西園寺 亜裕太

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西園寺 亜裕太

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最近の記事

ショートショート『緊張をほぐすための薬』

「なんですか、これ?」 「緊張をほぐすための飲み薬だってさ。君結構緊張してセリフとか飛んじゃうことあるから、飲んだ方が良いよ」 これから舞台に向かおうという時に、控室で先輩に錠剤を渡された。 「いやいや、どうせこんなの効かないですよね。思い込みで効いたような気がするあれなんじゃないですか? プラセボ効果、でしたっけ?」 「いや、それがプラセボ効果とかじゃなくて、ほんとに科学的に効果があるらしいよ。なんでも心に絶縁体みたいな感じで働いて、感情を司る電気信号を遮断させて、喜怒哀

    • ショートショート『ゴーストレストラン?』

      ポストの中に近所にできた新しい飲食店の広告が入っていた。広告にはなにやら気になる注意書きがしてあり、興味を惹かれた。 『※店舗での飲食はできません。電話注文だけできます』 なるほど、このところ電話やネットで注文を受けて調理だけして配達してくれる実店舗を持たないゴーストレストランが流行っているから、きっとその類なのだろう。そういうサービスはまだ使ったことがないし、是非使ってみようと思い、早速電話をかけてみる。 「はい、こちら電話注文専門店です。ご注文をどうぞ」 「えっと、唐揚

      • ショートショート『励まし』

        「なんでそんな暗い場所で一発ギャグを披露しないとならねえんだよ!」 とあるお笑い芸人が仕事で行った場所はなんと浪人が決まったばかりの子供たちを対象としたお笑いライブだった。 案の上、会場は冷えたムードだった。そんな場所で、考えてきた一発芸を次々と披露しても受けるはずはない。 「そりゃ受けねえだろうな」 お笑い芸人はムッとしながら帰っていった。 ライブが終わり浪人生の子供たちは話す。 「あの人、あんまりおもしろくないのになぜか売れてる人だよね……」 「うん。なんか最後怒って

        • ショートショート『ゴールを決めろ!』

          高校サッカーの県予選決勝戦の試合も終盤に差し掛かっていた。現在我が校は1-0で負けている。オフェンスの俺は絶対にゴールを決めなければならない場面である。それに加えて先週片思いしていた女子に告白したときに言われたのだ。「県予選のどこかでゴールを決めたら付き合ってあげるね」と。 何度もシュートのチャンスはあったものの、緊張のせいもあってなかなかゴールが決まらず、県予選決勝まで来てしまった。だから俺は今、二重の意味でゴールを決めなければならないのだ。 試合は残り3分を切っていた。

        ショートショート『緊張をほぐすための薬』

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        • ショートショート集
          45本
        • 1分ショートショート
          10本
        • 読書
          6本
        • 自作解説
          1本

        記事

          ショートショート『噛み癖』

          「幼稚園の頃、ついついブランケット噛んじゃってたんだよね……」 わたしは学校の帰り道、友達に苦笑しながら告げる。特に何の意味も無い雑談のつもりだった。 「めっちゃわかる! わたしなんてまだ噛んじゃってるもん! なんか美味しい味がするよね、あれ」 友達も恥ずかしそうに打ち明ける。自分だけじゃなかったという安心感と、なんなら友達に至ってはまだ嚙み癖がまだ直っていないみたいだ。わたしが仲間意識を共有出来て安心していると、友達が続ける。 「でもあんまり嚙み癖が酷かったらブランケット

          ショートショート『噛み癖』

          ショートショート『中間管理職になりました』

          「こないだ俺さ、中間管理職になったんだよね」 休みの日に居酒屋に行くと学生時代の友人が話し出した。 「ええ、中間管理職って大変なんじゃないのか?」 「まあそうだな。広範囲まで見ないといけないから大変だよ」 「へぇ」 と相槌を打っていた時に大事なことに気が付いた。 「なあ、お前中間管理職って言ってもお前の職業って……」 「社会人野球の選手だけど、どうしたんだ?」 「現役の野球選手に中間管理職なんて概念あるのか?」 耳慣れない概念の話が出てきて思わず聞いてしまう。 「中間管理職

          ショートショート『中間管理職になりました』

          ショートショート『一人旅?』

          見渡せば辺り一面綺麗な桜が咲いている。耳を澄ませば鶯の美しい声も聞こえてきているし、まさに花鳥風月という美しい光景である。今日は桜の名所として名高い場所へと一人でやって来ていた。どこを見ても桜の木しかなく、周りには人は誰一人いない。俺一人だけだ。……え?一人だけ?…… 桜の名所にやってきたんだぞ。毎年たくさんの人でごった返しているような場所なのに、どうして俺一人しかいないんだ!何か盛大なドッキリにでもかけられたのか?それともパラレルワールドにでもやってきて―― そこで突然

          ショートショート『一人旅?』

          ショートコメディ『アリバイあり』

          「刑事さん、殺したのは俺じゃねえよ! 俺にはアリバイがあるんだ」 男は必死に自身の容疑を否定する為に話す。その言葉を刑事は黙って聞いていた。 「俺は犯行の時間にはスーパーマーケットでこのパンと缶詰を万引きしてたんだよ!証拠はここにある商品と、あとは防犯カメラの映像にしっかりと映っているはずだ!」 「……いや、あのな、必死に言っているところ悪いがもう犯人は捕まって罪も認めているんだよ」 刑事が冷静に言う。 「なあんだ。それなら良かった」 安堵のため息を吐きだして帰ろうとした

          ショートコメディ『アリバイあり』

          ショートショート『フラッシュモブ』

          とある公園で男が女に告白しようとしていた。いつも静かなその場所が今日は珍しく賑わっていたが、そんなことを男は気にすることもなく気持ちを伝える。 「えっと、俺は前から君のことがす、す、……」 あと一文字加えようとしたその時だった。 「Fuuuuuuu!!」 突如として周りのひとたちが一斉に踊りだした。告白の時に突然周囲の人が一体感を持って踊りだすこれが何か、女も知っていた。いわゆるフラッシュモブというやつだ。そんな状況を理解して女は男に返答する。 「わたしさ、告白の時にフラッ

          ショートショート『フラッシュモブ』

          ショートショート『忙しすぎてもう天手古舞!!』

          「いらっしゃいませー」 扉を開けると店員の大きな声が聞こえてきた。お昼を食べようと適当な飲食店に入ったのだ。お客さんもいないし、すぐに食べられそうだと思ったのだが、なぜだか店員が店中を走り回っている。 「ああ、忙しい! 忙しいよ!」 厨房と客席を行ったり来たりしている。お客は僕しかいないが、何か忙しい事情があるのかもしない。 「あの、すいません」 「はい、なんですか!! 注文ですか?」 忙しいからか、少しムッとしたような言い方をして、こちらにやってくる。 「忙しいんだったら

          ショートショート『忙しすぎてもう天手古舞!!』

          ショートショート『優しく育てる』

          植物に優しい言葉をかけるとすくすくと成長して綺麗な花を咲かせると聞いた。植物にも心はあるということを知り、私は観葉植物に優しい言葉をかけて育てることにしたのだ。 「おはよう!」 「今日も綺麗に咲いてるね!」 「いつも癒してくれてありがとう!」 そうやって声をかけ続けていると、やはり観葉植物はすくすくと成長してくれていた。 そんなある日のことだった。急いでいるときに思わず観葉植物の鉢に足の小指をぶつけてしまった。 「痛っ! ちょっと、邪魔だって!」 痛みと焦りで思わず観葉植

          ショートショート『優しく育てる』

          ショートショート『負けず嫌い』

          「今から俺が何を言っても『パイナップル』って返すんだぞ。他の言葉喋ったらお前の負けだからな!」 シンプルな引っ掛けクイズである。 簡単な質問をして『パイナップル』と答えてもらう。 そしてきちんと『パイナップル』と返した相手に 「あ、今間違えたこと言ったからお前の負け!」 と言ってやると、 「今ちゃんと、パイナップルって言ったじゃ無いか!」 等自分が間違えていないことをアピールする返答が来る。 初めのルールでは何を言ってもパイナップルと言わなければならないので、パイナッ

          ショートショート『負けず嫌い』

          ショートショート『常識』

          「なあ、目玉焼きには何かけてる?」 先日同棲を始めた彼氏が目玉焼きを箸で突きながら聞いてくる。 「目玉焼きにかけるものに選択肢なんてあるの?」 私が質問し返すとその質問を聞いた彼がびっくりして目を大きくさせる。 「目玉焼きに醤油かソースのどっちをかけるかって定番の質問だろ。日本の定番の二択質問ランキングみたいなのがあったらベスト10くらいに入りそうなくらいメジャーな質問だぞ?」 そう言って彼はソースの瓶を手に取り、勢いよく目玉焼きにソースをかけたので私は思わず「ちょっと!

          ショートショート『常識』

          ショートショート『時そばのように』

          「先輩、そろそろお金返して貰えませんかね……?」 後輩は恐る恐る先輩に聞く。 どうしてもお金がないから、このままだと俺はもうダメだと言われ数年前に貸したお金は30万円程。 「わかったよ。返すよ。で、俺が金借りたのは何年前だったっけ?」 後輩はチラリとカレンダーを見る。 今は2020年11月か……。 「一応金銭貸借契約の内容覚えてますか?」 「わかってるよ。年利10%だろ」 「そうです。それは守ってくれますよね?」 「当たり前だろ。だいたい年利取ってんだから長

          ショートショート『時そばのように』

          ショートコメディ『サークル勧誘』

          「あの、すいません。うちのサークルに入りませんか?」 大学内をうろうろしていると、声をかけられる。 「楽なサークルなんですか?」 どのサークルに入ろうか悩んでいたところではあるので、勧誘してもらえればありがたいと言えばありがたい。ただ、週7日毎日活動をしていたり、上下関係や規律の厳しい、意識の高いサークルに勧誘されても困る。せっかくの大学生活なのだから、ゆるっと活動しているサークルに入りたかった。 「うちのサークルは多分楽だと思いますよ。意識低い系の活動内容ですから」 返答を

          ショートコメディ『サークル勧誘』

          ショートストーリー『美味しいキャンプ飯』

          「ねえ、これってキャンプ飯って言っていいの?」 私は彼氏の慎司と共にキャンプに来ていた。慎司が、美味しいキャンプ飯を作るから楽しみにしとけよと言ってたから結構期待していたのだけど……。 「キャンプ場で食べたらなんでもキャンプ飯だろ」 慎司はそう言ってズルズルと豪快に、汁を飛ばしながら、スーパーで売っているカップ麺を頬張っている。 慎司が作ってくれたキャンプ飯というのは、なんの変哲も無いカップ麺だった。せめて具でも追加してくれていたり、麵ごとここで茹でてくれていたり、お

          ショートストーリー『美味しいキャンプ飯』