![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/3849223/rectangle_large_cba524ff836753465b97b5a0f11130e7.jpg?width=1200)
『夕凪の街 桜の国』/こうの史代
アマゾンからコピペしちゃうと「昭和30年、灼熱の閃光が放たれた時から10年。ヒロシマを舞台に、一人の女性の小さな魂が大きく揺れる。最もか弱き者たちにとって、戦争とは何だったのか……、原爆とは何だったのか……」ってなことだけど。まあ、ちょっとさすがに一言では言えないなあ(~_~;)
とにかく僕は「夕凪の街」の話が好きだったかな。原爆から生き残ってしまった者には「自分だけ幸せになっていいのか?」という死ねなかった者特有の十字架がつきまとっている。そんな主人公が会社の同僚の男といい雰囲気になる。
しかし、幸せが近づけば近づくほど、あの日、道の死体の群れを踏みながら歩くことにも慣れ、川の下で腐臭を放つ死体の群れに苛立ち、姉と石を投げてしまった記憶のフラッシュバックがおこる。
その姉があざだらけになって先に死んでいる。自分だけ幸せになるなんてできない。葛藤。恋人と抱えているものが圧倒的にかけはなれている。
そんなとき、自分もまた遅れてきた死魔に蝕まれ……
それでも寄り添おうとする恋人の思いが重なり……
去来する被爆者の心が
静かに、重く、突き刺さるように、迫ってくる。
嬉しい?
十年経ったけど、原爆を落とした人は、私を見て
「やった!また一人殺せた」と、ちゃんと思うてくれとる?
ひどいなぁ。
てっきり私は、死なずにすんだ人かと思ってたのに。
……痛烈無比。
これは読んでおいて損はないというか、日本人なら読んでおいたほうがよいレベルの逸品かと。
いいなと思ったら応援しよう!
![うたがわきしみ](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/4010928/profile_875d08837fd0d9d733b819ee98489470.jpg?width=600&crop=1:1,smart)