絵本っていい【「あまがえるのかくれんぼ」舘野鴻】
この本のあまがえるたちが「大きくなると体の色が変わるんだ」と気づいたように、自分の成長を自覚できたのっていつなんだろう。
「看板の漢字が読める!」って気づいたとき
レストランでお子様メニューから選ばなくなったとき
駄菓子屋さんで100円で買えるお菓子の組み合わせを考えられたとき
友達と電車に乗って親としか行ったことのないところへ出かけたとき
きっとそのときは「成長したな〜自分」なんてことは考えていなくて、できることが増えていく喜びをただ感じていたような気がする。
この本を読むまで、あまがえるが大きくなると周りの環境に合わせて体の色を変えられるなんて知らなかった。
体の色が元に戻らないことをはじめは不安に思い、戸惑うあまがえるたち。
でもそれが成長していく中で自然なことだったことを知り、その変化を喜びあう。
私たち大人も生まれてから今まで、できるようになったことは数えきれないほどあるはずなのに、いつかそのことを忘れてしまう。
小学校に入学して初めての宿題が出て、やっとお姉ちゃんたちの仲間入りができたと感じたけれど、いつしか宿題は面倒なものに変わった。
自転車に乗れるようになったら嬉しくて嬉しくて、日が暮れるまで自転車に乗り続けたけれど、いつしか自転車はただの移動手段となった。
だから3匹のあまがえるたちが色を変えられることをただ喜び、かくれんぼの続きをするシンプルさに心がじーんときたのだと思う。
大人だって毎日なにか新しいことが起こっている。
全く同じ日は絶対にない。
大人になると顔色が変わってしまうようなこともたまにあるけれど、
不安なら不安を、楽しいことなら楽しいことを、周りの人と共有する。
そうやってあまがえるたちのように変化を楽しみながらシンプルに生きていけたら、
みんなもっともっと幸せになっていくんじゃないのかな。