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1から海外拠点長(カントリーマネージャー)採用を始めるあなたへ|海外拠点立ち上げ採用の教科書
皆さんこんにちは、ポテンシャライトの寳田(ほうた)です💁♀️
🎄 ポテンシャライトアドベントカレンダー 2024 ついに始まりました 🎄
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期間 :2024年12月9日(月)~ 12月26日(木)
テーマ:1週間ごとに異なる内容を設定し、深掘りした情報をお届けします
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今週は「職種ノウハウWeek」ということで、私からは海外拠点長(カントリーマネージャー)の採用ノウハウを発信できたらと思います。
「海外に拠点を出すことになり、一人目を採用したいのですがどのように行うのですか?」
「海外拠点責任者(カントリーマネージャー)の採用を進めているのですが、なかなかうまくいかなくって・・・」
と、先日ご質問をいただきました。
海外にて拠点設立にあたっての採用は
・拠点設立国で現地採用を行うパターン
・国内で採用し駐在するパターン
などが選択肢として上がりますが、拠点設立のフェーズによっても採用するべきペルソナは様々です。
そこで今回は、採用に必要な前提情報や施策、手法について本noteで説明します。ゼロから採用を始める方にも、本noteを読んで全体感を理解していただければと思っております。
※あくまで本noteではポテンシャライトで日々採用のご支援をさせていただく中で感じた内容を元に書いておりますので、一意見として参考程度にご覧いただけますと幸いです。
1. 海外拠点長(カントリーマネージャー)の採用を進める前に把握するべきこと
海外拠点長(カントリーマネージャー)を採用活動を進めるために事前に把握すべきことをお伝えします。
1-1.海外進出日系企業の拠点数
海外拠点を設立し、1人目の責任者を外部から採用検討する場合の採用ターゲットは「海外拠点の立ち上げ経験」「海外拠点長経験」といった経験者採用を行うケースが多いです。
・・・となった場合、そもそも日本企業の海外進出数が増加しているのか、減少しているのか市況感を把握しておくと良いでしょう。
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アジアに該当する地域を中心に日本企業の海外拠点設立は継続的に増加傾向にあることが分かります。
1-2.「海外拠点採用」に対する求職者の実態
拠点数が増えている実態はあるものの、求職者の志望度や状況はどうなのか、気になったので調べてみることにしました✏️
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ビズリーチさんにて、年収750万円以上のビズリーチ会員が同サイトの求人を検索する際に使用したキーワードを集計した「2023求人検索キーワードトップ30」ではコロナ禍の収束を背景に海外勤務のニーズが高まっていると記されています。
4位に「海外」、17位に「駐在」というキーワードがランクインしていることや51位にランクインした「海外勤務」は前年84位から大幅にランクアップし海外勤務への関心をお持ちの求職者が一定数いることが把握できますね。また、海外求人数は2020年と比較し2023年は約2.6倍に伸長していたようです。
「海外拠点責任者」とひとえに言っても、拠点の場所や立ち上げフェーズ、事業領域によっても求められることは異なります。海外拠点責任者の採用はCTO/CFO/CMOのようなポジション同様に難関ポジションであることに変わりないのではないかと思います。
難関ポジションとは:
採用することが極めて難しい採用ポジションのこと
これらの採用ポジションにおいて採用成功するためには、他の一般的なレベルの求人における採用成功とは様々な施策が異なります。
「難関ポジション」と「一般ポジション」の求職者数の比率も下記のような感じではないでしょうか(当社の人材紹介候補者や当社の主観も入っています)。
◆難関ポジション と 一般ポジションの求職者数の比較
CTO:開発エンジニア = 1:50
CFO:経理/財務 = 1:30
CPO:PdM/Webディレクター = 1:20
CMO:マーケティング = 1:45
これくらいの差分があります。
他ポジションと比較して対象者=「求職者数」が圧倒的に少ないです。
2. 「海外拠点責任者」の職務内容・応募要件とは
実際の海外展開は簡単ではなく、その成功は海外拠点責任者の力量次第であるとも言われます。異文化の環境でのマネジメントを行う海外拠点責任者に求められる応募要件とは何か?求人票を作成する際に他社様はどのように作成しているのか/どのような魅力を訴求すべきなのか?傾向を探ってみました。
調査にあたり、海外拠点責任者を募集している企業様の求人や採用がうまくいっている企業を約30社ほど並べてみました。
2-1. 職務内容
各社の職務内容の一部を羅列したのがこちら👇
- 売上/粗利またはPLマネジメント
- 事業戦略・経営戦略の立案と実施
- 市場調査・競合分析・市場分析
- 新規顧客の開拓・既存顧客のリテンション
- 営業チームマネジメント
- チーム目標や指標(KGI・KPI)の設定・遂行
- 部下・メンバーの採用、育成、マネジメント
- 海外拠点の立ち上げ(インド・アジア中心、他地域含む)
- 海外拠点の営業組織・セールス機能の構築
- 海外アライアンス提携・販売代理店の開拓およびマネジメント
- 日本のPM/開発チームとのコミュニケーション・連携
- 現地人材の採用・教育・組織組成
- 事業運営に伴う数値管理業務(P/L策定等)
- 海外事業の戦略立案・実行(企画、進出計画、戦略設計等)
- マクロ・ミクロ動向の把握および参入戦略策定
- 現地販売計画・商流・物流・在庫管理・生産計画の連動
- CRM活用による顧客管理、カスタマーサクセス
- プロジェクトマネジメント・進行管理
- M&A/PMI
- 関係ステークホルダーとの交渉・コミュニケーション
- 経営層とともに新規プロダクトの企画運営・ロードマップ作成
- サービス企画・施策立案と実行(成長戦略、継続率アップ等)
- 販売代理店・既存商品売上拡大のための新規顧客・販路獲得
- 新商品導入の市場受容性理解・価値提供仮説構築・プライシング検討
- 現地ショールーム運営と認知向上施策
- 教育支援・医療支援等、現地発展のための企画と実行
- 資料やカタログの作成・翻訳業務
- 訪問営業時の通訳および提案活動
- 動画メディアの企画・撮影
- 会議体のファシリテート
- コミュニティ形成
- 情報収集・ビジネスディベロップメント
それぞれをカテゴライズすると大きく7つあることがわかりました。
(少しぼかしております。)
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▼事業戦略・経営管理
▼市場調査・分析
▼拠点立ち上げ・運営
▼営業・マーケティング
▼組織マネジメント
▼プロジェクト管理/連携
▼サポート業務・運営
2-2. 応募要件(必須/歓迎要件)
続いて求めるスキル、人物像。これは求人票で言うと「必須要件、歓迎要件」に該当する部分ですね。職務内容と同様に求めるスキル・人物像を羅列してみることへ。
8つのカテゴリに分けることができました。
▼言語スキル
・ビジネスレベルの英語力(読み書き・会話ともに対応可能)
・日本語で流暢にコミュニケーションできる能力
・●●語(該当国の言語)での会話ができる方 etc
▼海外経験
・海外事業立ち上げ・運営経験
・海外駐在・海外出航経験
・●●諸国に対するサービス提供経験
・クロスボーダー取引経験(●●年以上)etc
▼事業立ち上げ・推進経験
・新規事業立ち上げ・開発経験(ゼロイチ〜PMFフェーズ含む)
・経営企画/事業拡大経験
・新規事業のスケール経験(●●億円以上の実績) etc.
▼営業・コンサルティング経験
・法人顧客向けソリューション営業経験
・(toB or to C)サービスにおける海外事業経験
・英語での営業経験 etc.
▼戦略立案・分析スキル
・戦略立案スキル
・市場調査・仮説設計・データ分析・統計分析の経験
・経営戦略・事業戦略策定経験 etc.
▼マネジメント経験
・多国籍チームのマネジメント経験
・海外ステークホルダーとの商談・交渉 etc.
▼特定業界の知識・専門スキル
・製造業・有形商材の知見及び経験
・AI/機械学習に関する知識
・会計スキル
・法務スキル etc.
▼その他
・海外出張および長期駐在が可能
・未経験分野の業務を推進できるジェネラリストスキル
・オンサイトプロジェクト管理能力etc.
正直なところ、事業立ち上げ・推進経験/特定業界の知識・専門スキルを記載の求人票が多かったです。
3. 海外拠点責任者採用における全施策を並べてみた。
求人票の記載内容は掴んでいただいた上で、一体海外拠点責任者採用において取り組むべき施策・取り組んだ方が良い施策はいくつあるのか。まずは海外拠点責任者採用においてできることを項目別で洗い出してみました。
それがこちら👇
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レベル別にまとめてみると・・・
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レベル5に近づけば近づくほど、海外拠点責任者採用において「強者(レベル高)」になれるイメージです。(個人的な所感ですが、レベル5まで到達している企業はほとんどないかと思います。)
自然応募を待っているだけでは、応募は見込めません。そのため、各社ダイレクトリクルーティング(=スカウト)やエージェントさんへのコミュニケーション、知人への声かけやリファラル採用を推進いただいているかと思います。そのため、採用マーケティング・スカウト設計(スカウト文面作成や、各媒体でのスカウト)が重要になってきます。
3-1. 海外拠点責任者の採用手法
海外拠点責任者のような難関ポジションについては「年収」が高いことが多いです。採用手法において他一般的なポジションと海外拠点責任者で特別な「考え方」の違いはありません。(「考え方」と言うのは採用手法選定の仕方です)
ビズリーチやエージェントが適切な場合が多いかなと思います。
エージェントはやはりエグゼクティブな方からの登録が多くあります。「採用媒体が増えてエージェントが無くなる時代がくるのでは?」なんて声も以前に聞かれることがありましたが、優秀な方であればあるほど、プロフェッショナルな方(エージェント)に依頼をすることも散見されます。採用媒体にて、自身のキャリアからレコメンドされる求人で人生を決めるイメージはあまりありません。またAIでマッチングした企業情報は拝見するかと思うのですが、誰のアドバイスも聞かずにその企業に転職を決めることもし難いのではないかと。
3-2. 海外拠点責任者の転職の軸/訴求すべき魅力
恐らくターゲットとなる方は、年収が1000万円以上であることが多いかと思います。事業立ち上げ、事業責任者経験などのご経験を既にお持ちの方は、年収はもちろんですが、自ずと「やりがい」を強く求めます。
求めている項目は下記の通りです。上から順に「求めている順」になります。
- philosophy
- Market
- person
- culture
- product
- profession
- privilege
そのため、海外拠点国に設定した背景や現状の課題、自社なりの方向性などを求人票やスカウトメールに入れていただけると良いでしょう。もちろん個々人で価値観の違いがありますので、必ずしもこちらの通り、というわけではありません。philosophy/market観点は特に強いと感じておりますので、記載しておきます。
3-3. バイネームでターゲット設定/声かけを実施してみる
先ほどの採用全施策のシートにはあげておりませんが、皆さまも思いつくアクションなのではないかと思います。「バイネーム」と記載しましたが、「●●株式会社の●●さん」というイメージです。例えば海外拠点国が確定している場合、その国へ既に駐在している方を特定できる場合もあるのではないでしょうか。その他拠点国へ支社がある日本企業も特定はできますね。ここでいう「バイネーム」というのは、皆さまが「知らない/面識がない方」でも問題ありません。Webで検索してリストを作ってみましょう。そこそこ良いリストは作れるかと思います。
バイネームの方へアプローチの際はLinkedInがおすすめです。LinkedInのアカウントだけでも持っている方が多いです。ちなみにFacebookでも良いのですが、Facebookは見知らぬ方からのメッセージは、別のボックス?に入るため、おそらくスパム扱いと勘違いされます。次いでtwitterでも良いのですが、難関ポジションに該当する方でtwitterを常時みている方はそこまで多くありません。Webマーケティング業界の方は別かもしれませんが、そう考えるとLinkedInが理想かと思います。
また、ここまで読んでいただいた方はイメージできたかもしれませんが、「連絡の仕方」が重要です。自らご連絡をしても良いのですが、人事アカウントから連絡をしてもそこまで良い反応が期待できません。であれば社長さまや現職のCxOクラスからご連絡をしていただいたほうが良い反応が期待できます。理由は皆さんご理解いただけるかと思います。
次に、社長さまや現職のCxOクラスの方からご連絡をしていただいても良いのですが、それよりも確度が高い手法としては「共通の友達」です。信頼できる共通の友達がいた場合は、その友達に頭を下げてご連絡をしていただくのもテクニックとしてはあります。
最後に
皆さんいかがでしたでしょうか。
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