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SIMカード無しの生活

この一カ月、SIMカード無しの生活が続いている。初日に買おうとは思っていたのだが、探していたfreeという通信会社が見つからなかった。その後、街の中央でorangeという通信会社の支店は見つけたが、手続きなどが面倒だし、必要も感じないし、節約もしたいので買っていない。結局freeの支店はまだ見つけられていない、というか探してもいない。

日本にいる時に使っていたのは1 GB で 300円弱の日本通信という格安SIMだった。家にはWi-Fiがあるからいつもモバイルデータはオフにしていて、外出時にも帰りの電車の時刻を調べるときや帰りの時刻を家族に伝えるときしかほぼ使わず、使用データ数はたいてい200MB前後で、多い時で596MB。1GBを使い切ることもなかった。

こちらに来てからも写真を撮るときを除いて外でスマホを使用することはあまり無い。せいぜい何かメモするときか、目的地までの経路を確認するときくらいだ。どういう仕組みなのかわからないが、SIMカードがなくてもGoogle マップで現在地は表示される。目的地も事前に「お気にいり」に保存しておけば表示されるので、そちらの方向へと歩いていればやがて着くので問題はない。最近ではずいぶん街を歩いたおかげでGoogle マップなしでも道がどう繋がっているのかわかるようになってきた。

Wi-Fiは家と学校にあるが、家では勉強目的か料理のレシピ検索で使うのが主で、学校ではもっぱら授業で使用するのみだ。休み時間中は友達と話しているのでほぼ使用しない。この日記もスマホのメモ帳に書いていて、noteにあげるのは朝の学校の授業が始まる間か帰宅後だ。

家では夜になると基本的にWi-Fiの電源を切ることになっている。ジャックはネットの便利さを認めつつも嫌っていて、この前はスマートフォンの画面を上向きにして置いたイザベルに画面を伏せるように言っていた。
私もスマホを机の上に置いたまま食事をするのは好きではないので、食事の記録の写真を撮ったらすぐ椅子の後方に置くようにしている。

食事とスマホ、というといつも思い出す光景がある。家族で旅行に行って、旅館の夕ご飯を食べていたときのことだ。隣の席に浴衣姿の男女のカップルがいて、向かいあって座って食べていたのだが、二人ともそれぞれスマホに釘付けになっていて、食事中ほとんど会話をしていなかった。だが、仲が悪いわけではないらしく、食事が終わると言葉を交わしながら二人で連れ立って帰っていった。せっかく目の前に美味しい食事と人(それもおそらくは恋人)がいるのに、全く目を向けず話もしないというのに驚いた。たしか高校生の時だったから8年前くらいのことだと思う。当時はそれがものすごく奇妙に見えたが、今ではごくありふれた光景になりつつある。

ボルドーではスマホに釘付けになっている人は日本ほど多くはなく、朝のバスをぱっと見まわしたところ、スマホを触っているのは4-5人で、他の人は本を読んでいたり、外を見ていたり、おしゃべりしたり、何もしていない人も多い。歩きスマホをしている人もいないわけではないが、少ない。それも釘付けという感じではなく、手に持って時々確認しているという感じだ。歩道は犬の糞が罠のようにあちこちにあるので、釘付けだったら踏んでしまうからかもしれない。

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