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芥生 修一
2024年6月1日 22:44
埃っぽい部屋があった。しかし、机も本棚も整頓された状態で、荒れた様子はなく、使われていた当初の部屋にそのまま薄い灰のヴェールを被せたようであった。一歩部屋に入ってみると、陽の光で埃がぱらぱらと舞って光った。つんと、知らない匂いが鼻の奥を刺した。辺りを軽く見回す。端から端まできちんと揃えられた本。少し日焼けした三枚の写真。まだ奥に続く扉。それから、一冊の日記が机の隅にあった。なんとなく手にとって、
2024年5月25日 07:25
はしがき 桜が舞った。一枚、遠い地の水面に張り付いた。きっと、何かはわからない 楓が落ちた。一枚、遠い地の花畑に迷い込んだ。きっと、何かはわからない 何かが崩れた。一枚、遠い地の私の元へやってきた。きっと、何かはわからない それがきっと、自然なのでしょう猿の幸福 ある一人の女性がいました。その女性は、寝ても覚めても、死ぬことばかり考えていました。朝起きて、どこで死のう。昼食を食