東京俳句紀行 その1 湯島、上野
街歩きで多くの路地、階段、坂道、暗渠などに出会います。初めて訪れる場所、何回来ても飽きない場所、いろいろあります。そして気になったものを写真に撮って収めていますが、その副産物?として一枚の写真をもとに俳句を詠んでみるということもしてみています。
見たままを五七五にしているので見たものそのまま語呂合わせなんてものが多いですが(^-^;
立秋をすぎたいまの季節感とはずれてしまいますが、まずは盛夏7月下旬に東京文京区湯島から上野不忍池あたりを歩いた時の思い出から。
季語:猛暑
湯島天神男坂下。梅雨明け宣言はなかったけれども、もはや梅雨は明けたと思える炎天下の午後、日傘の花が次々と階段を下りてきます。これからの季節には欠かせないアイテムですね。
まさに本格的な夏の暑さを語りたいため、猛暑、日傘、炎天下と夏を表す言葉が連発されてしまいました。
季語:猛暑
湯島天神男坂下の休憩処。「氷」の幟をみるとかき氷が恋しくなります。
冷房が効きすぎたところで食べるとこめかみがキーンと痛くなったりするので、暑さを感じながら太陽のもとで食べるのがサイコーですが、すぐに溶けてしまうのでスピード勝負。
季語:灼くる夏
藤といえば、俳句では夏の季語ですが咲くのは5月初旬頃の花。真夏の花ではないはずですが、湯島聖天の境内の藤は一輪、太陽に向かうように花を咲かせていました。ヒトと同じで暑すぎて調子がおかしくなったかな?
季語:暑し夏
葉を「は」と読ませ、蓮の葉で埋め尽くされた池の面を葉海原(はうなばら)と見立てました。その海原の水面から首を出すように2輪の蓮の淡いピンク色の蕾が夏の日差しの下で輝くようできれいでした。
季語:百日紅
緑波、「みどりなみ」のままで詠んだので字余りですが、緑色の葉の海原が押し寄せる岸辺で百日紅が濃いピンク色のきれいな花を咲かせている風景を表してみました。葉の緑、花のピンク、空の青、どれもが輝きまぶしかったです。
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季語:夜見世
不忍池のほとりにて夜の屋台で出番を待つリアカーたち。酒飲み客が締めのラーメンを食べに寄ってくれるか、冬であれば日本酒とおでんの組み合わせか。酔客歓迎の昼の待ち時間です。
季語:炎天下
そーす
外を歩いているだけですぐに汗が流れ出てしまう夏の日差し。そんなときにはさっぱり、のど越しがいいものを食べたくなるものかもしれませんが、なぜかそのような暑さの日でも食べたくなるソース焼きそば。そんな気持ちを表した一句です。そしてこのあとこの屋台で焼きそばを買い食べました。太麺で期待通りおいしかったです。
季語:朱夏
上野夏祭りの日、不忍池のほとりで猿使い、猿回しが開かれていました。猿は馬を護る縁起のよい生き物として古来から重宝されていました。特に江戸時代になると年始のあいさつで将軍様の厩で猿回し芸を披露するなど、特別な存在として扱われ、芸能などの総元締、浅草弾左衛門の管理下におかれていました。いまはその時代とは異なりますが、このような祭祀に縁のある場で芸を披露するのは昔も今も変わりません。
朱夏は、猿の衣装の赤色と夏の色、朱を掛け合わせてもみました。
ところでなぜ猿が馬を護るのか?陰陽五行の考えでは、馬は火であり、馬が盛んになると世の中が荒れる。火が盛りになるのは戦乱と考えられ夜が乱れるというわけです。事実、古来馬は軍事物資なので、あっていますね。そして猿は水。だから荒れる馬を鎮めるのは猿の役回りということだそうです。
季語:緑陰
朝から開いている蓮のピンク色の花も午後になるとそろそろお疲れ。大きな葉っぱの陰で一休みしたいでしょうね。これならばこもれ日程度でちょうどいいかな?
季語:日傘
歩いているだけでも暑い暑い。こんなときは強い陽射しを遮ってくれる遮蔽物があると助かりますね。それが、女性が差している日傘であり、池の生き物にとっては蓮の葉であり、弁天堂の大屋根です。弁天堂の大屋根?日傘と形が似ているので、傘の大親分ということで加えてみました。
季語:夕焼雲
一日の終わり、不忍池の蓮にも夕暮れがやってきます。陽が池の向こう、ビルの谷間に沈んでいく様子を見る人たち。長くなった影がこちらに伸びてきています。
この場所は池之端であり、実際に池の端っこ。池之端でかけてみました。
実際には2日間にわたって湯島と上野不忍池を短時間ずつ訪れたときに撮った写真をもとにまとめてみました。
句の最後に書かれている「辿蹊」はわたし露塵散の俳号です。
意味は蹊(こみち)をたどる(辿る)。街歩き、散歩が趣味、特に路地を巡るのが好きなところから俳号にしてみました。
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