『別れる決心』 ひとりがたり①
『別れる決心 헤어질 결심(Decision to Leave)』
日本でのロードショー翌日の2月18日、池袋のグランドシネマサンシャインで初めて鑑賞。
そりゃ我が推しRM、ナムジュンが5回も観たと心酔して語り、シナリオブックも読み込んでいるらしくIGにpostし、MCとして出演したテレビ番組「알쓸인잡」(3月から日本でもスカパーで放映、楽しみ!)に映画の脚本を書いたチョン・ソギョン氏をゲストで招き映画について語り(もはや成功したオタク)、、、
もはや日本で公開したら即観る以外なかったけど。
いやはや・・・参りました。
2時間20分、推しが心酔した世界に身を委ねる恍惚。
そして、予想を遥かに上回るこの映画の色、テンポ、雰囲気、言葉、まなざし、しぐさ、景色、音楽…
あまりにも自分がハマっていくのを、映画館の椅子に座りながら感じ取ってしまい、少し怖くもなりつつ、抗うこともできず。
エンドロールが終わって、幸せな恍惚感に全身が吸い取られたようで、階段で転んだ。。
帰り道はお約束のようにお寿司を。
食べたくなっちゃうのよ、あれ観ちゃうと。。
サスペンスでもあり、究極のラブロマンスでもあり。観る側に判断を委ねる「余白」の多い作品。
こういう、1+1=2ではない作品が、堪らなく好き。
殺人事件に端を発した物語を追いながら、ストーリーテラーである刑事ヘジュンの目線で作品を観た初回の鑑賞。
ヒロイン、ソレの目線で観たら世界観がまったく別のものになると確信しているので、次回のスケジュール調整中。
キーになる殺人事件の謎解きと、
ヘジュンとソレの「愛」の始まりと終わり
二人の周囲の人間の交錯する想い
考えれば考えるほど、楽しくてしょうがない。
あ~しゃべりたい!!
でも、考察はネタバレと表裏一体。
どうしたものか・・・と考えあぐねていたら、でた!
ナムジュン、おめでとう!! 成功したオタク、何度目だ!!
あまりに貴方がこの映画を愛したから実現した、夢のようなコラボ。
昨年12月2日にリリースした初ソロ・アルバム「INDIGO」のNO.5トラックCloser (with Paul Branco, Mahalia)が映画の珠玉のシーンを彩るCollabo MV。
これはこれから映画を観る予定の人には、どうかと思うくらいの名シーンの連続です。あぁ、これが出るくらいなら、もうnoteにじゃんじゃん書こう!(しゃべろう!)って決心。
~注:ここからは完全ネタバレです。苦手な方は回避してください。~
映画観終わった直後、エンドロールを観ながら、
ソレは本当にあの満潮の海岸にいるのだろうか?って思ったり。
主題歌のとおり、真相は「霧」のなかで。
また彼女は、ヘジュンの前に、新たな容疑者として現れるのかも、とか。
二人はきっと生きながら、何度も交錯するんじゃないかって。
でも、数日たつと、やっぱり、そうじゃないなと。
やっぱり、ソレはあのスマホと一緒に落命したんだなと。
「そのスマホを海に捨てなさい」って言われたのに捨てなくて
霧の街、イボに移り住んだヘジュンの前にもう一度現れて。
彼を愛したから。彼が「愛している」と言ってくれたから。
でも彼は失意の底で、ソレに「自分は崩壊した」と告げる。
「崩壊」する前の「品のある」ヘジュンに惹かれ、愛したソレ。
その品を崩壊させてしまったのは、事件のカギになるスマホと自分。
犯人を隠避するという、これまでの自分の仕事への誇りを失う選択をしてしまったために失意の底に堕ちたヘジュンを救うには、自分が消えるしかないと決心するソレ。
なので、スマホを抱きしめて自分自身をも海に棄てた。ヘジュンから言われたとおりに。
中国からやってきて、不法滞在に目をつぶってもらう代わりに、自分自身を最初の夫に差し出して。
うまく救ってもらったけど、暴力で支配し続けた夫を殺して。
その捜査に、担当刑事として張り込みながら「自分」をとことん観察してくれるヘジュンを愛し始めてしまう。
ヘジュンの視線が、ソレ自身を深く見つめていることに気づき始めて。
そして完璧に計算したはずのアリバイを見破って、自分が犯人だと突き止めたのに、それを二人だけの秘密にしようとしてくれたヘジュン。
「そのスマホを海に捨てろ」が「愛してる」に聴こえたソレ。
この言葉を発した刹那、ヘジュンの愛も仕事へのプライドも崩れ始める。
ソレは、自分自身を守ろうとしてくれたヘジュンへの愛を確信する。
ヘジュンの終わりは、ソレの始まり。
ソレにとって愛の象徴であるスマホが捨てきれず、彼を追ってイボまで来て。そして、もう一度彼に「見つめて」もらうために、また容疑者に。
誰からも、本当に愛されたことのないソレが、最初のお寿司の時からヘジュンに惹かれ始めたのかはわからないけど、韓国語が堪能じゃない彼女のために、言葉を言い直したり、優しい言葉で説明したり。これまでそんな風に扱われたことがないから、ソレは愛を知ってしまったのかもしれない。
ソレを演じたタン・ウェイは絶品だった。ヘジュンにとってのファム・ファタール(魔性の女)として描かれた彼女の、中国語と韓国語の狭間で揺れる心情が切なくて美しくて哀れだった。
ヘジュンを演じたパク・ヘイル。自分に厳しく刑事という仕事にプライド(品)を持つ、どこか面白味には欠ける男が、ソレを見つめていくうちに少しずつ崩れてどんどん人間くさくなり色気が出てくる。
ラストシーン、満潮の波の上で必死でソレを探すヘジュンの足元で、こときれていくスマホとソレ。
悲恋のようでいて、愛を貫いたソレの一人勝ちのような気もした。
初回鑑賞して、私の心に一番刺さったセリフが、ヘジュンがソレに告げる
「品はどこから来ると思う?誇りからですよ。私は完全に崩壊しました」
鑑賞後にwebサーフィンをしていたら、我が推しナムジュニもこのセリフがお気に入りだという記事に出逢った。IGストーリーにupしてた当時は気づけなかったけど…
やっぱりか・・・
ナムジュニにとても惹かれてしまうことに言葉で説明がつかない何かがある私だけれど、同じ映画を観て、好きなセリフが一緒というところとかが、やっぱりな、って想ってしまう。
(このセリフみんな好き、わかってるけどww)
キスシーン以上の描写はなく、甘ったるいセリフもないこの映画が、ぞくぞくするような甘美な世界を表現していることに感服。
主題歌の「霧」がとても良い。
2回目をソレ目線で観終わったら、きっと
「ひとりがたり②」を書きます。
(きっと、つづく)