「まず採用!」…の、その前に。
これまでのエントリで、私の考える「Tenmaru」の責務、私の思う「人材と組織づくり」の大まかなビジョンをお伝えしてきました。
今回は「採用と育成と組織」の、本質に迫っていきたいと思います。
といっても、これが順序立てて話をするのが難しいのです(笑)
採用→育成→組織づくり
こんな順番かな、と考える方がほとんどだと思います。
しかし、この考え方では不十分なのです。
この、「採用→育成→組織づくり」の、『矢印の方向』が、必ずしも一方通行ではないからです。
「人手不足だから募集したい!…ちょっと待ってください」
人材を採用する側の立場になって考えてみましょう。「人材が足りない!採用したい!」と、費用をかけてマッチする人材を探すことになります。
しかし、そこで一度立ち返って考えてみましょう。
「なぜ、人材が足りないと感じるのか?」
当たり前ですが、仕事が回らない、業務に支障がある、現場から「人が足りない」との声があった、などで、採用を検討するのでしょう。
しかし、それは果たして「人が足りない」から起こってることなのでしょうか?
『採用』は、あくまでも手段
「人が足らないから採用」するのではなく、「仕事が回らないから採用」する、これはよく考えれば当たり前のことです。
では、問題の解消の手段として、「採用」が最適解なのでしょうか。
仕事が回らない→人材の配置にミスマッチがないか?人材の能力不足?
仕事のミスマッチで効率が悪いのであれば、配置の工夫で今いる人材を活かすことができるかもしれません。
また、「人材の能力不足」一見、致命的で、新規採用でしか解決できないと思うかもしれませんが、これすら「今いる人材を育成することで解決」できる可能性があります。
それらすべてをトータルで考えることこそ、「組織」なのではないでしょうか。
『採用』が解決できない、アレコレ
私が「採用」とは何か、を考えるきっかけになったのは、前職で中途・アルバイト採用チームに所属していた頃。飲食店のアルバイト採用を担当したことでした。
当時、飲食店はどこも人手不足で、どの企業さまも採用には苦労されていたように思います。実際に、採用しずらい業種やエリアに関しては多額の費用をかけ、採用広告を打ち続けている企業も少なくありません。
しかし、人材がまったく定着せず、毎週のように募集をかけている店舗がある一方で、ほとんど募集をかけなくても、つねに質の高い人材が働き続けてくれている店舗がある。
この違いは一体なんなんだろうか。絶対に、理由があるはず。
そして、調べていくと…やっぱり、あるんですね、「理由」が。
人材の問題、人間関係、育成の不備…
これじゃいくら採用しても、人はどんどん辞めてしまう。費用もかかる一方です。採用の前に、組織の問題を解決しないと、何も始まらないじゃない!?
人材が定着しないので、何度も掲載はいただける。そのぶん、売り上げにはなります。しかし、これは「お客様のため」になっているのだろうか。いくらお金になっても、ちっとも楽しくないし、間違ってる…と、日々、悶々としていました。
といっても当時の私の立場では、組織の中に介入することもできません。
この時の悔しい思いが、現在の「組織づくりのお手伝い」という、大変やりがいのある仕事に繋がっていったのです。
採用の前に、組織ありき!
「採用の前に組織と人材の見直しを」
実はこれ、当たり前のことを言っています。経営者の方が見れば、「そりゃそうだよ」と、共感していただけるのではないでしょうか。
でも、これって、当たり前のようで、当たり前じゃないんです。
人って忘れちゃうんですよね(笑)
この「当たり前」を可視化し、しっかりと見きわめ、組織づくりに生かしていく。
「つねに意識する」ことが大切だと考えています。
なので、私が「人材が欲しい。採用を考えている」と相談された際、最初に言うことは、
「あなたの周りには、どんな仲間がいますか?」です。
採用の前に、まずは今いる仲間がどんな人なのか。どのようなスキルを持っているのか。どんな仕事をしたいと望んでいるのか。どうすればステップアップできるのか。
これを意識して考えていくことこそ、本当の意味での「組織づくり」になると信じています。
「今いる仲間を大切にしたい」
ご縁あって採用した、貴重な人材です。共に過ごす仲間のポテンシャルを最大限に引き出し、高いレベルの仕事をしてもらいたい。
それによって、組織は成長し、会社は発展し、ひいてはその方の人生も豊かになっていく…
理想論です。しかし、「今いる人材を最大限に活かす」という考え方は、きっとどの組織にも有益であると信じています。
とある外資系の企業さんでは、ポストに空きができると、まずは社内公募をかけるようにしています。
本人の「やりたい!」という気持ち、すなわち「高い意欲のある人材」を得ることができる、とてもよい方法だと思います。
たとえ畑違いの業種であっても、それを自覚し、それでもなお意欲ある人材…そんな素敵な社員が、会社の中に眠っているのかもしれませんよ。
採用すべきは、『その人材』ではないかもしれない??
そうやって社内を見渡し、ヒアリングを続けていくうちに、「このポジションはこの人ではないかもしれない」「この仕事は、この人に任せてみたい」そんなビジョンが見えてくるかもしれません。
そうすれば、例えば「このスキルを持った人を採用したい」と思っていたものが、実は、そこは配置換えをするだけで解決し、アシスタント的な人を雇うだけで済んでしまう、というような事も、またよくあることなのです。
今いる人材を最大限に生かし、雇用コストも下がり、各人のキャリアビジョンも明確になり組織が強くなる、そんな好例です。
「最後は人間」
いつもこの結論になってしまうのですが(笑)やはり最後は「人間」です。
とある経営者さんから、こんなことをおっしゃってました。
「今以上の組織は今後、絶対に作れないと思う。」
こんな風に信じられる組織を作れるってなんてステキなんだろう。これは、この経営者さんが、個人のスキルを把握し、成長させ、適切なポジションを与えられたからに他なりません。
まずは採用!の、前に、
今の体制でまだまだやれることがあるかもしれませんよ!
「活躍人材を見きわめる」ということ
まったくもって当たり前の話なのですが、採用とは、組織を、会社を成長させるため…の、はずです。
しかし、今いる人材を活かし切れていないところに、新規雇用をしたところで、その人もまた自分の力を出し切れない結果になってしまいかねません。
採用ありきの組織づくりをしてしまうと、「採用」だけがひとり歩きしてしまうことになってしまいます。
会社を経営するということは、「組織をつくる」という覚悟を持った方々だと思います。そんな覚悟ある方は、「人材を活かし切る」ことを使命としてもらいたいな、と考えています。
組織にいる人間が、どんな強みがあって、どんなことが得意で、何をしたいか。
それらをくみ上げ、交通整理し、より良い組織を目指す。
「人材の育成をしたい」「組織改革をしたい」
これらはすべて根っこで繋がっています。すべては「人」です。
「すべては信頼とともに」
「採用」「スキルアップ」「人材育成」「ポジションのマッチング」たくさんの話を書いてしまいましたが、なかなかひとつにまとまらず、私もヤキモキしながら書いています(笑)
しかし、これらすべてが繋がり、包括的に「組織」を作っているのも事実です。各項目に関しては、次回以降で深堀りしていくこととして、今回のエントリで私が一番言いたかったことは、「信頼」ということになるのかもしれません。
人は信頼されてこそ、持てる力を発揮できます、誰でもそうですよね、「ああ、信頼されていないな」と思う場所で頑張ることなんてできません。その人は自分を評価してくれる場所を探してしまうでしょう。
費用と手間をかけて雇用した、大切な人材です。信じて、任せてこそ、その人が、ひいては組織が強くなれるのではないでしょうか。
そのためには、一緒に働く仲間がどんな人間か、どのようなビジョンを持っているかを理解する必要があります。すこし前までは、いわゆる「飲みニケーション」で補完していた企業さんも多くありました。
しかし、時代の変化、コロナ禍の昨今、それでは不十分になってきています。
今一度、働く仲間のことをよく知り、共にスキルを高め、一緒に組織を作ることを始めてみてはいかがでしょう。
…といっても、飲み会もそうそう開けない(笑)このご時世、どこから手をつけていいのか…という経営者の方も多いはずです。
その際は、是非、私に相談してください。
「Tenmaru」は、組織の中に入り、内側から一緒に考えていきます。
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