9年前の今日というご褒美
8月20日(日)。
OJTも外れ、ひとりでの業務に緊張が続きそろそろ疲れが溜まってきた頃、嬉しいことも続いた。
世の中の5連勤をこなす方々はすごいと思う。大学病院での外来の看護助手をしていた時は日祝休みだったので6日勤をこなしていた自分がいた。そう思うと信じられない。
常に動き回り身体を使う体力勝負のお仕事は、連勤があると3〜4日目から疲れもピークに達してパフォーマンスの能力(お仕事の)がガクッと落ちる。3日以上の連勤の時は、お仕事から帰ってきてからいかにその日の疲れや滞り(老廃物)をその日のうちに流してリセットし、質の良い睡眠を取って身体をやすめるかにかかっている。次の日のお仕事の質の向上のためのケアやストレッチは毎日必須、その時間をたくさん設けて費やすようにしていて、体や心を整えて次の日に臨むようにすることも大切な自己管理責任だと思っている。
私の身体は小さい時から早寝早起きに向く体質だったので、明日の仕事を思えば早く休むに越したことはない。できるだけ早く帰りたいし早く寝たい。夕食もできるだけ早くに済ませることが理想。
疲れすぎていると、身体は食べることよりも横になることを欲する。そんな時に無理して食べてしまうと、胃や腸での消化に身体の残りのエネルギーと血流の大半を持っていかれてしまうので、回復の力が無くなってしまう。
食欲がとにかく無くなって、身体の回復の方にエネルギーを回そうとする私の身体。身体の訴えは本当に正直だ。
嬉しかったことその1
今朝はホームでお歌の大好きな方と一緒に歌いたい曲を用意していって重唱した。みんなが「なになに、すごい!もう1回歌って〜」と集まってきてくれて、その方はとても嬉しそうにされていた。中学校で習ったアルトのパートをいまだに覚えていて役に立った。今日のためにあの日の重唱の期末テストがあったのかな?と思ってしまうほど。
私も学生以来の重唱は本当に楽しかった。聞きに来てくださったみんなも巻き込んで大合唱しました。
広いソファとテーブル、大きな窓からは木漏れ日の揺れる森林と緑道が観え、本棚には難しい書物や有名なものがずらりと並んでいる一室でお昼の休憩をとっている。まるでどなたかの別荘にでも来たかのような気持ちに毎回なる。なんの書物かもわからないような、ものすごく大きくて重厚な、舞台やドラマでしか見ないような本がお部屋の端から端まで揃っている。中を開くと英文で、飾りではなくて本物。かつてのお屋敷のご主人はこれらがすべて頭に入っていたのだろうか。それともご趣味だったのか。すごすぎるし、世界が違いすぎて絶句するしかない。
大理石の置き物や見るからに高そうな壺や絵画も飾られている。余計な動き(身振り手振り)をしたり、「アハハ~!」なんて笑ってよろけでもして割ったりしてしまわないかと、ひやひやして休まるものも休まらない。極力何もない端っこにいる。落ち着く。リアルすみっこぐらしです。
ここはかつてどなたかのお屋敷だったそう。美術・装飾品ごと買い取ったのだとか。おかげで(?)私は来た当初、毎日のようにお屋敷の中で迷子になった。今もちょっとまだ怪しい。笑
今日もそのお部屋でお昼休みを過ごした。
嬉しかったことその2
その休憩時間に。スマホを手に取ると「9年前の今日」と表示されて出てきたのは、先日のnoteにも書いた、今は亡き大好きな祖母とのツーショット写真だった。お箸を持つ手も止まって、祖母と過ごした2014年8月20日の日の会話や温もりを思い出し懐かしんだ。
9年前の私は当時お気に入りだった白いレースのあしらわれた水色のワンピースにロングヘアー、チャームポイントのおでこを出して祖母と写っている。祖母はおでこを出していたほうが可愛いくてべっぴんさんだと会う度にいつも言ってくれていた。母もおでこを出したほうが可愛いよと言う。そしてショートカットが大好きなのは祖母と母とが似ているところ。
そのうちおでこをだしたショートカットに、私もなるのだろうか。
嬉しかったことその3
するとそこへ、ご入居者の男性の方がやってきて、私の隣の席に座っても良いか?と聞く。そこはコミュニティルームでもあるので、もちろん「休憩中でもぐもぐしていますが、それでもよろしければよろこんで!」と答え、私だけ飲食しているのもなんなので(その方は昼食はすでにお済み)、お茶を淹れて差し上げた。いろんな知らないお話しをしてくださって楽しかった。
後に先輩に「○○様の方から声をかけてきたの?」などいろいろと聞かれた。普段は「僕に構わないでくれ」としか言わない方だからとても驚いたと言う。
私のなにかがその方のなにかを解したり引き出し、良い影響となっているならそれはすごく嬉しい。まだその方の誰も知らない部分を知っていける余白があるということにも。新しい風をどんどん送り込んでいきたい。
ここのホームでの面接の際、「あなたはラーメンでいうと何ですか?」といった質問があった。私は塩ラーメンとか味噌ラーメンとか、ラーメンの種類を聞かれているのかと思ったが、「ラーメンの具材ではなにか?」というものだった。まったく想像していなかった質問に目を丸くしてしまったし一瞬頭が真っ白になって怯んだけれど、真剣に考えて出した答えは「スープです」。
「それはなぜですか?」と続いた。
「スープは命で、そのお店こだわりの味であり、私も私の味を出して表現していきたい。そしてスープは個々のバラバラな具材それぞれに絡んでいき、また全体をあたたかく包んで馴染ませまとめていく。ここでもいろんな職種の方やご入居者様と絡んで連携して、そんなスープのような存在になれたらという願いも込めてスープにしました」と答えた。
介護福祉士への道半ばからずっと支えてくださり、面接の場にも同行して一緒に挑んでくださったアカデミーの先生が隣で「おおお!」と言うので、みんなで笑い空気がとても和んだ。
これまでにこの唐突な質問に、理由までしっかり答えられた人はいないと言われた。
意図は分からないけれど、どんな質問にも真剣に考え誠実に答えてゆく。それはこれまでの患者さんやこれからのご入居者様に対しても同じこと。
優しくてホッとするような、味わい深いスープになるぞ〜!!
嬉しかったことその4
休憩から戻ると今度は本日の一大イベントである『お茶会』の時間がスタートしていた。1か月間毎日違うアクティビティが行われ、レクに潤うホームだ。
こだわりでご自慢の和装をされたご入居者様が、目の前でみんなにお茶を点ててくださった。職員にも。
らくがんのことを「これ何?ラムネ?」と言った年下の4ヶ月先輩の女の子。
大先輩から、ちょっとあとで体育館裏へ来るようにとの呼び出しを食らっていました。笑
お薄はそれはそれはもうたいへん美味しゅうございました。至福のひとときでした。
帰り。明日はお休みなので、昨日友人から紹介してもらったばかりのお店にさっそく寄り道をした。地図を調べると場所は経堂で、職場の少し先だということにもタイミングを感じ、その場所が以前訪れたことのあったくろねこドーナツさんへ行くのに歩いたすずらん通り沿いだということにも、すごく驚いた。
▼過去の投稿
今だけ特別価格のマンゴージュースに惹かれつつ、メロンのパフェに即決!ボリューミーなフルーツサンドも美味しそうだし、「ヤラナイト」というお茶も気になる。
“いちまん”さんだけに、いちまん回コナイトかな…?笑
マンゴージュースもヤラナイトも本気で気になるので、またきっとすぐに来ます。絶対に来ます!
連勤めちゃくちゃ頑張ったご褒美。
壁の文字は
『CAN'T HELP FALLING LOVE WITH FRUITS』
挑戦と責任という考え方にもたいへん共感できるお店。
メロンは熊本県産のアールスメロンを使用しているとのことでした。桃のパフェとも一瞬迷ったけれど、もうすぐ時期が終わるメロンにしました。
美味しくて嬉しくて、すぐに教えてくれた友人に連絡をした。
こういう、傍からは見えないところの小さくても大事な礼儀と配慮の積み重ねには普段からとても気をつけている。私もそうされて嬉しいと思えることは大切な相手にはなおさらするようにしている。
ご褒美にすっかり身体が冷えきってしまったけれど、外に出た時の気温差にやりきった連勤への充実感が加わって、めずらしくモワッと感が心地よかった。
道行く人々の雰囲気が日曜日の顔をしていて、今日が日曜日だということをすっかり忘れていたことに気づいた。
▼お店の概要
嬉しかったことその5
ちょっと帰りが遅くなってしまったけれど、帰ると母から生のプルーンと海老名産のドラゴンフルーツ(紅)と梨が届けられていた。海老名でドラゴンフルーツができるだなんて…!!!
母もまた私の身体をよく分かっている。疲れている時にご飯を受け付けなくなることを。
フルーツは常温で食べるのがすきだということも。
身体(内臓)を極力冷やしたくないのもあるし、フルーツ本来の味は常温がいちばん美味しい。もし冷たいものを身体に入れる時は温かい飲み物かお白湯を選ぶようにしている。
特別なご褒美で今日は身体を冷やしたので、あとは寝るまで冷やさず、寧ろあたためるのみ。
帰ってすぐに母にお礼の電話をかけた。
重唱や「9年前の今日」のお話もして元気になった。
母も私も学生時代はカトリックの学校へ通っていたので、私が新しい賛美歌を学校で習ってきて母に聞かせると、母もその賛美歌を覚えていることがよくあって、アルトのパートを歌ってくれて重唱したりしていた。そんな懐かしい話も次々に飛び出す。
運動会や遠足や、なにか学校行事などのイベントがあるときに「お弁当、何がいい?」と母に聞かれると必ず「枝豆のおむすび」か「わかめおむすび」と答えていた。海苔がだいすきなので、海苔は絶対。蓮根餅という母特製の大好きなおかずも必ず一緒。
その枝豆のおむすびは祖母の大好物でもあった。私と祖母はお互いに「好きなものがよく似ているね」といつも言って喜んでいた。
今日のいちばんのご褒美は
「9年前の今日」。
心の栄養になってすぐに吸収された。
介護福祉士になろうと決めたのも、祖母とのことがある。
お昼休みに祖母が会いに来て、応援してくれているように感じられた。
その日、自分が何を食べていたかなんてなんにも覚えていないのに、祖母が食べていたものだけははっきりと覚えている。話してくれたお話も。
9年前の今日が9年後の今日、新たな力に変わった。