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心の花瓶に


残り少ない職場での1日1日、何を残していけるかを常に考えて大切に過ごしています。

誰もいなくなった真っ暗な外来のロビー、雨の中庭、朝日や満月を患者さんと眺めて愛でたダイニングルーム、
いつもの日勤がはじまる喧騒とした光景、同時多発コール対応でままならないタイムアウトやリシャッフル。

いつもと変わらない日常のひとコマひとコマを目に焼きつけていく。


今朝、夜勤からの帰り道に咲いていた八重咲きの薄ピンク色をした木槿(むくげ)がまるでブーケのようで、はっとして足を止めた。

たくさんついた蕾や花が、
私がこの場所で重ねてきた日々のように感じられ、またこれから待つ日々のようにも感じられて。
これまでのたくさんの人、もの、ことに対する言葉にならないものが込み上げてきて、爽やかな朝に胸と目頭がどうにも熱くなってしまいました。

私はいつも少し先を生きています。
私にとって今を生きることは、同時に数ヶ月先あるいは数年先を見据えて生きることでもあります。
『今』が少し先の未来の礎になると信じて日々行動し、選択を重ねてきました。
いま勤めている病院を選んだ時も、いつか去ることは分かっていました。COVID-19の影響で計画が1年のびてしまったけれど、それでもこの1年が本当に濃くて、今後の大きな自信や力になる経験や学びがいっぱいありました。


以前、12年以上勤めていた寺院のご住職は医学博士でもありました。

私に、
「人を救うには真心と実力しかない」とよく仰っていた。

尊さはとても比べられないけれど、今日までその言葉を忘れた日はありません。
私は私のできることを、私を迎えてくれる場所で誠実に。
「五常」+「慈」は私の人生です。どこにいても何をしていても誰に対しても死ぬまで変わることはありません。

木槿のブーケは目標と共にしっかりと心の花瓶に生けました。
ケアマネにチャレンジする5年後、もう一度このブーケのことを思い出そうと思います。

私は、ゆくゆくは地域へ戻って携わりたい。まだ輪郭のぼやける弱々しい目標だけれど。一歩また一歩と進もう。



職場にはあらゆる愛を置いていきます。少し経った頃にようやく気づくような静かな愛をたくさん。時間差攻撃です。笑



大好きな道、
大好きな駅、
大好きな職場。

初夏の風の中、あと何回通えるかな。

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