明智光秀ん
ぶり大根藤勇に続き、大根使用レシピ。
冬で大根となれば、やはりおでん。
大根 5センチ
卵 3
こんにゃく 1
厚揚げ 1
がんもどき 5
炒り子 4,5匹
味醂 大匙 1
醤油 大匙 1
八丁味噌 大匙 4
大根消費のためにおでんですが、私的にもう一つの目玉具材がこれ。
こちらの要領で作成。ただし芹がないので、鴨どきではなくがんもどき。↓
大根を1センチ厚さに切り、十文字に切り込み。
土鍋に水を張り、炒り子と大根を入れて沸騰させる。ぶり大根藤勇の時にも書きましたが、固い大根を先に茹でて柔らかくするためであり、出汁を染み込ませるためでもあり。
茹でている間に、別の鍋で茹で卵作成。湯が沸いてから塩を入れて、そっと卵を沈めて、10分間茹でる。
茹で卵が出来る前に、土鍋が沸騰。切り込みを入れたこんにゃくを土鍋に投入。
茹で卵が完成したら、厚揚げとがんもどきと共に投入し、味醂、八丁味噌、醤油を投入。後はひたすら煮込みます。
ぐつぐつと赤黒い汁が沸き、湯気が上がり、具も色づいていく。紅蓮の業火のように。それを見ていると、炎に包まれる本能寺を連想。(ものすごい妄想力)
煮上がるまで、本能寺の変や明智光秀のことでも考えるか。
そもそも明智光秀は何故、本能寺の変を起こしたのか?その後、何をしたかったのか、謎が多い。
教養もあり、頭脳も明晰だったと言われる光秀。主殺しをして、その後、自分が天下人になるつもりだったにしては、変の後の動きが鈍い。
本能寺の信長を襲った理由についても怨恨説、野望説、誰かに唆された説等があり、はっきりしない。
小説ですが、もしかしたら?と思われる物語を読んだことがあります。
岩井三四二氏、「光秀曜変」
この小説の光秀は67歳という高齢。平たく言えば、高齢故の〇〇症状が原因で本能寺の変が起こったということ。
光秀の心情の変化等が巧みに書き込まれていて、しかし読んでいく内に?と思われる描写が出て来るのですが、なるほど、そういうことだったかと納得させられる展開。
もう随分と昔のことになりますが、ある文学賞で岩井氏の作品と競ったことがあります。その時に大賞を受賞された岩井氏。私の駄作はお情けで下の方の賞を頂き、同じ紙面に名前を連ねたということが、唯一の自慢。
光秀曜変を読んだ時、心理状態の変化と、段々と奇妙な方向に向かっていく物語に引き込まれ、私のようなへなちょこでは勝てる相手ではなかったと脱帽。今は遠くからご活躍を祈る日々。
そんなことを考えている内に、どうやら本能寺、いや土鍋の中もいい色。
陰謀論めくが、最近、本能寺の変について奇妙なというか、人によってはトンデモ論と言いそうな説をある動画で見ました。
本能寺の変というのは、信長が行っていた人身売買を止めようと家臣達が説得している時に起こった事変というもの。
信長はイエズス会を保護してキリスト教の布教を認めていました。当時のイエズス会とは単なる宗教団体とは違い、侵略の尖兵。キリスト教の布教を名目に入り込み、アジアやアフリカで紛争が起こっていれば、武器を売ったり、介入したり、しまいには国自体を植民地としてしまうというのが外国勢力の手口。
当時の日本は戦国時代。各地で大名達が争っている。そんな中、信長が何故、急速に勢力を拡大出来たかというと最新兵器である鉄砲を大量に所持、配備出来たから。
鉄砲は高価な武器。器用な日本人は国産化に成功していました。しかし鉄砲は火薬がなければ鉄の棒に過ぎない。
火薬の原料である硝石は日本では産出しません。輸入に頼るしかなかった。硝石についても、器用な日本人は尿からアンモニアを抽出して、似た物を作ることに成功。それでも舶来物にはまだ品質は及ばない。
つまり、信長はイエズス会を通じて、硝石や弾丸である鉛玉を大量に優先的に輸入していた。ポルトガルやスペインといった国々との交易が始まっていた当時、珍しい文物と共に硝石や鉛玉を輸入。その対価として日本は何を輸出していたのかというと、当時の日本はゴールドラッシュ。全国の鉱山から掘り出された金銀を輸出。しかし、それ以外に重要な輸出品目がありました。
奴隷。
戦国時代、多くの日本人が奴隷として輸出されていました。
天正遣欧使節という使節団がありました。九州のキリシタン大名達が少年達をローマ法王に謁見させるためにヨーロッパに送り出しました。
使節団の少年達、行った先で奴隷市場を目撃。そこには日本人もいたという記録を残しています。
信長はそうした人身売買の元締めだった?
そんなことを考えていると、食欲がなくなりそうですが、とりあえずおでんにコクを出すために、隠し味投入。
寒くなってきたので白く固まり勝ち。そうなったら、湯せんで溶かします。溶けた蜂蜜を大匙半分。混ぜます。
裏切者の代名詞のように思われることもある明智光秀。もし、私が見た動画の通りだとすれば、主の非道を正そうとした家臣達の筆頭?
濃厚味が沁み込んだ具。柔らかく煮えた大根と煮崩れた自家製がんもどきが素晴らしい。厚揚げや卵から良質なタンパク質も摂取。出汁取りに使った炒り子もそのまま食べてしまいます。これでカルシウムも。
こんにゃくはカロリーがありませんが、腸をきれいにしてくれる働きあり。
自家製の美味いおでんを食べられる幸せ。平和な現代の日本にいるからこそ、と思ったら、本当にそうだろうかと不安になる。
日本では年間、8万人が行方不明になっています。私が住む地方でも4,5年前から姿を消したままの若い女性の存在。そうした人々、何処に行ってしまうのか?
人身売買なんて自分には関係ないと思っていても、身近に落とし穴があるかもしれません。
どうやら今回は妄想を広げ過ぎたようです。何が起こるかわからない世の中だからこそ、今を楽しみ、出来ることを全力で。そう思いながら、おでんを噛み締める。
最後にもう一つ、本能寺に関するトリビア。
現在の本能寺、織田信長が生きていた頃とは場所が違っています。場所ばかりではなく、実は字面も異なります。
能の字、こんな文字はありませんが、実際に寺に行くと、寺号はこう書かれています。本能寺の変を含め、幾度か火災に遭って焼失しています。これは能の字にヒが二つもついているのが縁起が悪いということから、ヒが二つではなく、ヒが止まるという字に変えたそうです。