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2週間でお別れ

毎週月曜日は新しい出会いがあって、毎週金曜日は別れがある。
この週末は、アパートに招待してくれたケイト、大劇場を見に誘ってくれたクローディア、DARWINへ連れて行ってくれたスザンナ、3人がそれぞれの国に帰ってしまった。

クラスメイトの滞在期間は最短で1週間、2週間という人が最も多い。仕事やバカンスのついでに一週間だけ学校に通うことにしたと初めて聞いた時は、そんな短期間で何ができるようになるのか?と驚いたものだった。
実際、私もボルドーに来てから2週間が経って、異国の言葉を満足に話せるようになるには2週間はやはり足りないと思う。だが、その一方で、言葉は不十分でも、2週間で別れがひどく惜しまれるほど人と仲良くなれるということを知った。

「いい?Megumi。フランスとイギリスはとっても近いわ。あなたが1年の間にイギリスに来ることがあったら必ず連絡ちょうだい。もちろん私もこの先日本に行くことがあったら連絡するわ。またきっと会いましょう。」と、聞き取りが不得手な私のためにゆっくりと言ってくれたケイト、
「Megumi、会えて本当によかった。ドイツに来ることがあったら連絡して。家にはソファーベッドがあって、そこでよければいつでも泊めてあげられるから。」そう言ってすぐにメールアドレスを教えてくれたクローディア、
「Megumi、たくさん人に話しかけて、友達を作って、たくさんフランス語を勉強するのよ。歌もせっかくあんなに歌えるんだから、自信を持たなきゃ。学校の先生やホストファミリーに歌の仕事の伝手がないか聞いたり、カフェとかレストランとかで歌わせてもらえるように直接交渉したりしてみて。それはあなたの夢を叶えるために大事なことよ。」と上背のある体を折り曲げて、身長の低い私の視線の高さを合わせて言ってくれたスザンナ、
三人それぞれの言葉とハグを思い出す。

彼女たちのいない今日の教室は、とても静かだった。


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