【エッセイ&映画レビュー】秒速5センチメートルを観て
初恋。
あなたは覚えていますか?
初めて誰かを好きになった時のドキドキや切なさ、そして胸の痛み。
「あぁ、そんな時もあったな…」
なんて。
大人になるって
忘れていくこと…
なのかな。
どうも✋私です😂
えっ?誰っ?!
らしくないと言ったのは~😤笑
ま、言われても仕方ないけども😂(自覚アリ)
よく思うこと。
人生は思うようにならないことの方が多いなって。
それは「恋愛」にも同じことが言えることだと思う。
恋を何度か経験していくうち
“叶わないこと“
“傷付くこと“
“諦めること“
に慣れてしまう。
「こんなもの」
って。
でも、この映画を見て少しだけ胸の奥が痛んだのは、こんなにも、真っ直ぐで純粋な思いが自分の中にもあったってことなのかな。
たとえ
叶うことのない
報われないれない
想いだったとしても。
秒速5センチメートルってどんな話?(※ネタバレありあり)
この話は今や日本を代表するアニメ界の大ヒットメーカー“新海誠監督“3作目。
その中でこの作品は3つの構成をひとつにまとめた短編映画。
主人公“遠野貴樹“と“篠原明里“の出会いから別れ、そして再会までを描いたのが第1章【桜花抄】
高校生になった貴樹と彼を好きになった女の子の目線で描かれる第2章【コスモナウト】
そして第3章はタイトルでもある【秒速5センチメートル】
ちなみにこの映画のキャッチコピーは
【どれほどの速さで生きれば、きみにまた会えるのか】
第1章【桜花抄】
東京の同じ小学校に通っていた主人公の遠野貴樹と篠原明里。
考えることや思うことがどこか似ていた2人。
貴樹と明里はクラスメイトに冷やかされながらも、いつも一緒に過ごしていました。
6年生の終わり、明里は父の転勤で東京から栃木の学校へ転校することに。
2人は離ればなれになってしまいます。
小学校卒業から半年たったある日のこと。
貴樹の元に明里から手紙が届きます。
それをきっかけに2人の文通が始まり、手紙を通して互いに心を寄せ合います。
中1の終わり頃。
今度は貴樹が鹿児島へ転校することになりました。
「もう会えなくなるかもしれない」
そう思った貴樹は転校する前、明里に会いにいくことを決意します。
3月4日。明里と再会を約束したその日。
貴樹の住む東京は大雪になっていました。
貴樹が乗り込む電車は明里の暮らす栃木へと向かいますが雪のせいで何度も停車を繰り返しました。
やっと乗り換えで降り立った駅のホーム。
明里への想いを綴った手紙が風に飛ばされてしまいました。
まるで行くなと言われてるようで貴樹の胸はし潰れそうになります。
再び列車に乗り込み、時折停車を繰り返しながらただ時間だけが刻々と過ぎて行きました。
果てしもなく長く感じる時間。
貴樹は泣きそうになり涙をこらえます。
明里と約束の時間はとうに過ぎている。
「どうか家に帰っていてくれ」
会いたい気持ちの一方で、明里を心配していた貴樹でしたが、随分遅れて電車は到着。
ひとけのない待合室、明里は一人ポツンとイスに座って待っていました。
降りしきる雪の中、2人は桜の木の下で唇を合わせます。
空から降る雪はまるで”秒速5センチメートル”で舞い落ちる桜の花びらのように美しい。
二人は偶然見つけた納屋で身を寄せ合い一夜を明かしました。
そして別れの時。
「貴樹くんはきっとこの先も大丈夫と思う」
そう言って貴樹の電車は2人から離れてゆきます。
明里の手に、渡すことのなかった貴樹への手紙がだけが残りました。
「明里を守れる力が欲しい」
帰りの電車の窓の外。
そう強く想う貴樹の目には明里の暮らす町から離れ行く景色だけが切なく映っていました。
第2章【コスモナウト】
中2の春、貴樹は東京から種子島へ。
転校してきた貴樹をひと目で好きになったクラスメイトの女の子、澄田花苗。
彼女は中2から高3までの間ずっと貴樹が好きだという気持ちを伝えられずにいました。
高校3年生。
卒業が近づいていましたが、花苗は進路も決められず、趣味のサーフィンも波に乗ることができなくなりスランプに陥っていました。
進路やスランプ、貴樹への想いに悩む花苗でしたが
”今やれることをひとつづつやるしかない!”
そう心に決めて波に挑み続け、ついに再び波に立つことができました。
それをきっかけに花苗はずっと、秘めてた想いを貴樹に告げようと決意します。
”今打ち明けなければ二度と打ち明けるチャンスはない”
そう思った花苗でしたが、意を決して想いを告げようとしたその瞬間、貴樹な心の奥底のどこかで拒絶している、そう感じた花苗は再び彼への思いを胸に閉じ込めます。
その時、二人の後ろでロケットが空へと打ち上がりました。
ロケットを見上げる貴樹は空の遥か向こうを
ただじっと見つめていました。
彼の見つめる先に、手が届くことのない誰かを思い続けている、そう感じた花苗は、この想いはもう叶わないのだと悟ります。
貴樹への想いを閉じ込めたまま、報われなくても、叶わないと知っていても尚、貴樹が好きで仕方ない自分の思いを改めて知るのでした。
そして、叶わぬ想いと彼をどうしようもなく好きだという想いに涙を流しながら眠りにつくのでした。
第3章【秒速5センチメートル】
社会人になった貴樹は何かに突き動かされるよう、忙しない毎日を過ごしていました。
そんな中、社会人になってから3年間付き合った彼女”水野理沙”に言われたこと。
それは
「1000回メールしても、心は1センチくらいしか近づけなかった」
貴樹の心に理沙が居ないことを見透かされていたのです。
そんな貴樹は葛藤を抱えついには会社を辞めてしまいます。
彼の心は明里と過ごした雪の夜、あの時のまま止まっていました。
離れてからもずっと明里を想い続けている貴樹。それは明里もおなじでした。
ある日、貴樹は小学生の頃、二人でよく歩いた桜の木がある道を歩いていました。
そして踏切に差しかかったその時、一人の女性が線路越しに歩いてくるのが見えました。
そのまま踏切内ですれ違い、何かを感じた二人は振り返ります。
しかしその時。
急行列車が視界を遮り、通り過ぎた後、電車の向こう側にはもう彼女の姿はありませんでした。
明里は明里の行く道へ。
貴樹は何か吹っ切れたように少し微笑み、明里への想いに区切りを付け前を向いたのでした。
感想
人を好きになることって
「こんなにもピュアで尊いものだったんだな」
そう思わせてくれた作品でした。
作画は終始とても情緒的で、胸のずっと奥の方をキュっと掴まれるような感覚と切なさが沸き上がって来るようでした。
第1章”桜花抄”では小学生の貴樹と明里が出会い、自然とお互い惹かれ合い好きになってゆきます。
大人になっていくと、もちろん人にはよりけりですが、好きになるきっかけが変わって来るというか。
例えば
「見た目がタイプだった」
「優しそうだから」
「一緒にいて楽しいから」
まぁよくある話ですよね😅
もちろん好きになるきっかけはどうであれ、一生縁がある人と出会えることもあるとは思います。
ただ、恋愛を何度か経験していると、好きになるプロセスが端折られるというか…🧐
貴樹と明里は、少しずつ相手を知って、少しずつ自分の気持ちに気付いてゆく。
この作品はその感じがすごく良くて😌
大人になると、本当に相手をわかって好きになったのではなく、わかったつもりで好きになってることがある。
で、わかったつもりで付き合ってみたら
「あれ?」
「あれれ?」
「こんな人だったっけな?」
となる。
まぁ、何が言いたいかというと、少しずつ相手を知って少しづつ好きに気付いてゆく。
そこ丁寧描かれていてるんですよねこの作品は。
大人の恋も本来そうありたいですよね😅
2人の想いは、今までの恋愛経験値がないからなおさらピュアで。
だから尊いなって感じるんでしょうね。
想いが純粋ゆえ、明里の転校によって二人は「距離」に邪魔されます。
小学校を卒業し、離ればなれになった二人はお互いを想いながらも半年の間手紙のやり取りをしませんでした。
しかし明里が貴樹に手紙を書いたことで2人のやり取りは始まります。
好きな人がそばにいない。
距離がある。
もし、明里があのまま貴樹に手紙を送ることがなければ、「淡い初恋の思い出」になっていたかもしれない。
すこしだけ大人になった2人。
貴樹と花苗は再会し、互いの想いを確かめ合いました。
今度は貴樹が種子島に転校が決まり、物理的にほぼ会うことがほぼ不可能な「距離」
大人だって「距離」は辛いものです。
遠くにいても近くにいても「距離」があることは心までが離れてしまいそうになる。
そして第2章【コスモナウト】
遠く離れた2人は、互いに想い続けながらも、それぞれの毎日を過ごして行く中で、貴樹に恋する花苗が登場します。
花苗…。
思いを秘めた5年間。
やっと勇気を出して告白しようとした瞬間、彼は自分を見ていない…そう確信した時の花苗を思うと胸が痛みます。
それでも、貴樹を好きで仕方ない花苗。
例え、彼が自分を見ていなくても、想いが叶わなくても、好きな気持ちはどうしようもないもの。
その気持ちもまた尊いなって思うんです。
そりゃ想いが届いて同じ気持ちになれたら、そんな幸せなことは無いけれど。
それとて、大人になればなったで、同じ想いになれたとしても、いつもそばに居られる人とも限らない。
色んな事情あったり、状況が許さないとかね。
それでも人を好きになる気持ちはどうしようもないものなんだよね。
そして第3章【秒速5センチメートル】
大人になった2人。
貴樹が忙しい日々を送るのは、余計なことを考えなくて済むから、、そんな風にも見えました。
一方明里は貴樹を想いながらも、幸せを手に入れようとしていました。
思い出の桜の木を見に行ったとき、踏切の向こうから歩いて来た1人の女性。
踏切ですれ違い、振り返った瞬間電車が2人を遮ります。
そして、電車が通り過ぎた後、そこに彼女の姿はありません。
その時、貴樹はやっと吹っ切れたように見えました。
それでもきっと彼は
明里を一生忘れることはないでしょう。
初恋は忘れなくていい。
ずっと胸に抱いて
前を向いて生きていけたらそれでいい。
2人の未来に幸あれ、そんな気持ちになりました😌
あとがき
人を好きになる気持ちは尊い。
人は一生の中で出会う人の数がおよそ3万と言われています。(※ある程度関わりのある人)
その中で好きな人と両思いになれる確認は400分の1という統計もあります。
両思いになれるだけでもすごいことなんですよね。
しかし両思いになれたとて、その後ずっと好きでいられる人となると、もっともっと少ない確率になるわけです。
そう思うと、さらに忘れられない人になるであろう人なんてほんと数えるほど。
もし、そういう人がいるとしたら、それはもうほぼ奇跡なんですよね。
貴樹と明里。
もしもあの時、引っ越さなければ。
もしもあの時、手紙を渡せていたら。
もしもあの時、彼女の名を叫んでいたら。
【どれほどの速さで生きれば、きみにまた会えるのか】
いくつものもしもは必然だったのかもしれない。
もしもあの時。
好きな人に「もしも」そう思うことほどせつないことってないと思う。
でもそんな風に想える人に出会えたことはそれだけできっと幸せなんだと私は思う。
そばに感じることも
手握ることも
好きと言えないことも
たとえ叶わなくても…
それでもやっぱり幸せなことだと思う。
あなたに出会わなかった人生より
あなたと出会えた人生を喜びたい。
この作品で使われた曲…
あぁこれかぁ、、、って思いました🥹
ONE MORE TIME,ONE MORE CHANCE
いつでも捜してしまう
どっかに君の笑顔を
急行待ちの 踏切あたり
こんなとこにいるはずもないのに
命が繰り返すならば
何度も君のもとへ
欲しいものなど
もう何もない
君のほかに大切なものなど
song by 山崎まさよし
歌がシンクロして来て泣けてきます😭