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人のように表情を変える犬たち


犬を飼っている人は、犬たちが笑ったり、しょんぼりしたりするのを見たことがあるだろう。

先日読んだ本に、犬たちが意識的に表情を作ってコミュニケーションをとっている、と書かれていた。

犬の表情は無意識なものではない。研究の結果、犬は欲しいものを手に入れるため、特定の表情を意図的につくり、人間とコミュニケーションを図ろうとしていることが分かった。
ある実験で、人は犬と向き合ったり、顔を背けたりしながら、おやつを差し出したり、引っ込めたりして、その時々の犬の表情を観察した。するとイヌは、人が向き合っているときの方が、舌を出す、眉を上げるなど、明らかに豊かな表情を見せたという。つまり、イヌはおやつをもらうため、人間に向けて表情をつくっていたのだ。

「ナショナルジオグラフィック別冊 犬全史」

犬たちは、人間に向けて表情を作っている。それは、人間たちが表情を変えながらコミュニケーションをとる生き物だからだろう。
嬉しい時は笑い、怒っているときに顔をしかめる人間の様子を見た犬は、真似することで気持ちを伝えようとしているのだ。

犬たちは月に一度くらいしか会わないトリマーの私のことも、よく見ている。
私が急いでいたり、気持ちがざわついているときには、落ち着かない仕草を見せたことがあった。逆に、笑顔で愛情持って話しかけながら接すると、リラックスして優しい顔をしてくれる。

犬たちの嬉しい顔、悲しい顔、苛立ちの顔、恐怖の顔、いろいろな顔を見てきた。(もちろん表情だけでなく、息遣いや体勢や動き方、体の硬さなどさまざまな様子から、その犬がどんな気持ちなのか判断しているが)

ときに、具合が悪い時や吠えてしまう時に、言葉を話せたらいいのに……。と思ってしまう。何を求めているのか、話してくれたら応えられるから。

だが、そんな時こそ、犬たちが私たちのことを見てくれているように、普段とのささいな違いに目を凝らすべきなのかもしれない。



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