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恋愛って人それぞれ【隣人の愛を知れ/尾形真理子】

「人生でいちばん好きな人となら、幸せになれますか?」これは帯にあった一文。なんて難しい問いなんだ……。私には到底わからない。

今回読んだ本は、尾形真理子著「隣人の愛を知れ」

尾形さんはLUMINEの有名なキャッチコピー、「試着室で思い出したら、本気の恋だと思う。」を作られた方。このコピーがタイトルとなった本も出版されている。尾形さんはかれこれ20年近くルミネのキャッチコピーを作られているそうだ。

大学生の時に東京に上京してきた私はルミネで「試着室で〜」のキャッチコピーを見て、「なんて東京って素敵なんだ!!!」と感激した。エスカレーターで見かけるルミネのポスターには尾形さんのキャッチコピーに合った女性がうつっている。その女性は楽しそうとか、幸せ!みたいな感じではなく、いつも何か物思いにふけっているような印象。だからなのか、ポスターやキャッチコピーにいつも目を引かれてしまう。


なんて、なんて近すぎて複雑な人間関係

本書の登場人物の相関図を私なりに作ってみた。美智子家族を中心に円状?に関係が構築されているようだ。

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絵がある6人は私の勝手な似顔絵ではなく、本書に登場している絵を参考に書き写したもの。(書き写せていないかも。笑)

1.夫に浮気されるひかり

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あ〜もうなんでそこまで旦那に執着するんだ!と思ってしまった。だって、旦那は浮気もするし家に帰ってこない。心配してくれるかと思って過度なダイエットをしても旦那は気づかない。

ひかりは旦那のスマホを盗み見したことで旦那が浮気をしていることも、その相手のことも知っている。相手は2.莉里のお母さんのアカネだ。ひかりは莉里親子と直接関わりはないが、SNSでアカリのことはチェックしている。

浮気していると知っていても健気に旦那の帰りを待つってどんな感じなのだろう。私なら気づいた瞬間にとっちめるだろうけど。そんなことが起こらないことを祈る。アーメン。

2.アカリの娘の莉里

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莉里は「ものわかりのいい子」っていう表現がピッタリ。小学4年生ながら母親のアカネのことを気遣っている。アカネの彼氏(=1.ひかりの旦那)が家に遊びに来ると、莉里はアカネたちが二人の時間を楽しめるように一人で読書に励んだりする。

莉里は子ども食堂の職員の美智子と仲がいい。しかし美智子はアカネの彼氏の妻ひかりの母親。その関係が終盤で明るみになるのだが、莉里は気づいているようないないような。あえて気づかないようにしているのかも?

莉里は学校の担任から受験をすすめられるほど成績が優秀。読書家でもあるし、美智子から教えてもらった知識はノートに書き留めているし、どうやったらこういう子になるんだろう。親が仕向けたからそういう風になるとも限らないもんね。

3.年上男性の愛人となる知歌

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知歌は1.ひかりの姉。おそらくめちゃ美人でしかもパラリーガル。まるでSUITSのレイチェル。レイチェル役のメーガンマークル、大好きだったのに途中から出演しなくなって寂しかった。

知歌は自分の母親や妹が浮気されているのを知りながら、反対に自分は愛人という立場であることにたまに悩む。でも、不倫相手の関戸監督は出会う前から知歌が憧れていたからこそなかなか関係を解消できなかったんだろうなあ。

それでも奥さんの青子のことも尊敬しているような感じで、よくあるどろどろの不倫って感じじゃないのがよかった。

4.不倫をする夫をもつ女優の青子

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青子のイメージは勝手に鈴木保奈美。さっぱりしていて、でも面倒見が良さそうで。夫と知歌の不倫発覚後に、知歌と二人で話をするところが青子の人柄の良さが出ているような気がした。

だって、旦那さんの不倫相手と二人きりで会うなんて嫌すぎる。最終的に夫と自分との関係性に改善する必要があったことに気づくのだけど、そんな冷静に客観視できるあたりが素敵。

5.ひかり・知歌の親である美智子

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物語の中で一番多くの人との関わりがある美智子。自身も夫にかつて不倫されるも、婚姻関係を解消しないまま四半世紀すぎてしまったとのこと。

毎日栄養たっぷりの食事を作り、さらに子ども食堂でも活動している。きっと心から優しい人なのだと思った。娘二人のことが明るみに出ても絶対に見捨てない。そして自分の過去を振り返って前に進もうとする。

私はまだ子育てをしたことがないけれど、自分が大切に育てた娘が辛い目にあったり、あわせたりしたら親って相当辛いのだろうなあ。自分のこと以上にそう感じるのかもしれない。

6.青子のスタイリストのヨウ

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まさかまさかの、ヨウは男性の同性愛者だった。そして美智子の夫が不倫していた相手がこのヨウ。

ヨウの絵からも性別なんて分からなくて、一番最後に出てきた登場人物だったからてっきり女性だと決めつけていた。でも一番のどんでん返しがヨウが男性であり、同性愛者だったことだ。

物語の最後にひかりと病院で会話をするところがとても好き。スタイリストらしくサラッとひかりの服のボタンを直してあげる様子が目に浮かんだ。もしヨウを演じるとしたら誰が合うのだろう。もう少し歳をとった神木隆之介とか、上品さが似合いそう。

*  *  *

浮気、不倫、同性愛、シングルマザーなどなど、ヘビーなテーマが多く出てくるものの、登場人物同士の意外な関わりが見えてきてどんどん読み進めてしまう作品だった。

尾形さんってコピーライターでもあり、こんな作品を思い描いて形にできるなんて多彩な方だ。ルミネのキャッチコピーがより好きになりそうです。

ちなみに今のルミネのキャッチコピーは、これ。

いやあ、なんだか失恋直後を思い出しました。

ぜひ読んでみてください。


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