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西園寺 亜裕太
2021年6月12日 18:00
星が降ってきそうな美しい夜に最愛の彼とデート。なんてステキな日なのだろうか。ロマンチックな彼にデートに連れてきてもらった美しい夜景が見られる場所。それもネットや本ですぐに見つかるような場所じゃない。天体観測が好きな彼しか知らなかったであろう秘密の場所。でも今日からは私も知ってる2人の秘密の場所。大学時代に天体観測サークルに加入していた彼は私の知らない星の話をたくさんしてくれた。私は星の
2021年6月10日 20:38
「調子はどうですか?」目の前に座っている見ず知らずの老人が、ポカンとしている私を見て、もう一度声をかけてくる。「ど、う、で、す、調子は?」先程よりもゆっくりと、はっきりと。「はぁ」2人掛けのテーブルの正面の席で誰の許可も取らず勝手に相席しだした老人に話しかけられて気の抜けた返事をしてしまう。「調子はどうですか?」老人は蓄えている真っ白なヒゲを触りながら3度目の質問をした。答えるの
2021年6月11日 17:39
「電動案山子?」やってきたセールスマンの持ってきた商品に、農家をやっている畑田英二は目を丸くした。一見すると普通の案山子だが、一体どのような商品なのだろうか。「我がヘンテコ商会で作りました新製品でございます」和やかな笑みを浮かべて、セールスマンが紹介する。「なんだか凄そうだけど、どういう機能があるんだ?」「機能の前にまず注意点から説明させてください」「ああ、頼む。注意事
2021年6月6日 13:00
「はあ、はあ……。ヤバいな、もう俺のHPは15しか残っていない……」「私も……、もう駄目だわ……。あとHPが7よ……」勇者一行は強敵の前にすでに瀕死だった。もはや勇者もヒロインもすでに戦うための気力は残っていない。「おい! お前らしっかりしろよ! こんなとこで倒れてる場合じゃねえだろ!」そんな絶望に陥っている2人を鼓舞しているのがこのパーティーの中で一番弱い格闘家の男だった。日頃はお調子
2021年6月1日 18:44
男は苦しい修行を積んだ。何もない部屋でただひたすらに。ろくに飲み食いもせず一心不乱にに彼自身の持っている才能を開花させるために。ひたすらに信じ、1日中精神を集中させて真っ白な壁を見続ける。必ずできると信じ、彼の人生をかけて透視能力を発現させるために修行を続ける。そんなある日ついに。「できた!」彼は掠れた喉の奥から言葉を振り絞りほとんど音になっていない声で歓喜の叫びをあげ
2021年5月31日 19:44
老人が家の近くを散歩していると河川敷でひたすら両手の上げ下げを繰り返しながらブツブツと何かを呟いている男がいた。怪しい男が気になった老人は転ばないよう慎重に河川敷までの坂を下り、男に声をかける。「何をやっとるんですかな?」「UFOを呼んでるんですよ」そう答えた男は再び「UFO来い〜」とブツブツ呟きながらまた両手の上げ下げを再開する。「UFOなんて来るわけないでしょ」老人は男を小
2021年5月27日 17:34
私と莉里は同じ日に生まれた。同じ日に生まれ、同じように愛され、同じものを集め、同じものを愛でてきた。 だから私たちの好きな人の好みが一致することは何も不思議なことではない。私は知っている。莉里はきっと私と同じで俊人くんのことが好きなことを。そしてきっと莉里も私が俊人くんのことが好きなことを知っている。だから私は今日俊人くんに告白して付き合うことになったことを莉里に知らせるの
2021年5月25日 18:06
友人と道を歩いていると、またパトカーが通り過ぎて行った。最近よくパトカーを見かける。「なんか最近パトカーがよく通るよな?何か事件でもあったのか?」友人に尋ねてみる。「この近辺で連続して爆弾が仕掛けられたんだってさ」「治安の良い街だと思ってたのに怖えな。怖えから引っ越すわ」俺の言葉を冗談だと思ったようで、友人が笑った。☆☆☆☆☆☆☆まったく勘弁してほしい。こんなにパトカーがたくさ