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『ザ・ワールド 2019』大橋可也直前インタビュー(後半)
【人数と音楽と空間】
綾門 長い尺であることにも関連することかなと思うんですけど、前回拝見した新作、市川春子『宝石の国』を下敷きとした『The Lustrous』※ の出演者は2人だったわけなんですが、今回はかなりの大人数。といっても私が今日拝見した稽古は全員出てるところじゃなかったので詳細はわからないんですけど。やっぱり多くの人数が関わることによって、ダンスの中で生まれていく関係性って、戯曲の
『ザ・ワールド 2019』大橋可也直前インタビュー(前半)
(2019年7月15日、森下スタジオにて)
【記憶を呼び起こすために】
大橋可也 今日の稽古見学でみてもらったのは、4部構成で出来ている全体の中の、いちばん短い第2部、30分ぐらいのパートと、第1部、だいたい1時間半ぐらいのパートなんですが、本来はその後に映像を使用する50分ぐらいの第3部、それが終わったあとに、空間全体を使った、2時間20分ぐらいの第4部があります。14時に始まって19時30
言葉にならない言葉がいちばんだいじな言葉
ヌトミックの『何事もチューン』のこと、本当に大好きだなあと思ったのは錯覚かと思ったらぜんぜん錯覚じゃなくって、半年以上経ってもその気持ちがなかなか鎮まらなくって、それがどうしてなんだろうって結構、日々のスキマ時間とかも使って考えてみたんだけど、これだ!っていう結論にはぜんぜんたどり着けなくって、でも、べつに結論とかなくったって、大好きだったら素直に大好きだってそれだけを伝えればいいんだと思う。中学
もっとみるテアトロコント vol.10『辛笑い』
辛笑い、という言葉はこの世に存在しないが、もし存在していれば今回のテアトロコントは辛笑いに満ち溢れていた。現実の辛さを鮮烈に思い出しながら、それでも笑わざるを得ない状態だ。辛い現実を忘れたくて、笑いに劇場に来るお客さんだって一定数いたことだろう、本当に申し訳ない。いつものテアトロコントはここまで辛笑いに偏っているわけではないのだ。示し合わせたわけでもないのに、異常な偏りをみせた回だった。
1番目
テアトロコント vol.9『コントに謎は必要だろうか?』
1番目はだーりんず。四つのコントのうち、何よりも昔捨てた五つ子が父親に会いに来る作品の完成度が高い。順番が前後するだけで、父親の子供に対する扱いが違う。いくら人生にとって大切な場面とはいえ、何度も繰り返しているうちに段々と扱いが雑になる。自分も誰かとの一生に一度の出会いで、知らず知らずのうちにこのような不運に見舞われているのかもしれない。
2番目はトリコロールケーキ。コントにあるまじき、相当やや
Nibroll『世界は縮んでしまってある事実だけが残る』プレビュー
最初に断っておかなくてはならないが、わたしはこの作品についてほとんどのことを理解していない。わたしに与えられたのは、急な坂スタジオで行われたNibroll『世界は縮んでしまってある事実だけが残る』公開リハーサルで得られた断片から、犬島精錬所美術館発電所跡で実施される本番の凄味を、なるべく緻密に想像しようと試みる権利だけだ。しかし残念ながら、此処は犬島ではない。都市部といっていい場所で、普段の日常か
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