【エッセイ&映画レビュー】“ニューシネマパラダイス完全版“を観て
”人生とは筋書きのないドラマ”
いつか人生を振り返る時、そこにはどんなフィルムを繋ぎ合わせた自分だけの映画が出来るんだろう
そして
どんなラストを迎えるのだろう。
名作と言われるがゆえ
やっと…やーっと観ることが出来た
【ニューシネマパラダイス】
映画に詳しい人に聞くと高確率で
「ニューシネマパラダイス見た?」
と必ずと言っていいほど聞かれる映画のひとつ。
「まだ、見てないんだよね~笑笑」
と言うと これまた高確率で
「えぇぇぇーーー!?」
と、今まで言われ続けて来ました😅
何かそうまで言われると逆に見たくなくなる私😂
とは言え仕事上、お客さまとの会話の中でよく出て来るこの映画。
実は2.3度チラリと見たことはあったのです💦🤫
しかーし✋
最初の5分位で見事に脱落😪(早い。。)
だって夢の世界からお迎えが来てしまうんですもの~(寝てしまうと言いたくない𐤔𐤔)
ってことで✋
長い月日を越えて、やっと見ることとなったわけですが、色んな意味で想像してた映画とは少し違っていたかもしれません。
これ、今回知ったことなのですが…
劇場版と完全版が存在した😳
私はサブスクで映画を見るので、当然お金払ってるんですが、お金払ってる上にさらに有料ってのが結構あるわけです。
ついこの間まで無料だったのにーもう有料!なんてことがしばしば起こります。(ケチくさ笑)
今回探してみると劇場版は今は無くてアマプラもHuluも「完全版」しか無かったんです💦
しかも、時間が約3時間…😑
なので二の足を踏んでましたがとうとう観てみることに…
しかし劇場版も気になるな…🧐
と言う事で完全版を見た後に劇場版とどこか違うのかをザッと調べました。
すると、どこに「テーマ」や「焦点」を当てるのかで感じ方が変わってくるのかなと思いました。
なんと!
劇場版と完全版は約50分位違うのでかなりの部分カットされてるんだなと。
とりあえず完全版だからいっか!
ってことで見始めました。
ニューシネマパラダイスってどんなお話?
(※ネタバレあり)
ニューシネマパラダイスは、1989年に日本で公開されたイタリア映画で監督・脚本はジュゼッペ・トルナトーレ。
実はこのお話、監督自身の実話を基に作られたお話だそう。
物語の冒頭、主人公でローマ在住の映画監督のもとに故郷の母から電話でアルフレードが亡くなったと知らされます。
ベッドに横たわり、少年時代の日々を思い出すシーンから物語は始まります。
友情の始まり
物語の主人公は”トト”と呼ばれていた少年時代のサルヴァトーレ”
彼は母親と妹の3人暮らし、父親は戦争に駆り出されたまま消息不明となっていました。
第二次世界大戦終結後間もないイタリア、トルナトーレ監督自身の出身地、あのレモン🍋で有名なシチリア島のへき地にある小さな村に教会を間借りした小さな映画館がありました。
そこでは映写技師のアルフレードと映画が大好きな少年サルヴァトーレは親しくなります。
スクリーンに映し出される映画の世界。
それは小さな村では想像もつかないような暮らしぶりや、ラブシーンなどの数々。
しかし厳格なカトリックの司祭は、肝心なラブシーンの部分のフィルムをアルフレードにカットさせていたので、村民からはいつもブーイングが起こっていました。
トトはいつものように映写室に入り込んでは アルフレードに追い出されてきましたが、ある時カットされた部分のフイルムを見て
「これちょうだい」
とアルフレードに頼みました。
最初はダメだと言っていたアルフレードでしたが
「このフイルムをやるから出て行け」
「だだし、フイルムは預かるぞ」
そう言ってやはりトトを映写室から追い出すのでした。
ある晩、映写室で火事が起きてしまいます。
トトの必死の救助で一命は取り留めたアルフレードでしたが、火傷を負い視力を失ってしまいます。
トトとアルフレード。
友人のような、親子のような関係の二人は絆を深めてゆきました。
そんな中、トトは父親が戦死したことを知らされます。
同じ頃、家計を支える為にトトは村に新しく建て直された映画館「新パラダイス座(Nuovo Cinema Paradiso)」で失明したアルフレードの代わりに映写技師として働くことになりました。
カメラの向こう
時は過ぎ、スクリーンに映し出される世界に目を輝かせていた少年は青年となり、自らムービーカメラを手に入れ、カメラを回し始めます。
ある時カメラを回していたトトの目に美しい少女が飛び込んできました。
彼女の名は“エレナ“
トトは一目で恋に落ちます。
彼女を想うトトの気持ちはやがてエレナに伝わり、二人は恋人となりかけがえのない毎日を過ごしていましたが、二人の仲はエレナの両親により引き裂かれようとしていました。
駆け落ちを約束した二人。
しかし…。
駆け落ちの待ち合わせ場所にエレナが来ることはありませんでした。
帰れぬ故郷
そんな時トトは戦争へと徴兵されることに。
そして数年の月日が流れました。
やっと除隊したトトは村へ帰りましたが、かつてアルフレードと共に過ごした映画館では知らない人が映写技師として働き、エレナは音信不通になってしまいました。
落ち込むトトにアルフレードは言います。
「この村にいてはいけない。外に出て生きる道を探せ、そして決して帰って来るな」
「人生はお前が観ていた映画のようにはいかない、もっと困難なものだ」
その言葉に背中を押され、思い出の詰まった故郷を離れローマへと旅立ちました。
そして。
30年という時が流れ、彼は映画監督として成功を収めていました。
繋ぎ合わせた過去
(完全版)
アルフレードの葬儀の為、故郷に戻ったサルヴァトーレ(トト)はかつての恋人“エレナ“にそっくりな少女を見かけ、激しく動揺します。
少女の後をつけていくと、エレナはトトの幼馴染のボッチャと結婚していたことを知ります。
サルヴァトーレは意を決してエレナの家に電話をかけました。
「なぜ駆け落ちの場所に来てくれなかったんだ」
そう問い詰めるとエレナは
「少し遅れたけど行ったわ!」
エレナはアルフレードにそのことを伝えてくれとお願いしましたが聞き入れてもらえませんでした。
仕方なく映写室の壁に引っ越し先の住所とメッセージを残したことを話しました。
そのことをサルヴァトーレに伝えたら彼は村を離れないとアルフレードは考えたからなのでしょう。
想い出の場所で一人エレナに思いを巡らせていたその時、突然彼女が現れました。
車の中で話す2人。
お互い年齢を重ねてしまったけれど、その姿を愛おしそうに見つめ合い、二人はキスをし愛を確かめ合うのでした。
つかの間の幸せの後。
「私と結婚していたら素晴らしい映画は撮れていなかったわ」
埃だらけで解体間近の映写室で、エレナからのメモを見つけメッセージを読むサルヴァトーレ。
再びローマに戻ることとなったサルヴァトーレはエレナに電話で告げられます。
「あの夜のことは忘れましょう」
ローマにもどったサルヴァトーレはアルフレードが残したフィルムをひとり映写室で観始めます。
そこに映し出されていたのは・・・。
感想
劇場版で描かれなかったシーンの多くは恋人”エレナ”との物語。
完全版はエレナとサルヴァトーレの経緯が細かに描かれることでずいぶん印象は違って感じると思います。
アルフレードとトトの友情もこの映画のテーマのひとつ。
一方、完全版ではトトとエレナの物語りや、親心に似たアルフレードの感情も見え隠れしている気がします。
幼い頃から映画を愛し、目を輝かせてスクリーンを見つめていた少年は、いつからか自らカメラを手に取り、彼が見る世界をフイルムに収めていました。
そんなトトをみてアルフレードは彼に可能性を感じたのでしょう。
しかしこの小さな村にいては何も出来ない。
若いトトは夢を追うことなく、恋人との駆け落ちを選ぶことは目に見えますよね。
“人生は筋書きのないドラマ“
それ故に筋書き次第で未来も、エンディングも大きく変わってしまいます。
愛する人と駆け落ちするのか
映画への道を選び故郷を出るのか。
何が幸せなのかなんて誰にも測れないし決められないけど、少なくてもアルフレードはトトのもつ可能性を、この小さな村だけで終わらせたくなかったんでしょうね。
結果、アルフレードは映画監督として大成功を収めました。
それは、ローマへ旅立つ選択があったからに他なりません。
人生において
「あなたがいればもう何もいらない」
よく歌の歌詞にもありますよね。
実際、心底愛する人が出来たとして、そういう気持ちになることって現実あるとは思うんです。
ただ、実際に何もかも捨てて愛を選び愛に生きるなんて出来る人、ほとんどいませんよね。
「人生はお前が観ていた映画のようにはいかない、もっと困難なものだ」
アルフレードが言っていた言葉。
そしてエレナも言っていましたね
「私と結婚していたら素晴らしい映画は撮れていなかったわ」
と。
だからこそ、サルヴァトーレの成功はあった。
私が常々思っていることがあります。
“出会うべき時に必要な人と出会う。“
その出会いは一生続く縁かもしれないし、いずれ離れていく縁なのかもしれない。
たとえ、もう2度と会うことは出来なくても、その人の幸せを想い続けられることのできる相手。
それが本当の友情でもあり、愛情でもあるかなと思うんです。
アルフレードが故郷に帰るなと言って背中を押し、トトの成功と幸せを願い続けたように。
人生は思うようにいかない事の方が多い。
それは今まで生きてきて私自身も思うこと。
過去を振り返った時、消してしまいたいこと、やり直したいことの方が多いかもしれない。
生まれてきた環境、様々な障害や生きずらさ抱えてるものや現実。
変えたくても変えられられないことの方がはるかに多いと思うんです。
でも、その中にだって幸せを見出すことは出来るはず、そうとも思うんです。
心から愛する人と結ばれなくても 愛する人と出会えたこと。
もう会うことは出来なくても人生を導いてくれるその人に出会えたこと。
アルフレードが繋ぎ合わせたフィルムに映し出された素晴らしいシーンの数々。
人生は繋ぎ合わせた映画のように素晴らしいシーンばかりではありません。
でも、何を繋ぎ合わせどんなエンディングを迎えるのか、それはその人次第。
何より映画を愛したトトへ、アルフレードが残した最後のプレゼントが最高の映画だなんて。
思い返すほど、溢れ来る思いにじんわり胸が熱くなる映画でした。