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選挙に行けない

日本に帰る夢を見た。でもそれは帰国予定日になって帰るのではなくて、選挙のために一時帰国するというもの。でも現実には選挙のためだけに帰国するのは難しく、もう今回の衆院選では私は投票することができないことが確定してしまった。

母から衆院選が行われるという一報が届いたのが10月10日。ちなみに、在日フランス大使館からメールが届いたのは、さらに5日後の10月15日。
在外選挙人証というものが必要らしいが、持っていなかったので、翌日11日はその申請方法を調べていた。12日に母に電話し、地元の市役所で手続きが必要らしいと言う話をした。母は15日には市の選挙対策委員会に電話したそうだが、その時点で既に、今回の衆議院選挙の手続きをする期間は終わっていると説明を受けたそうだ。

在外選挙人証を得るためには、地元の役所で転出届というのを出さなければいけないらしいのだが、その届出期間は、出国する日の14日前から出国する日の当日までということになっている。私はその間、VISAの手続きで頭がいっぱいで市の手続きはすっかり忘れていた。だいたい、滞在期間もほぼ1年だが、正確には1年未満なので住民票を移さなくても問題ないと思っていた。だが、選挙があることはまったく考慮に入れていなかった。完全に盲点だった。
もしフランスで投票する場合は、パリ、マルセイユ、ストラスブール、リヨン、ヌメア(南太平洋にあるフランスの海外領土)の5箇所のいずれかの在外公館で投票するか、郵便投票になる。ボルドーでは直接投票できないので、最もアクセスのいいパリで投票しようと調べていたが、結局はそれも徒労に終わってしまった。

日本で選挙があるとイザベルに話したところ、ベルギーでは投票が義務で、投票しないと罰金が課せられるという話をしてくれた。彼女はベルギーの出身で国籍もベルギーにおいたままだそうで、ベルギーの選挙権を持っている。だが、日本の在外投票制度とは違い、ボルドーの市役所で投票できるらしい。
(11/1 お詫びと訂正
彼女がボルドーの市役所で投票しているのはボルドー市の選挙で、ベルギーの選挙は郵便投票しているとのことでした。申し訳ございません。)

一方で日本はどうか。母が送ってくれた毎日新聞の記事には、海外に長期で滞在している人でも投票に大変な苦労をされているとある。一部を引用して紹介する。(記事で紹介されていたのはニュージーランドに住んで16年目の看護師の栗村さんという方)

21年衆院選では、投票用紙を投函した有権者1041人のうち15%にあたる158人の到着が間に合わず、「投票なし」と扱われた。(略)
(引用者:栗村さんは)21年衆院選では直行の速達便で1万7000円かけて投票用紙を郵送した。
(略)
22年7月の参院選。公示日の翌日以降にNZでは連休があり、郵送の遅れが懸念されたためより確実な方法として公館投票を選んだ。
NZの季節は冬。氷点下の中、午前3時に車で自宅を出発して、道路が一部凍結する真っ暗な砂漠地帯を走行し、ウェリントンで投票を終えて自宅に戻る頃には夜になっていた。栗村さんは「あまりの悪路に『死にませんように』と思いながら向かった。まさに命がけの投票でこんな思いは二度としたくないと思った」と振り返る。

毎日新聞「アップデートできない政治2  時間費やす在外投票なお ネット活用、実現せず」」

手続きの煩雑さ、申請期間の短さはもちろんだが、インターネット投票の導入を求める署名が集まっても何ら改善しないことにも、恣意的に解散して選挙をコントロールしようとする与党とそれを許している選挙制度にも正直、かなりムカムカしている。

最近は忙しくてネット自体に接続しないし、意図的に日本のニュースも目にしないようにしているが、選挙があると言う知らせを受け取ってニュースサイトやTwitterなどを見たところ、ぐったりしてしまった。
犯罪者、差別主義者、カルト、半ヤクザのように脅迫的な人たちがのうのうと立候補している。それを応援してるのが、総裁選で最終候補に残った議員や「野党」の元幹部。自民党の選挙広告で力説していることといったら「ルールを守る」…

低次元すぎて呆れるどころか情けなくて泣きたくなってくる。
あまり暗い話はしたくないのだが、状況が状況なだけにどうしたって暗くなってしまう。

投票しない(できない)身で呼びかけるのもおこがましく恐れ多いのですが、これを読んでくださった方がいたら、お願いです。どうか選挙に行って、犯罪者、差別主義者、カルト、半ヤクザのように脅迫的でない人・政党に投票してください。あえてはっきり言いますが、自民党、維新の会、国民民主党、公明党、参政党にはどうか投票しないでいただきたいと思います。

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