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渋谷さんぽ。エドワード・ゴーリー展へゆく
思い返すと、大人たちが黒革のソファに腰をおろして、黙々と絵本を読んでいる空間ってなかなか非日常だ。
そのうちのひとりとして証言すると、このソファの柔らかな沈み具合が罪深い。ほの暗い空間は居心地がよく、洒落た音楽とお酒があれば完ぺき…なんて、美術館で不埒極まることを思った。
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今日はひとり休暇を楽しむと決めていた。渋谷の松濤美術館で開催中の「エドワード・ゴーリーを巡る旅」は、何としてでも混雑しにくそうなタイミングで行っておきたかったからだ。
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東京メトロを出て道玄坂方面の坂をぐんぐんとのぼっていく。午前中は晴天に恵まれ、歩いているとじんわりと汗が出てくる。直前になって「やっぱり家でぐうたら過ごそうかな…」の誘惑に負けなくてよかった。
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駅が遠ざかるにつれ、渋谷にも生活の香りがあるのかという驚きがあった。静かな住宅街がある。ここらの住人はさぞ裕福なのだろうという先入観もわいて、品のよさすら感じる。
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何度か方向を間違ったものの、松濤美術館に無事着いた。入り口に数人並んでいるのを見てぎょっとしたが、受付がひとつしかなく混んでいるように見えただけだった。
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エドワード・ゴーリー(1925~2000)は、アメリカの絵本作家だ。
絵本といっても、その世界観は恐ろしいものが多く、出てくる人々は大抵ひどい目に合う。子どもだって例外ではない(むしろ代表作の「ギャシュリークラムのちびっ子たち」は、名前のアルファベット順に恐ろしい運命に出会っていく)。
上の撮影可能だった作品は「不幸な子供」という絵本のひとコマ。会場では20枚以上の原画が並んで飾られていて、終わりに近づいた1枚の前で思わず泣いてしまいそうなほど苦しくなった。
父が戦争に行き、母が死に、叔父も死に、寄宿学校ではいじめを受け、逃げ出そうとしたところを悪い大人につかまってーー。これでちょうどお話の真ん中くらい。こんなにつらい話だったろうかと胸が痛くなる。
「失敬な召喚」という絵本のなかの、女と悪魔がくるくるダンスしている作品は今回のお気に入り。グッズコーナーにポストカードがあれば欲しかったのだけど…残念ながら見つからなかった。
ただ、今回の印象度ナンバーワンといえば群を抜いて「蟲の神」である。5才にもならない女の子が誘拐されてさてどうなるかという話で、登場する“蟲”も結末も気持ち悪いとか不気味という印象を軽く超えてゾッとする。絵本の販売があったけど、タダでも持ち帰りはできそうにない。
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会場内は人もまばらで、90分ほどかけてじっくりと鑑賞できた。来た道を引き返せばいいとスマホで地図を開きもせずに歩いたら、かなり遠回りしてしまった。
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最後の1枚は道玄坂をジャックしていたヌートバー(眼鏡の広告)の奥に、大好きなジェイク・ギレンホールの広告を発見してパシャリ。…けど改めて見返してみると、これってジェイク?