久しぶりに読書が楽しいと思えた |『風と共にゆとりぬ』
朝井リョウさんの「風と共にゆとりぬ」を読みました!朝井さん自身の体験談が綴られたエッセイ集です。今回はその感想を書いていきます!
このエッセイの魅力
私が思うこのエッセイの魅力は大きく2つあります。
① どのエピソードも思わず笑えること
② 朝井さんの表現力の巧みさ
①どのエピソードも思わず笑えること
「クスッ」、「フッ…!」と思わず笑みがこぼれるエピソードが盛りだくさんでした…!
「別の人間になりきってみたい」という欲望からレンタル業者の人と騙し合い合戦をする。高校時代にやっていたバレーボールをどうしてもやりたいという欲望を叶えようとして仲間を探すものの、いろいろとハプニングが起こる。などなど…
本当に面白おかしい体験をたくさんしているなあ…、と感じました。「何でこんなにも面白いことが起こるんだろう…」と不思議に感じる程でした。
それはきっと、朝井さんがやりたいことや興味のあることに全力で取り組んでいらっしゃるからなのかなあと感じました。
「別の人間になりきってみたい」という欲望を叶えるためにレンタル業者を雇ってまでステージを用意したり。バレーボールをやりたいという欲望を叶えるためにバレーボールの大会や社会人サークルを探したり。やると決めたことには全力で行っている様子がつづられていました。
全力でやってみるからこそ、失敗して、そしてそれが後になって面白おかしい話になっていくのだろうなあと感じました。私もやってみたいことには、成果が出なくても良いから失敗しても良いから、全力で取り組みたいと改めて思いました。
② 朝井さんの表現力の巧みさ
朝井さんの表現力の巧みさにはいつも驚かされます。
この作品でも思わず興奮した表現は何個もあるのですが、3つほどピックアップすると···
バレーの上手い下手を食用牛で喩える
答えにくい質問になんとか答えた時の顔を「最後の絞り汁を滴らせる雑巾みたいな顔」と表現する
恥ずかしい気持ちを「体内の中に小さな自分が手足をバタつかせて暴れ狂っている」と表現する
特に1つ目の食用牛を使った比喩が本当に大好きです。
その時朝井さんがどんな顔をしていたのか、どんな気持ちだったのかが想像しやすいです。イラストなどを使うことなく、での時の表情や気持ちを言葉だけで表せているのが本当に素晴らしいと感じます…!
「興じる」、「筆舌に尽くしがたい」といった普段私がなかなか使わないような言葉も使われていて、日本語という言葉を余すことなく使われているのも感服しました。私は日本語ネイティブなのに、日本語の30%くらいしか使っていないんじゃないかと思わされる程でした…。
私はビジネスメールの書き方やWebライティングの勉強をしたことがあります。そのようなライティングには「分かりやすさ」が重要視されるのでこのような比喩表現は不要とされます。そのような文章ばかりに触れていたので、久しぶりに日本語の表現の豊かさに触れることができて良かったです。
クスッと笑いたい人、日本語の豊かさに触れたい人にオススメ
この本は単純に「楽しみたい人」にオススメです。
私は社会人になってから自己啓発系やビジネス系などの「(自分のキャリアなどに)役に立ちそうな本」ばかり読んでいたのですが、久しぶりに「役に立たなさそうな本」=「単純に娯楽としての本」を買いました。
どのエピソードも面白かったですし、日本語の豊かさを思い出させてもらって、「読んで良かった!」と思っています。
私は通勤電車の中でよく読んでいました。朝からクスっと笑って仕事に行くのは気持ち良いものでした。
「ちょっとでも笑いたいな」、「『お役立ち本」』ではなく、『単純に楽しめる本』」が読みたい」と思っている方に特にオススメの本だと思いました。
気になった方はぜひ読んでみて下さい!
最後までお読みいただきありがとうございました。