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IngressとInugressと

こちらは、Ingress & Wayfarer Advent Calender 2024のために作成した記事です。


彼女との出会いは、2012年11月に遡る。
友人の強い勧めもあり、どうしてもパピヨンを飼いたくなった私は、専門ブリーダーさんを見つけ、埼玉の東松山まで会いに行った。
まだ、やっと開いた目で、きょうだいに踏み潰されながらも必死に生きようとするその姿と、他のどのきょうだいよりも小さく生まれた彼女に庇護感がうまれ、彼女を引き取ることを決めた。

ぎゅうぎゅう

我が家に来たのは翌2013年。到着した当日早々にこたつカバーへ粗相をし、優雅な冬のこたつライフは一瞬にして幕を閉じてしまった。
ある程度準備をしていたつもりだったが、フロアも全面コルクマットに変え、少しずつではあったが彼女との生活は充実していったものになっていたと思う。

くもんのひょうじょう

ただ、日中は仕事で外出をしている。ブリーダーさんからは「飼い主さんがいない間は寝ているから心配ない」と言われていたものの、彼女のために少しでも早く帰りたかったし、そうできない日の仕事量は正直恨んだ。
帰ってやることの第一位は散歩だ。生まれたときからあったデベソは避妊手術とともにきれいになくなり、生来のテンションの高さを徐々に発揮する散歩タイムが始まったのだが、やはり仕事終わりでの散歩は10分、長くても20分。当時住んでいたアパートはどの方角を見ても坂道に囲まれていて、普通の散歩はままならない。その中でやや平坦な道だけを選び、「今日はショートコース」「今日は超ロングコース」と自分の歩ける範囲で彼女を連れ出した。
だが、若い犬の体力とは恐ろしいもので、10分やそこらの散歩では到底解消できない無尽蔵の体力との戦い。
そんな中で出会ったゲームが、Ingressだった。

残ってた一番古いスキャナーのスクショ

色としては青も緑も好きな色だったが、導入部分で書かれた説明で、私は緑色を選んだ。その数分の逡巡が、まさか10年後にも続く関係を構築できるとは、当時は知りもせずに。

スキャナーを立ち上げても、近くにポータルはない。いや、正確には、「坂を登らないと」ポータルはない。仕方なしに超ロングコースに坂道登りを1つ付け加えた散歩コースが出来上がった。エメラルドグリーンに輝くポータルに、レベル1のエージェントができることはHackくらいしかなかったが。

やがて、コミュニティに参加し、超ロング+超坂道コースの散歩ルートが出来上がった。普通の自転車ではおよそ登ることができない急坂を彼女と登り、無事コミュ障ぶりを発揮した挨拶で、
「あの…Ingressの…」
彼や彼女たちとの関係は、今でも続いている。

慌てて撮りすぎなレベルアップスクショ

20分の散歩が超ロングコースと呼ばれていた時代はあっという間に忘れ去られ、壊されては「復旧にいかないと」という使命感に燃え、仕事終わりの夜に2時間3時間に及ぶ散歩が始まった。
その頃からだっただろうか、犬とIngressしながら歩くんだからInugressだよね、と名前をつけたのは。
飼い主はポータルキーを拾って満足し、彼女は自身の体長の何倍もある枯れ木を拾って満足する。
キーと枝は、二人で大事に持ち帰った。

公園の入り口でだいたいつっかえるやーつ

深夜2時過ぎ、公園を再構築してからの帰り道。
警察官がコンビニ帰りの若者に声をかけていた。
見た目は普通の男性だが、警察24時などで見る『警察官の勘』が働いたのだろうか。傍目にはラフな家着で近くのコンビニにちょっとした買い物に来ただけのようにしか見えない。
その横を、「お疲れ様です〜」と犬連れで通り過ぎる私。
どう考えても深夜2時に犬の散歩をしている人物の方が怪しいと思うのだが、チラとも見られることはなくその場を過ぎ、犬を連れていると警察官の注意が向かなくなるという使うことのないライフハックも手に入れた。

週末は絶好のInugress日和でもある。まだまだ少なかったポータルを一つでも増やそうと、雪の日はバスがチェーンを巻いても滑り落ちそうになる急坂からスタートし、半日をかけて近所を散歩する。コンビニすらないエリアだったので、十分な水とおやつを抱えて二人で旅に出た。
まだポータルになってない公園やお地蔵様を見つけポータル申請したことを報告しては、「あ、それ申請済み」と地域コミュニティの人に一蹴された。

イッヌのオブジェとこんにちは

二人でInugress旅に出ることにした。
Ingressの大規模イベント、そうアノマリーがあったのだ。犬連れなので当日どう動くかわからないということでフリーに参加。
シャードのゴールになることがわかったResistanceのポータルにInugressをしにいって、撫で回してもらう。彼女は持ち前のコミュ力で思う存分になで上げられ、その間に皆の手が止まるのをいいことに、思う存分Ingressをする。
そして、2フェーズ目(当時はそう呼んでいた気がする)には離脱をして、ドライブに出かけた。

ローカル電車でInugress旅に出かけたこともある。
朝8時に京都駅を出発し、目的地の鳥取・皆生温泉の宿に着いたのは夜20時過ぎ。道中山に登ってみたり砂浜に出てみたりの時間もあるが、8割がたはなんらかの電車に揺られていた。

ほぼ電車。鉄子ではない、念のため。

鳥取砂丘は思っていたより何倍も風が強く、足も取られる。四つ足の彼女はリードの限界まで先に登り、早く来いと丘の上で待っていた。
一番高い場所から初めて見た日本海は、髪を風になびかせる彼女と二人きりのクリスマスだった。

おぐしがみだれてますわよ

そんな彼女も、12歳を迎える。
犬の寿命は、人間よりも遥かに短い。今この瞬間は元気だが、あと何年一緒にいられるのもわからない。人間にかまってもらうのが大好きな彼女と、久しぶりにInugress旅行をすることにした。
目的地は函館。
そう、2024年アノマリー開催地でもある。

思っていたより小さい飛行機は北の大地からの荒ぶる風に揺られ、大きくふらつきながら函館空港に着陸した。小さい頃から遠方への移動は基本的に飛行機と乗り慣れてはいるものの、やはり年齢を重ねてきて多少の不安もある。ペット引き渡し場で元気にしているのを見つけ、とりあえずこの旅の成功を確信した。

係員さん、ありがとう

当日の函館山は強風でロープウェイが止まる可能性があるとのアナウンス。

かぜにあおられるイッヌ

なんとかなるだろうと登ったものの、あまりの寒さに早々に引き上げて降りてくると、1930時点で運行停止。アメフラシ(雨女)として、ロープウェイを止める実績を解除した。

アノマリー当日、きちんとやきうユニを身に纏い、Resistanceの人の手をしっかり止め、イッヌシールドターゲット防御はおよそ成功。
地域ワンコともしっかり交流し、その後合流したチームの人に撫でられまくり、本人は大満足。

ユニ型ハーネスは買って大正解

そして翌日のミッションデー、見事にアメフラシの力を発揮して一日中雨。スリングに揺られながらの公式ミッション&チームミッション。函館グルメは諦めていたものの、犬連れで入れるお店の方に声をかけていただき、無事お昼にありつけました。
ありがとう、函館。

キモい絵が並ぶスキャナー


旅の良い仲間は、道を短く感じさせます。

アイザック・ウォルトン

IngressとInugress。相性は最高だと思う。

彼女と一緒なら、どんな坂道も長い道も歩いて来れた。
そしてこれからも、少しでも、一緒に歩けますように。

今日もお疲れ様でした

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Ayoca
#ヤクルトスワローズ #Enlightened #swallows