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☆My Story☆ My special you⑮ #ナムジュニと私
【ナムジュンside】
クリスマスが間近に迫り、街はとても楽しそうに煌めいている。
僕はバラムで焼いてもらったチキンとピザのケータリングを手に、叔母様の家に向かっている。
「Rolling hallのお礼に、叔母様のご自宅で夕食会に誘っていただいたの。ジュ二が夜、時間が取れる日に合わせてくださるって。」
ユナと僕、そしてイ先輩。叔母様のお宅で4人で過ごせる時間は、きっと僕の少し塞ぎ込んだ気持ちを癒やしてくれるだろう。
12月13日にジンヒョンが入隊し、メンバー全員で見送った後、胸にグッと来る思いが募って少しセンチメンタルになっていたんだ。
僕らも、いつか来る「その日」に向かって準備しなくてはならない。
Rolling hallのLIVEの後、ジンヒョンの入隊までは忙しい日々が続いていたので、ユナとゆっくり話せるのも久しぶりだ。
叔母様のお宅は、駅前からユナの美術館を通り越して、少し歩いたところにあった。
公園を横切りながら、閉園時間少し前の煌々と電気がついている美術館のロビーを眺めながらゆっくりと歩く。ユナとイ先輩は、まだ仕事中かな。。
思えば、今年のバレンタインデーに時間を持て余して美術館に行った日、ロビーにいたユナに、思い切って話しかけたことが始まりだった。
僕らの会社からも、ちょうどいい散歩圏内のこの美術館の落ち着いた佇まいに、それまでも何度も癒やされいた僕。
何度か通いながら、ある女性スタッフの丁寧で温かく、そして理知的な仕事ぶりを目で追うようになっていった。それがユナだった。
一度でいいから、ユナと直接お話してみたかった。
バレンタインデーの夕方、パンフレットラックに展示会プログラムはソールドアウトと書いてあったことは知っていたけれど、知らんふりをして聞いてみたんだっけ。
あの時に、自分用に書き込みを入れていたプログラムをユナが僕に貸してくれなかったら・・・僕ら、今も何も始まっていなかったのかな。
友達になれて、思いを打ち明けて恋人になって、さみしい思いをさせて泣かせて、ヤキモチも妬いたな、そうして絆が深まって愛も深まって、、、
僕ら2人だけで歩みを進めてこれたんじゃない。
イ先輩に叔母様、ユンギヒョンにジミン、ウリメンバーたちにマネージャーヒョン。たくさんの人達の愛と見守りのおかげで、僕らがいま幸せな関係にあることを感謝しなくちゃ。
あまりにも방탄소년단が目まぐるしかった2022年を思うと、よくぞ僕に、ユナのような掛け替えのない恋人ができたものだと我ながら感心する。
どんな出逢いも出来事も偶然はないから、きっとユナとの出逢いも恋人になることも必然だったんだろうなぁ
程なくして、叔母様のお宅が見えてきた。
僕が迷子にならないよう、ユナが外観の写真を送っておいてくれたんだ。
「こんばんは、僕です、叔母様。」
叔母様が、念には念をいれて、玄関のインターフォンでナムジュンと言わないようにと助言してくれていた。
僕は今日も帽子にマスクにメガネ、そしてパーカーの大きめなフードをすっぽり被っているのだから、誰も僕だってわからないと思うんだけど。
まぁ何かあったら叔母様のお宅にも迷惑を掛けてしまうからな。
ほどなくして、叔母様の柔らかい笑顔が扉を開けてくれた。
僕がゆっくりと大きな声で話せば、叔母様はかすかな聴力と唇の動きで、僕の言葉を理解してくれる。
バラムからのケータリングを渡すと、とても喜んでくれた。
うん、次は、僕がバラムに招待しなくちゃ。
ユナに叔母様のお宅についたことをカトクすると、ユナたちもすでに美術館を出るところだと。叔母様に伝えると、ソファで休んでと促されたが、リビングの素敵な水彩画や出窓に飾られた写真に僕は魅了されていた。
「水彩画が趣味なのよ。この人は、天国で待ってくれている私の大切な夫よ。」 叔母様が筆談で教えてくれる。
温かみのある植物の水彩画は、叔母様の人柄を表している。リビングに穏やかな調和をもたらしていて、本当にすてきだ。
天国に先に旅立たれた、ご主人との幸せそうなポートレイト。年齢を重ねて、柔和な笑顔で寄り添う2人の写真には愛があふれている。
僕らもいつか、こんな素敵な写真が取れるカップルになりたいな。
そして出窓にはRolling hallでLIVEを終えた後、「僕と恩師と恩師の付添の方たち」として楽屋で撮った僕ら4人の写真、そして僕がインスタにアップした写真も飾ってくださっている。
「ほんとうに素晴らしかった。こんな素晴らしい才能に出逢うことができるなんて、長生きしていて良かった。」
叔母様の走り書きの筆談を読みながら、僕の方こそ幸せです、そんな風に言っていただけて、と答えながら涙ぐみそうになるのを必死に我慢した。
「おぉ!うまそうなご馳走の匂いがするなぁ!」
鍵を開けて玄関に入ってきた、イ先輩の嬉しそうな声が響く。
イ先輩と握手して、リビングに入ってきたユナをそっとハグして迎えると、今日も本当に幸せそうに僕に微笑んでくれる。
あぁほんとに・・・絶対にこの笑顔、このまま守り続けなければ。
「ね、素敵な写真があるんだ、見て!」
ユナのコートをハンガーに掛けると、そのまま手を取って出窓に誘った。
「この写真ね・・・私も本当にこの写真大好きなの。素敵なお二人。」
あ、そうだった。ユナはもう叔母様のお宅に来たことがあったんだっけ。
静かに写真を眺めるユナを見つめると、その視線の先は僕のインスタにアップした写真に移っていた。彼女が、ふぅっとため息をひとつつく。
![](https://assets.st-note.com/img/1676109012754-yeeBb90sJf.jpg?width=1200)
「ユナ?」
「ううん、なんでもない。」 なんでもないっていう感じじゃない。
「気になるよ、言って。」 そう聴く僕に、
「恥ずかしいから。」 離れようとするユナの手をとる。
「言って。」 静かに少し低い声で伝えると、ユナはもう一度、ため息。
「Rolling hallのLIVEを共有したジュニとアミの幸せな時間の写真だから・・・インスタにアップしてくれて嬉しかったんだけど・・・距離が・・・近くて・・・」
言いながらどんどん声が小さくなっていくユナ。
あぁ、恥ずかしい!と顔を覆うユナ。
その言葉も仕草も、職場でテキパキと仕事をこなしている理知的な彼女とはまったく違って、僕はあまりの可愛さに思わずユナを抱きしめた。
「ユナとはいつもこんなに近いのに、なんて可愛いの!」
可愛い可愛いと抱きしめながら揺れる僕に、イ先輩が声を掛ける。
「おーい!仲良しなのはわかったから!2人ともソファに座れよ。」
叔母様が、僕らが揃って初めてお宅を訪問した記念に写真を撮りたいと。
この素敵な出窓に僕ら2人の写真を飾りたいと言ってくださる。
お客様が来る時は、ちゃんと仕舞うから、と。
「2人のツーショット写真が流出するには、まだ時期尚早だからな。」
茶化して笑うイ先輩に、ナムジュンさんやユナさんを困らせるようなことはしないわと真面目に答える叔母様。どこまでも優しい2人だ。
「僕らツーショット写真って一枚もないんです。ありがとうございます!」
僕はユナを誘ってソファに腰掛ける。
「ナムジュンに逢えなくて淋しい時は、ここに見に来ますね。」
ユナがまた、可愛いことを言う。
彼女は気を遣って、僕の写真をスマホに残さないようにしてくれている。
僕らだけがわかる景色や場所を思い出に残しているんだ。
そして近い将来、18ヶ月も僕はユナに淋しい思いをさせてしまう。。
「2人の写真も4人の写真もたくさん撮りましょう。叔母様のリビングに飾ってくださったら、ほんとに嬉しいです。」 僕がそう言うと、
今夜のカメラフォルダだけは無礼講だな、プリントアウトしたら忘れないように消去しなくちゃなとイ先輩が笑う。ユナも嬉しそうだ。
ソファに腰掛けた僕とユナの写真は、初めてのツーショット。
さ、ご馳走が冷めちゃうぞ、食べ始めよう!
イ先輩の号令で、食卓を囲む僕ら4人。
あぁこんな風に、ユナを僕の大切なメンバーたちにも紹介できる時がくるといいな。
心からそう思った。
僕は、これからも방탄소년단のRMとして音楽に一生を捧げていくけれど、キム・ナムジュンとして掴んだ幸せもしっかりと育てていきたい。
隣に座ったユナの手を握る、僕の手に力が入る。
どうしたの?という表情で僕を見上げるユナ。
その瞳に映った僕が、ずっと君の愛しい人でいられますように。
【続く】