「生きる演技」
ナイスタイトル。装丁がかわいらしくて、『1R1分34秒』を読んだのはもうずいずん前のことだ。格闘技要素が入りがちである。町屋さんの身近にあるのだろうか。あるのだろうな。結末にストーリーまでも入り込ませられる。一人称は‘かれ’。
尾崎世界観「電気の水」
検索→AI。
尾崎さんが小説を書く動機を大いに告白している。過去と未来じゃなくて、今への向かい方が短く短く示されている。
滝口悠生「恐竜」
子どもという存在のおもしろさを嫌な感じなしに書く。やんわり注意の傷つき描写以外は大丈夫である。父親は、ふいちゃんは、というふうに代わっていく不思議と未来のことを一文入れる不思議。ももちゃんで思い出した。これは続編だ。新型コロナウイルス周辺が文学に侵入している。
柴崎友香×西加奈子×村田沙耶香
「どの年齢や時間にも、初めて見える景色がある」
作家論が語られていてよかった。自分の全体を抱えて進んでいける‘職業’かつ小説家は‘職業’ではなく状態であるということの、わたしはずっと外側にいる。ずっと。
自分の心はホルモンのおもちゃ、というのはゾッとするがあまりにもそのとおりだ。
祈る村田さん。「愛のむきだし」が思い出されておしまい。